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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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85/201

85.やっぱりチョコレートは芸術です!王女殿下は女神様です!そして萌えちゃう、変態悪女でございます!?

 こうして、バルシュミーデ兄弟社はジグムントさんに 「婚約したらちょっと父の仕事の勉強とか忙しくなるかも。でも執筆ペースはなるべく守るんでヨロシクっ」 的な挨拶を済ませた私ことエリザベート。

 そして、ナンチャッテ婚約者のシドさん。


 原稿を配達し終えた後は、目抜き通りをお手々つないでブラブラ散策。

 久々ですね!

 なんだか、テれちゃいますね!


 前は手をつなぐどころか、ガッチリホールドとかしても、テれも垂れもしなかったのに!

 メンタルが違うとここまで違うものなのか、と、リジーちゃん感心です。


 そうなのです!


「逃げようたって無駄よ!」 より、理由もないのになんでだか、という方が。違うのですよ……っ!


 なんとも面映ゆいような嬉しいような感覚といい、足元のフワフワ感といい。


 外気のまだまだ冷たい、ルーナ王国の3月(マルティウス)

 でも、シドと手をつないだ部分はあったかい、のです(ぽっ)


 と。

 つないでいた手が、やおらシドさんのコートのポケットに!?


「寒いでしょう? イヤじゃなければ、こっちで」


 ボソボソと言うところを見ると、このお方もテれておられるもよう。


 というか、ジグムントさんの前であれだけ堂々と姫抱っこ強制回収スタイル披露しときながら、なんでこれでテれるんでしょうか。

 謎ですね!


 ……でも、はぁぁぁう(タメイキ)

 皆様スミマセン。


「ううん、これがイイ♡」


 なんて笑顔で言っちゃっている、脳内丸ごとお花畑なリジーちゃん、でございます……

 ハタから見るとバカっぽくてもやめられない、のです。ふぅぅぅぅぅ。


 甘み慣れしないよう、気を付けたいところ……けどもう、餌付けされまくってる感が満載なのですっ!


 もし、これを急にやめられたら、やっぱり恨みがましい視線送っちゃいそうですよっ!


「なんなんですかその目は」


 ……はっっ。

 ついつい恨み目線の予行演習しちゃってました、てへ。


 返されるシドさんの、若干傷付いた目線が痛いです。


「恥ずかしいなら、やめますが」


「ううん、違う違う!」 慌ててフォロー。


「きっと今は良いけれど結婚して10年ほども経てば 『良いトシしてそんな恥ずかしい真似できるかバカですね』 とか言って、してくれなくなるんだろうなぁ……とか、つい妄想してしまって」


「なんで、あなたの結婚観はそんな悲観的なんですかね、アルデローサ様」


 ……前世の影響ですスミマセン。



 さて、そんな砂糖たっぷりなやりとりをしつつも、やって参りました!


 これまたなかなかに久々な、ショコラティエ ″ヴェルベナエ・ドゥルシス″ でございます!


 3月に入り、路面のイートスペースがいち早く再開しましたよっ!


 寒いでしょ、って?……いえいえ。

 これがまた、良いのです!


「ほぉっ」


 アツアツのコーヒーを1口飲めば、ちらほら舞う雪の中で吐く息が、ますます白く。


「シドこれ美味しい!」


 一足早く春先取り感のある芸術的フレーバーチョコに、ほっこり。


 きっと遭難救助された後にいただくチョコは、こんな味がするのではないかと思います。


 と、それはさておき。

 ″ヴェルベナエ・ドゥルシス″ 春の新作フレーバー2種、まず1種目は、ルーナ王国の民が愛してやまないスノードロップがモチーフのホワイトチョコ。


 雪をイメージしたコーティングから、金箔が控えめに顔を出しております。載せる、のではなく、埋め込む、という芸の細かさ。


 スノードロップが雪を割って顔を出すと、そこには金色の暖かな光が差し込んでいるように思える……そんな感じをよく表していますね!


 そしてこの、美しい外観のチョコレートを1口かじれば、中には……出ました!

 どっしりとした大地を感じさせるダークチョコのガナッシュ。さらにその下には、春の芽吹きを約束されたかのようなクルミの粒。


 くぅぅぅぅぅっ!

 味わいもさることながら、くぅぅぅぅっ!

 これ考えた職人さん、まさに 『チョコレートの詩人』 ですねっ!


 素晴らしいのです!


 そんな芸術的チョコをシドと半分コでモグモグとし、さてお次、というところで目に入ったのは。


 色とりどりの春の花がバランスよくてんこもりに配置された、紫のお衣装 (けっこう大人かわいいです!)。


 ゆるやかにハーフアップされた、腰まで届く艶やかな青の髪 (100%ウィッグでしょう)。


 そして。

 立派な素敵な素晴らしいお胸 (すらりとした体躯が引き立ちます)!


 おぉぉう、なんだかお久しぶりですね!


 我らが王女殿下、リーゼロッテ様です!


 お忍び中にお目にかかれるなんて、とってもラッキー、なのですっ

 ……でも。


 なんだか心なしか、いつもの明るく華やかなオーラがあまり、感じられないような?


 どうしたというのでしょうか。


「お姉様!」


「きゃあっお久しぶり! 会いたかったわ!」


 お声掛けすれば、満面の笑みで手をとって下さるところは、普段と同じなのですが。


「今日は春の女神(タロー)様ですのね!」


「そうなのっ! もうリジーちゃん大好きっ!」


 きゃああああっ! 久々にリーゼロッテ様から『大好き』いただきましたっ! 萌え。


 シドが急にジトンとしたお目々になります。

 まさか王女殿下にまでヤキモチですか? まさかね?


 と、感動の再開フルコースなのですが、やはりどことなく意気消沈しておられるリーゼロッテ様。


「ああん美味ひい!」


 春の新作フレーバーその2、すみれの花モチーフのチョコレートをかじって身悶えしていただきつつ、ちょっと()いてみることにしてみましょうっ!


「お姉様、どうかされまして?」


 問いつつも、頭の中で最近きいた王宮ニュースを大急ぎで振り返ります。

 なぜなら。


「んん? 別にぃ!? リジーちゃんこそ、急にどうかして?」


 ほらね。

 超ナチュラルなロイヤルスマイルで平気なフリができる、リジーちゃんのお姉様である前に王女殿下なお方ですからねっ!


 でも、脳内検索では特段のニュースは思い当たりがありませんでした。


 だとすると、こっちかな。


「今日は、ヘルムフリート様はご一緒では?」


「ええ。あの人も忙しいのよ」


 おや 『あの人』 ですか。

『ダイヤ』 ではなくて……?

 こ れ は 怪 し い 。


 つつき回してお気持ちを傷付けるつもりはないのですが、できれば力になって差し上げたいのですっ。


「お姉様!」 両手でそっと、そのしなやかなお手々を包み込んでみます。

「もし差し支えなければ、お話していただけません? お力になりたいの!」


「……!」


 驚いてこちらを向く湖の色の瞳は、ほんの少し、潤んでいたのでした。

読んでいただきありがとうございます(^^)

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