89.漂う百合の香りも、王女殿下なら許される!? 思わぬ萌えに変態悪女も悶えています!
ご訪問下さり有難うございます。
後半、おそらく一部の方にしか分からない嗜好が入ります。度合いは軽ですので悪しからず。
分からない方はいつも通り「へぇ~世の中にはこんな変態もいるのね」と流していただければ幸いです。
ちなみに忘れてる方もおられるかと思いますが、リーゼロッテ様は元から立派な変態なのです。
「お前もかブルータス!」とかならないよう念のため申し上げておきますm(_ _)m
さて、かくして一夜が明けた、3月は11日。
朝、目が醒めると、隣に王女殿下のお美しい寝顔があったりして、激萌えかつ 「酔った勢いで百合本番へ!?」 と超絶不安な気持ちになった私ことエリザベート・クローディス、16歳。
ちなみにルーナ王国では16歳から飲酒可能なのです。
で、現実のところどうだったかというと。
「昨晩のことは気にしないでね!」 リーゼロッテ様、大変にお美しいロイヤルスマイルでこう告げられました。
「わたくしがしたかったから、一緒に寝ただけなのよ」
「えっ寝たのですか、わたくしたち?」
「だからついさっきまで同じベッドだったでしょう?」 ふふふ、と思い出し笑いをされる王女殿下。
「楽しかったわぁ」
「ええええ!?」
「ほら、わたくし、お友達とお泊まり会とかしたことがなかったから」
「ああなるほど」
お友達。お泊まり会。
つまりは、お互いの貞操は守られたと理解してよろしいのですよね!?
「リジーちゃん、すっごく可愛かった……」
トロンとした瞳で何やら思い出されていますね。
……お互いのていそー。その行方は……
「あ、あの。ヘルムフリート様とは仲直りされまして?」
「ええお陰様で」 ふふふ、と再び含み笑いされるリーゼロッテ様。
「ちゃんとダイヤと話し合えたし、これからも……リジーちゃんのおかげよ。ありがとうね」
「それはよろしゅうございましたわ」
本当に良かったですねぇ!
けれども、お約束な流れ。すなわち。
リジーちゃん、覚えてねぇぇ!ですよ……
「それに婚約式をわたくしと同じ4月バカの日にして下さるなんて。愛を感じたわっ」
「え……あ、ああ、もちろんですわ!」
確かに、昨日意識を闇に吞まれつつ『その4っ……』とかほざいたような。
そう、確かに考えていましたとも。
もういっそ、私も同じ日に婚約式にしよう。
んでもって、そのうちアナスタシア様が最愛の亡き公爵様と婚約式を挙げたのを4月1日設定にして小ネタで使おう。
さらにさらに、なんやかんやで 『4月1日=婚約式』 みたいな認識をルーナ王国に植え付けてしまおう!
とか。
でも、それ言ったの?
リジーちゃんが?
「はい。お嬢様は確かにおっしゃいました」
シドが言うなら間違いないでしょうね。
ストン、と納得するリジーちゃん。
ちなみに只今、皆で囲む朝食中です。
自家製焼きたてパンに新鮮野菜のサラダ、ハーブ入りオムレツとスープ。
「普段通りで」 との王女殿下のご要望により普段通りです。
しかしこの後には控えているのですよ!
『ファルカ特製アイスクリーム3種、フルーツソース添え』 がっ!
前の晩から仕込んで、忙しい朝への負担はほぼゼロ、な季節のデザートでございます。
やりますね、ファルカさん!
ほんっとにありがとう、なのです!
と、そんな素敵な 『普段通り+α』 なメニューにも関わらず。
両親の笑顔がまた固い、ですねぇ!
「しかし王家の婚約式にお邪魔するというのはあまりにも不敬ではないでしょうか」
父が固苦しく遠回しにお断り申し上げているのは、王女殿下の急な思い付きによるご招待、でございます。
「いいえ! リジーちゃんだけでなく、皆さん一緒にすることに決めたのよ!
といっても募集はこれから、ですけれど」
楽しそうですね、リーゼロッテ様!
というか 『4月1日の地位回復』 以外、何も考えていなさそうなその行事。
王女殿下にリジーちゃんが乗り移ったとしか、思えませんね! ……私ここに居るけど。
「そんな……皆様がお揃いなら、尚更、我が家など」
「あら合同婚約式なんて初めてですもの!
リジーちゃんとシドさんにユリアン様アメリア様がいらして下されば心強いわ。ねえ、ダイヤ?」
「さようでございますね」
ヘルムフリート青年、ノーブルスマイルで同意。
うーん王女殿下? ほんとに話し合われたんですか?
『こうするわよダイヤ!』 みたいな宣言を 『話し合い』 と勘違いされてませんよね?
ということが少々気になったリジーちゃん。
何気なくテーブルの下に目を落として、発見しちゃいました。
リーゼロッテ様とヘルムフリート青年のお手々が、仲良くつながった後で名残惜しげに離れる感動シーンを!
大丈夫そうですね、うん。
「はぁ……そういうことでしたら」 父、少々目を伏せつつお返事です。
「喜んで参加させていただきます」
「良かったわ!嬉しいっ!」
ぱあっとお顔を輝かせるリーゼロッテ様。
母がにこやかに話し掛けてきます。
「でしたら取り急ぎドレスを作らなければね、リジーちゃん」
「お母様! わたくし、去年作っていただいたのか貸衣装でじゅうぶん……」
「一生に1度なのよ、リジーちゃん?」
一生に1度しか着ないものをわざわざ、と思うのですが。
そんな贅沢してて革命起こされたらどうすんの、とも思うのですが。
変態悪女は天使様の正統派オーラにどうしても弱いのです……っ!
「ハイ、ワカリマシタ」
コクコクと頷けば、なぜか母だけでなく、王女殿下まで嬉しそう。
「ドレスは ″イリセトウェヌス″ でしょう?
ちょうど今日の午後、ウチ専属のデザイナーが来るのよ」
「まぁお姉様は今日ご注文を?」
専属デザイナーとかさすがですね!
感心していると、リーゼロッテ様はますますイイ笑顔を向けて下さいました。
「ええ。だからね、これから一緒に王宮に行って、リジーちゃんの分も注文しちゃいましょう!」
※※※※※
そんなわけで、午後。
王宮は王女殿下のお部屋でドギマギとしている私ことエリザベート、しがないギリギリ貴族の娘でございます。
それもこれも、朝食時の 『一緒に婚約式のドレス作ってアゲルわ!』 とのリーゼロッテ様のお誘いのおかげ。
当初は一家揃ってめちゃくちゃに固辞させていただいたのですが、完璧気遣いしつつの真心からの攻撃にあえなく玉砕いたしました次第です。
だってね。
ウルウルした湖の色の瞳でじっと見詰められつつ 『お礼したいの! お願いだから断らないで?』 などと言われてごらんなさいませ!
誰がどうやって断れるというのでしょうか?
「リジーちゃん、支度できて?」
寝室の方から、ひょいっと姿を現された王女殿下に、言葉を失います。
「あら、どうなさったの?」
「……! ……!」
な、なまめかピンクのロティーたん!
スラリと背の高いおカラダに纏われているのは、ローズピンクの下着のみ。
ご立派な胸を包む総レースのブラジャー様と、同じくご立派なヒップを包み込む総レースのパンティー様。
微妙な透け感といい、白い肌を引き立てる絶妙な色合いといい……
こ・れ・ぞ、ま・さ・に!
芸・術!
完・璧っ!でございます。
はぁぅぅぅ眼福。
あまりの感動に口をパクパクと開け閉めした後、やっと絞り出した言い訳は、すなわち。
「びっくりしましたわ! お姉様、下着がすごくお似合いで!」
「あら」 クスクスと笑うリーゼロッテ様。
「リジーちゃんも似合っているわよ」
「まぁ畏れ入ります」
「ええ清楚でかわいいわっ」
ちなみにリジーちゃんのは白木綿です。
肌触りのみ重視のお子様下着ですが……さすが王女殿下。
ものは言いよう、ということですね!
さて。
下着の女子どうしという、百合の香り漂う雰囲気ではありますが、現実は違います。
すなわち。
採寸、なのでございますっ!
「ね、ところでコレ」 リーゼロッテ様がドヤ顔で下着をつまんでみせます。
「採寸といえば、ポリー嬢の覗き見回よね!」
あ、やっぱり。
ローズピンクだった時点で怪しいとは思っていたのですが、やっぱり。
作者冥利に尽きますねぇ!
「もしやヘルムフリート様に 『覗いて』 とか頼まれまして?」
「うん♡ 頼んだ頼んだ♡」
「で、では」ゴクリ、と生唾を呑むリジーちゃん。
「今、覗かれてるんですか?」
「いいえ。丁重に5コくらい理由をつけて断られたもの」
お、思わぬところで 『ギクシャク原因その5』 が発覚っ!
ポリー嬢に、すなわちリジーちゃんにも原因があったとはぁっ!
ゴメンなさいヘルムフリート青年。
今、どこにおられるか正確には分からないけれど、内心で平身低頭してお詫び申し上げておきます。
ついでに、脳内に見たい映像が浮かぶよう書字魔法で書いて、さりげなく渡しとけば良かったな。
イロイロと萌えられるところだったのにっ!
ちらりと浮かんだ、そんな薄黒い思考をあっちの方に押しやり、王女殿下にも謝るリジーちゃんこと筆名ルーナ・シー。
「わたくしのポリー嬢のせいで、このようなことになって……申し訳のう存じますわ」
「いいのよ、大丈夫!」 ぱっと顔を輝かせるリーゼロッテ様。
「昨日リジーちゃんが寝た後にね、ダイヤと色々と話し合ったのよ。コレも含めてね」
「そ、それで」 もう1度生唾を呑み込んじゃいますよ、もうっ!
「どうなりまして?」
「うふふふふ」 王女殿下、嬉しそうな含み笑いです。
「採寸してる間、妄想してもらえることになった」
「きゃあっっ♡」
恋人が採寸シーンを妄想してジレジレしてくれてる、だなんて!
はぁぅぅぅぅぅぅぅ♡
身悶えしてイイため息出ちゃいますねぇ♡
「でしょー?イイでしょー?」
「萌えますわねぇ!」
「ねぇ?」
リーゼロッテ様、本当にお幸せそうです!良かった。
あああ、リジーちゃんもシドに頼んでおくんだった!
そんなことをチラリと考えつつ採寸してもらう、変態悪女なのでございました。
読んでいただきありがとうございます。




