97.甘くて甘い婚約者の笑顔にドキドキの変態悪女!そして懐かしいあのお方も登場、なのです!?
さて、かくして4月は1日、ついに開幕しましたのは、合同婚約式!
ダンスホールには、音楽にのって踊る王女殿下・ヘルムフリート青年を初めとした10組のペア。
色とりどりのドレスが軽やかに揺れ、または翻っております。
そんな中、もうすぐ正式に婚約者になるシドさんと組む私ことエリザベート。
その心境は……きゃあっっ
恥ずかしすぎて申し上げられませんっ♡
ごめんあそばせ、なのでございます(ぽっ)
本日のシドの服装は、最新の型のモーニングコートに白のタイ。
タイピンとカフスは銀地にポチッと赤みの強いアメジスト。
リジーちゃんの1年分の原稿料でプレゼントさせていただきました。てへ♡
「シド、いつも通り美人さんね?」
「お嬢様は盛りすぎですね」 ワルツの音色に乗りつつ囁かれる台詞、予想通りですねっ!
では期待の仏頂面を拝…………ん?
んんっそぉぉぉっ!?
なんとなんとっ!
キラキラとっても眩しい笑顔ハチミツ載せ、が披露されておりますよっ!?
「とてもおキレイですよ」 踊りながら腰を引き寄せる手に、ぐっと力が入りました。
「ほかのヤローに見せたくないな」
「…………シド」 心臓が早鐘のように打ちます。
これまでイロイロと絡んできたけれど。
こんなにドキドキするのは、初めて……
「大丈夫? 待ち時間でコーヒー飲み過ぎた?」
がくぅっ、と膝を折りそうになりつつ、なんとか堪えるシド。
ご立派ですっ
「なんでそうなるんですかっ」
「いやだって、キャラ崩壊してらっしゃるもの」
カフェイン中毒かな?
とか、誰でも思いますよね!?
と、ここでシドさん。
キッラキラのハニースマイルに、黒く芳しいダークチョコソースをとろっとかける、という上級テクを披露ですっ
「ご安心ください。帰宅後にお部屋で、たっぷりイジワルして差し上げますので」
「……っ! はぅぅぅぅぅぅっ♡」
ど、どうしようっ!
想像するだけで胸がキューンっとチョコ痛み、なのですっ♡
あぅぅぅぅん……ステップ間違えそうっ!
リジーちゃんたら、終わってますねぇ…………くすくすくすっ (幸せ笑)
と、ひとしきり暑苦しく絡みあった後で。
まだまだ流れる3拍子のリズムでターンを切りつつふと見れば……お?
おおおお!
今まで気づかなかったけれども、なんとっ!
エルディアナ様、すなわちダーナちゃんがいらっしゃるではありませんかっ!
ダーナちゃんは食べることとペーパークラフトが得意な、とっても優しい幼馴染み。
どーして控え室で気づかなかったんだリジーちゃんっ!
それは……えへ(照れ笑)
理由は、ちょっと未来を妄……いえいえ。
やっぱ恥ずかしくて言えない♡ のでございます♡
でもこれだけは申し上げておきましょうっ。
実は、結婚の日取りが5月に決まったのですよ!
うふふふ。ウザくてすみませんね。
えへへへへへへへ(崩壊)
と、それはさておき。
ダーナちゃんのお相手は一体どなたなんでしょうね?
と、ステップ踏みつつ窺えば……あららびっくり!
爆発的な天然パーマですっ! 色は黒っ。
つい、モフりたくなっちゃいます♡
そして、薄い水色の理知的な瞳。
どこかで見たことあるような……?
うーん? 気のせい?
シドがターンをリードしつつ、教えてくれます。
「あれ、ヨハネスさんですよ」
「え? ヨハネス……あ、ああ! 本当だわ」 言われてみれば、その通り!
去年の授賞式オマケの晩餐会で出会った……
「全っ然わかんない視姦をして下さった方ね!」
「蒸気機関の実用化で褒賞を受けた方でしょう」
「も、もしかしたら、大恋愛かしらっ!?」
ワクワクしちゃいますね!
なんたって、建前は身分差別をいたしませんルーナ王国でさえ、全世界共通の裏事情はあるのですよ。
そんな薄闇を突き破る、平民科学者と子爵令嬢!
身分差に悩み、けれども燃え上がる恋っ!
ふぉおぅぅぅぅ……萌えます♡
と、おっと!
悶えるあまり、ステップを踏み違えてコケかけちゃいましたよっ。
そこをさりげなく、しかしガシッと支えてくれるシドさん…………スキ(ぽっ)
「確か、その褒賞で一緒に男爵位を授けられたはずですが」
なんと! 脅威の記憶力っ!
「すごいわねシド! よく覚えてるのね」
「お嬢様が覚えていなさすぎなのでは」
「えーだって♡ シドさん以外興味ないんですもの♡」
デレてる? いえいえ。これぞ恋のバトルなのですっ!
さぁどうですかっ!?
乙女の武器の切れ味はっ!
ほれほれシドさんっ♡
ぞんぶんにニヤつくが良いのです♡
ところが。
「知ってますが、工場の取引先の情報はしっかり覚えてくださいよ」
……あれ? 普通にスルーされちゃいましたよ?
乙女の武器……受けて立ってこそ、漢というものではないのかしらっ。
しかしシドさんは、その気全くゼロのご様子。
「ヨハネスさんも、今度、試験的に蒸気機関を入れて下さることになっているでしょう?」
「そんなの知ってます」 今、思い出しましたよ、ええ。
で・も・で・す・ね・っ!
アツく燃えるバトルは一体、どこに!?
リジーちゃん、切ないのですっ……!
一方で、漆黒の瞳を輝かせるシドさん。
「動力など入れたら従業員の雇用はどうするのかと思いましたが、旦那様は余った人員を使って商品の差別化を図るおつもりだそうですね」
「ええ、それがやはり魅力的だったようよ。けれど、事故が心配ね?」
面白くないっ!
けど、シドが楽しそうだからイイのです!
適当に話を合わせられるのも、上級悪女のスキルというもの、ですからねっ!
ほら、シドさんがますます楽しそうですよ!
「安全対策のマニュアルを作り、従業員に徹底させるようですね。ヨハネスさんも頻繁に様子を見にこられるとか」
「ええそうよね」
「先ほど、ヨハネスさんと話していたのですが……」
「あら! もしかして、ダーナちゃんとの馴れ初めを聞いてくださった?」
「いえ」
ガッカリですねぇっ! もう!
「お嬢様が、マニュアル作りを手伝えるんじゃないかと。書くのはお得意でしょう?」
「シドがお書き」
ああ……もうっ!
リジーちゃん、イケないと思いつつ、だんだん不機嫌になってきちゃいましたよ?
「俺がですか? 書くのはやはり、お嬢様じゃ」
上級悪女ならばここはニコヤカに 『イヤん、シドの方が適任よん♡』 などと、ヨイショすべきなのでしょうがっ……。
そして 『可愛いヤツめ』 などと思っていただき、仲良し夫婦の第一歩とすべきなのでしょうがっ!
「ごめん被りますわ。ペンが穢れる」 もともとが、せっかくのシュガーウェポン不発で、ガッカリしているのです!
その上にせっかくの婚約式のダンスで 『安全マニュアル執筆について』 ですと!?
フザけないでくださいませ……っ。
「わたくしのペンは、愛の神と芸術の神の力によってしか、動かないのですっ」
「これから工場経営を継ごうというのにそれでは……」 ターンをリードしつつシドさんタメイキです。
「お気持ちは分かりますが」
「嘘おっしゃい!」
絶・対に、わかってないっ!
今日、婚約式ですよ?
大事な日なんですよっ?
ラブラブイチャイチャMaxの、最高の想い出にしたいんですよっ!?
なのにっ!
なんで工場経営? なんで蒸気機関?
なんで安全マニュアル?
ナニソレ美味イシノ? ですよ、まったくもうっ!
ああ、もうっガマンできないっ!
「わたくしの気持ちがわかるというなら!」 間違えたステップをフォローしてもらいつつ、要求しちゃいますからねっ!
「今すぐ、ハゲしい人口呼吸をお願いしますっ♡」
「え? こんなところで?」
びっくりしたらしく、リジーちゃんの足を踏みかけてしまう、シドさんなのでした。
お読みいただきありがとうございます(^-^)




