表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/201

91.手フェチ取材から始まる港の恋愛相談会!婚約決まった変態悪女にも、実は悩みがあるのです!?

 波間を縫って響くかもめの声。

 船の警笛。

 波の音。

 楽士の奏でるアコーディオンの音。

 荷を積み降ろししている船員と人足たちの掛け声。


「ダフネス港って久しぶりね!」


 ワクワクと辺りを見回す私ことエリザベートと、ナンチャッテ婚約者のシドさん。


「俺が奴隷市に並んで以来ですね」


 なんとなんとっ!

 十数年ぶりにダフネス港へ来ております!


 ちなみに奴隷市は西口市場外れで定期開催されるものなので、こちらの港へは正・真・正・銘っ!

 リジーちゃん初めて、なのです。


「で、ラズール様はどちらなのかしら」


「海軍少佐様を呼びつけるとは良い根性しておられますよね、アルデローサ様」


「あら、こちらを指定してきたのはラズール様の方なのよ?」


「だから任務中の軍人さんに、よく 『手フェチのことがよく分からないから教えて』 なんて手紙出せますよね」


 ははぁ、これは嫉妬というヤツですね、シドさん?


「うぅぅん! シドったら可愛い!」


 シドのコートのポケットに入れた手をいったんほどいて、つなぎ直します。


 ヤキモチさんな可愛いシドには、カップルつなぎなんてして差し上げちゃいますよっ!

 長い筋ばった指と、滑らかなお肌。

 ふふふふふ (不気味笑)


 なに食わぬ顔をしつつ、密かに萌えるリジーちゃんです。

 そうなんですよ!

 女性サイドの手フェチはある程度、理解できるんだけどなぁ……


 アナスタシア様の指輪精霊様はなんと驚き、本編初出の美老人ですからね!

 男性サイドの事情もきっちり理解しておかなければっ!


「お手紙で返事下さるかと思ったら、任務の合間を縫って会って下さるだなんて、本当にご親切よね」


「それでホイホイ会いに行くなんて本当に隙だらけですよね。アルデローサ様」


「だって、ラズール様とは和解してるし」 唇を尖らせるリジーちゃん。


 いくら評判のタラシ様とはいえ、いったん腹割ってお話できたら、もうそれはお友達、ですよね!?


「それにあの方は基本フリーの人にしか、手を出されないのよ」


 楽しみたいけれど面倒ごとはお嫌い、といったタイプですからね!

 つまり、もうすでに婚約が決まってるリジーちゃんは圏外、なのだっ


 口説かれる心配なくラズール=ユーベル先生とフェチ談義ができるなんて、最高ですね!

 "月間ムーサ" に 『おまけ座談会』 として載せたい勢いです……と、なんかリジーちゃん今イイこと思い付いちゃった?

 またジグムントさんにリクエストしておきましょうっ

 夢が膨らみますねぇ、くふふふふ (含み笑)


「どうだか」


 まだまだ不機嫌そうなシドさん。

 仕方ないなぁ、もう。


「あっ、なんだか、あの鬼スズメ様に会うと思ったら息が苦しいっ」


「帰りますか」


「そうじゃなくて」 目を閉じて若干、上を向いてみせます。


「人工呼吸……はぅわっ」


 (あご)ピンされてしまいました。


 地味に痛い……主に、心が。


 なんなのでしょうか……

 別に……人工呼吸くらい……っ!


 (あご)を抑えて涙目になるリジーちゃん。


 と、頭上から。


「あれイヤなの? なら僕が代わりにしてあげようか?」 と、何だか聞き覚えのある滑らかな低音。


 顔を上げれば、日焼けした顔の中で、神秘的なラピスラズリとタイガーアイの瞳が微笑んでいます。


「職業柄、人工呼吸は得意だよ? どう?」


 ラズール青年です!


「いえ結構です」 すかさず答えるシドさん。


「緊急性はないので、後程人目につかないところで、ゆっくりじっくりさせていただきます」


 わーい♡ 確かに今、聞きましたよ?

 後で撤回しても遅いですからね?

 覚悟しといてくださいっ!


「奥ゆかしいねぇ。人前でのキスなんてこの国じゃ普通なのに」


「シドさんはシドさんでイイんです!」


「表と裏とのギャップが?」


「ああ……確かにそんな時期もありましたわね」


 遠い目をするリジーちゃん。

 昔あれだけ散々ウラで変態して困らせておきながら、今は表も裏も当時と比べれば物凄く紳士ですからね。

 なんなんでしょうね、このギャップ。

 理由はわかっていますし、納得もしていますけどね!


「寂しそうだね……なんなら僕が代わりに慰めてあげようか?」


 ラズール青年、つとリジーちゃんの手を取り、唇を寄せて上目遣い。


 ぞぞぞぞっ……(鳥肌)


 この期に及んでも、というかそう簡単には、というか、ともかくも。

 変わってませんねぇっ!


「おーほっほっほっほ! 寂しいだなんて!

 そちら様の気のせい、でございますわ!」


「そうかい?」


「そうですとも! ほら!」

 ご覧なさいませ、とばかりにシドにぎゅうっと取りついてみせます。


「わかった。やっぱり寂しいんだね。僕に助けを求めたのは良い選択だと思うよ」 (とろ)けるようなロイヤルスマイルを浮かべるラズール青年。


 いえね、お手紙ちゃんと読んでます?

 確かに助けは求めましたが。


 それは 『シドさんが最近冷たいっどうしましょうっ!?』 ってことじゃないのですよ?

 そんなことより 『手フェチ』 の取材……


 しかし。


「まず、一方的にベタベタするのをやめた方がいいね」


 ラズール青年が素早く耳打ちしてきた内容に、敢えなく降参したリジーちゃんなのでした。



 さて、そして。


「ようは『手に入った』と安心させてはいけない」


「といっても、もう婚約決まっててどうすれば?」


 ただいま私こと悩める乙女なリジーちゃん、ヒソヒソとラズール青年と密談中でございます。


 場所はレンガ造り倉庫群 (輸出入品の管理などに使われてます) の一画 "ダフネス・カフェ"。


 窓からは海が見え、楽士の弾くアコーディオンが漏れ聞こえるオシャレなカフェ、夜はお酒も出ます。


 船員、人足、仲買人に観光客、休憩中の軍人さん少々……と多種多様な人々で賑わう店内は、密談にはもってこいですね!


 話の内容が内容だけにシドには聞かせられず、離れて待機していただいてます。


「たとえばほら今の状況。まさに向こうから見れば」 ラズール青年、またヒソヒソと耳打ちしてきます。


「自分は引き離されて座り、一方で女の子は以前の求婚者とかなり親密。ヤキモキするよね?」


 い、言われてみれば確かに。


「ちょっとシドに断り入れてきますわ!」


 誤解はされたくありませんからね!


 が、立ち上がりかけた私の手をそっと押さえて首を横に振るラズール青年。


「それがダメ」


「え……なぜですの?」


「なんだーやっぱり俺のモノじゃーん、敢えてベタベタちゅうちゅうする必要なんかなくね? ……って、なるから」


「し、シドはそんなことないもんっ。が、ガマンしてくれてるんだもんっ」


「それだけ余裕ができたってことだよね」


 ガーーーンっ!


 な、なんだか、太刀打ちできませんっ!


 ナンパ鬼スズメ様の言うことなんかっ、とは、思うんですけど……っ!


 振り返ってみれば……まさに、その通り、なような気がぁっ!


「だ、だって、わたくしがシドさん愛でまくっても別にイヤがったりしないし……っ」


「それはそうでしょう。でもさっき」 すっと手を伸ばしてリジーちゃんの(あご)を持ち上げるラズール青年。


 間近でオッド・アイが揺らめいております。


「ここ、ピンされていたよね」


「…………!」


 ギリギリまで顔を近づけて囁いたりとか、もうっ!

 やめてくださいませ、なのです!


「そろそろ潮時かな、と思うんだけど」


「何が、ですの?」


「しばらく放置。ベタベタするのやめて 『あれどうした?』 と慌てさせてやんなさい」


「うーん……なるほどっ」 恋は駆け引き、ということですね!

 ここは悪女なら乗るべきっ!

 けど、しかし。


「それには1つ問題が」


「どうした?」


「ベタベタちゅうちゅうできないと思うと、半日でシドさん離脱症状が出てしまいそうですわ、軍曹!」


「あーーそうだな」 ラピスラズリとタイガーアイの双眸が、考え込むように漆喰(しっくい)で塗り固めた天井を仰ぎました。


「彼の洗濯前シャツに埋もれて乗り切れば?」


「な、なるほどっ……」


 考えたこともありませんでした!

 さすが、ラズール "鬼スズメ" ユーベル先生っ!


 家に帰ったら早速、洗濯係のマリエちゃんに話をつけるのです!

 脳内メモメモ。


「さて」 ラズール青年はニッコリとそんなリジーちゃんの手を取り、日焼けした(たくま)しい指で甲を撫でました。


「で、本題の手フェチなんだけど……」


読んでいただきありがとうございます!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
関連作品 i483018 

楓くんはこじらせ少女に好きと言えない~夏の匂いの物語~

☆FAいただきました!☆
砂臥 環様 作品タイトルファンアート(プラチナ様のメーカー使用)
©️秋の桜子 さま



≡≡≡日常系好きにオススメ!≡≡≡ i463137 
― 新着の感想 ―
[良い点] >わーい❤ 幸せそう (/・ω・)/~♪ [一言] >コートのポケットに入れた手をいったんほどいて ぶひぃぃぃ!!ww ちょっぴりシドさん相手に駆け引きしなきゃならないところが……(´…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ