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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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87/201

87.安請け合いから始まるこじらせ解決への道!人生経験絶不足の変態悪女は、コレの力に頼ります!?

 さて、こうして3月(マルティウス)は10日の昼下がり。

 ″ヴェルベナエ・ドゥルシス″ の路面イートスペースで芸術的チョコレートに悶えた後、コーヒーを飲みつつ悩み事を相談中の王女殿下。

 そして、相談され中の私ことエリザベートとシドさん。


 なんと。

 王女殿下は、正式な婚約を目前にして、ヘルムフリート青年との仲がギクシャクしているのです。



 その原因は、3つ。


『急な関係の変化』


『ラズール青年とうっかりイイ雰囲気っぽかったのを見られた』


『その時に美少年従者の斡旋(あっせん)を頼んでいるのを聞かれた』



 ……リーゼロッテ様。


 ここは素直に話し合って、誤解を解きましょうよ!


 と言いたくなるところなのですが、それができれば、こんなところで悩まれたりしていないワケで。


 でも最終的には、やはり正直に話し合えた方が良いですよね。

 うーん、どうやってその流れに持っていきましょうか。


 ひとまず、婚約式までに!


「婚約式はいつですの?」


4月(アプリリス)の1日よ」


 ここだけは、ションボリを忘れてドヤ顔の王女殿下です。


 やっぱり可愛らしいですねぇ♡


 けれども。


4月(アプリリス・)バカ(ファウストゥス)の日ですか!?」


「そっ。面白いでしょ?」


 ……誰に対してウケを狙ったんでしょうか、リーゼロッテ様!?


 婚約が決まったと教えてくれた時のヘルムフリート青年の嬉しそうな顔と 『やっぱりやめた、と言われないかと……』 との心配ゼリフが、脳裏に蘇っちゃいますよ!


「面白い……といえば面白うございますけど……」


「ダメ?」


 可愛らしく唇を尖らせたお顔。

 ギャップ萌爆発ですね!

『ダメです!』 とはとても言えませんねっ……でも。


 明らかに、原因4つ目ですっ!


 はぁぁぅぅぅ……イクない方の溜め息をついちゃう、リジーちゃんです。


 どうしようかしら、ほんと。

 悩みますねぇ!

 力になりたいのにっ……そうだ!


「婚約式は、リーゼロッテ様のお誕生日になさっても素敵ではありませんこと?」


 誕生日の婚約式や結婚式は、前世と同じく、ルーナ王国でも割かし定番。

 しかもリーゼロッテ様のお誕生日は3月(マルティウス)は28日。


 予定を少々変えても、差し支えない範囲ですよね?


 ところが。


「え。ヤだ」 なんと、あっさり拒否です!


「今年の誕生日は……ダイヤと2人きりで過ごす、って約束して、国王様の許可もいただいているの」


 頬をほんのり染めるリーゼロッテ様。


 ぁぁぁぁぁぁあ! もう!


 可愛いすぎるんですけど、もう!


 そしてそのひと言で、納得もしちゃいます。


王女殿下(リーゼロッテ様)は、お誕生日も婚約式も公的行事ですものね」


「そうなのよっ! 恋人と2人きり、なんて、たぶん、最初で最後なの」


「それは、はずせませんわね!」


「そうなの!」 と、主張していた握りこぶしが、急にふっと解かれます。


「楽しみにしていたのに……このままでは、気まずい誕生日になってしまいそう……」


 しゅううううん、としぼむリーゼロッテ様。


 こんなにしょげておられるのは、秋の新作フレーバーが売り切れの時以来ですね!


 なんて悲しいのでしょうか……


「大丈夫ですわ!」 気が付くとリジーちゃん、王女殿下の手をがっしと握りしめ、こう請け合っていました。


「お任せ下さいませ! 絶対に、お誕生日までには仲良しさんになっていますわっ」



 ※※※※※



 そして夕刻。


「どうして急に宿泊のご招待なんか、したんだい?」


 王宮と比べるとかなり手狭な我が家の、廊下の片隅でヒソヒソと囁く父、ユリアン・クローディス、ついに41歳。


「それはお父様。王女殿下の 『愛』 のためですわ」


 早速 『(免罪符)』 の叩き売りを始めちゃいましょうっ

 ……ところが。


 今回はどうも、買い渋っている父。


「しかし……こんなに急では料理も普通だし、布団だって普通の客用布団しか」


 どうやら(免罪符)は王女殿下のご威光に(かす)んでいるもようです。


「王女殿下が全く構わないとおっしゃっているのですから、気に掛けても仕方ないでしょう?」


「だがしかし」


「それよりお父様」 仕方なく、作戦変更です!

「お母様1人で王女殿下のお相手をなさっては、少し失礼なのではないかしら」


「それもそうだね」


 言外に 『お母様が困っておられるかもよ』 的雰囲気を匂わせるだけで、父、あっさり話を切り上げてくださいました。


 いいですねぇ!

 ビバ仲良し夫婦、なのです!

 その愛の力、ぜひともリーゼロッテ様とヘルムフリート青年に分けてあげてくださいねっ。

 期待してますよ!


 さて。

 こうして父と共に向かったサロンでは、急ごしらえながら、できる限りの晩餐の準備が整えられていました。


 急にメニューを増やして下さった料理長のカールさん、ファルカにナターシャ、力仕事担当のハンスさんはじめ、使用人の皆さんにも感謝! なのですっ


 母とリーゼロッテ様はソファに腰掛け笑顔で歓談中。


 2人とも意外と、楽しげに盛り上がっているようですね!


 とりあえず、ほっ……


「あら、クローディス伯爵様」 父の姿を認めたリーゼロッテ様が立ち上がり、そのお顔に花のような微笑みを浮かべられます。


 営業用ロイヤルスマイルですね。


「今ちょうど奥様と、噂させていただいていたところですのよ」


「は、はい……まことに恐縮でございます」


 ガチガチに固まっている父に、母が嬉しそうな天使様スマイルを向けました。


「リーゼロッテ様はね、あなたほど素敵な貴族は滅多にいないと誉めて下さっていたのよ、ユリアン」


 さすが王女殿下です。

 母の(おと)しどころを良く見抜いておられます!


 一方の父は、誉められてますますガチガチ。


「い、いえそんな……滅相もございません。買い被りでございます」


 謙遜の言葉も、しどろもどろ、ですねぇ。

 本当に憎めないお方なのです!


「あらあら。本当のことでしてよ」


 王女殿下がまた極上ロイヤルスマイルを披露された時。


「失礼します」 と、シドが入ってきました。

 その後ろに、お待ちしておりました!


 ヘルムフリート青年ご本人です!


 何やら最近、軍の鍛錬だの教練 (教える方) だのと理由をつけては護衛を人任せにしてサボりがちだったとかいう、鉄壁ノーブル様。


 ですが、王女殿下が外泊となれば、出向かないわけにはいきませんよね!


 王女殿下の護衛隊長様は、両親に向かって静かに頭を下げます。


「すみません、本日は急にお世話になります」


「いいえ、このような所ですが、精一杯おもてなしさせていただきますわ」


 母、またしても完璧な天使様スマイルでご挨拶。


 リジーちゃんも改めてニッコリ念押しです。


「王女殿下もヘルムフリート様も、くつろいでいただければ嬉しいわ」


 というか、()()()()

 くつろいで下さいませね!


 今日はリジーちゃん、サービスに徹しますよっ!


 さぁ頑張りましょう、急きょ酒屋から調達した最高級ワインちゃんたち!


 王女殿下とヘルムフリート青年には、飲んで飲みまくってまた飲んで、タガが緩む程度に酔っ払っていただきたいものです。


 そして、本音を語り合ってスッキリするのですよっ!


「というか、酒の力に頼るってどうなんですか」


 シドが私にだけ聞こえるよう、ボソボソとツッコミを入れます。


「だって、わたくしごときの人生経験で王女殿下にアドバイスなんて、無理だもの」


 なにしろ前世含めても、一般の半分程度しか生きてませんからね。


「ヘルムフリート様は任務中なので飲まれないのでは」


「なんとか飲ませてみせるわっ」


 スパークリングワインのボトルをラベルを上にして持ちつつ、張り切るリジーちゃん。


 前世は男尊女卑のキツい勤め先で半ば無理にお酌させられていた経験が、こんな所で活かせるとはっ!


「どうぞ。食前酒ですわ。

 とってもオススメでございますから、よろしければヘルムフリート様も召し上がれ?」


 あくまで上品にワインを注ぎつつ、ニッコリ強制してみるリジーちゃんなのでした。


読んでいただきありがとうございます(^^)


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