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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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75/201

75.美青年の過去には、涙無しでは語れない悲恋物語が!?そして見た目ほどエロくない新事実を発見です!

ご訪問ありがとうございます。

後半に変態度高めなイチャイチャシーンが入ります。

嗜好が合わない方、お許し下さいませm(_ _)m

 そのお方は、美しいサラツヤストレートの黒髪でした。

 美しいけど腰まであるってどうなんでしょう?

(手入れが大変そうです!)


 と、シドのお父上の髪を、まずガン見してしまった私ことエリザベート・クローディス。


 シドにくっついてジンナ帝国観光にきたのに、ご本人があまりにシリアス入りすぎてて遠慮気味の16歳です。


 それはさておき。

 引き続き、お父上を観察してみましょう。


 美しいロングヘアに似合わない精悍なお顔。

 しかし瞳は柔和なスマイルで武装されています。

 この辺で辛うじて 『将軍様』 ではなく 『宰相様』 と分かる感じですね!


 お父上が口を開きました。


「久しいなアーロン」


「いえ……常日頃からお気に掛けていただき、身に余る光栄でございます、グァン様」


「当然だ。そなたはメイユの忘れ形見なのだからな」


「ではお言葉に甘えて」 サクサクと用件を切り出すシド。


「ジンナ帝国宰相家の名で、こちらのお嬢様に求婚することをお許しください。

 ああお許しいただけるようですね。ありがとうございます」


 シドさん? グァン様まだ、何の返事もされてませんよ?


 グァン様はコホン、と咳払いされました。


「それはそなたがこの宰相家を嗣ぐ、という意思表示かな」


「いいえ、とぉんでもない」 おおっ出たな、黒い笑み!


家名(ブランド)だけ貸して下されば結構です」


「……いずれはそなたが戻って跡を嗣いでくれるものと、期待していたのだが」


「その気は全く無いので。

 未練がましくしてないで、さっさと後妻を娶って跡継ぎ作って下さいね」


 ん? シドさん?

 大抵の子供って 『パパにはママのこと、ずっと好きでいてほしいんだ……!』 みたいなノリじゃないんですか?


「無理だ」 ふーっとタメイキをつく、グァン様です。


「死した人は記憶の陰に姿を隠す、と言われるが……メイユの姿は時が経つほど鮮やかで」


「俺はあなたを、彼女の夫とは認めていませんから」


 厳寒のルーナ王国の風が吹き込むような、冷たいシドの声にも、グァン様は穏やかにうなずきます。

 大人の余裕ですね!


「しかし求婚と言ってもアーロンよ。

 形式上は一応、女性から求婚がこの国の習わしだとは知っておろう?」


「ルーナ王国方式で結構ですよ。

 身分証明、家紋入りの封書、贈り物、肖像画。

 形式だけ整えれば良いのでその辺のもの適当に」


 シドが指し示す先には、あどけない表情の赤ちゃんの肖像画。


「「いやそれナイナイ」」


 うっかりグァン様とハモってしまうリジーちゃんです。


「急ぎ筆の速い画家を呼び、肖像画を描かせよう……3日程なら待てよう?」


 シドがしょぼ、とうなだれました。


「すみませんお嬢様。一瞬で終わりませんでした」


 どうやら余程、この屋敷に居たくないもようですね。


「いいのよ。画家さんがくるまでに、宿を探しましょう?」


 ところが。


「ここに泊まりなさい」 グァン様、いきなりの命令口調です。


「家名を利用するのであれば、それが条件だ」


 ジロリ、とシドが睨むのを涼しい顔で受け流し、使用人を呼んで 「案内せよ」 などと命じておられます。


 別れ際に、グァン様は思い出したようにぽつり、と言われました。


「そうそう、滞在中にメイユの墓にも行ってやるが良い」


「墓が?」


「そうだ、亡くなって5年でやっと許可が出た。

 皇帝陛下もお忍びで、時々参っておられるようだが」


「見つけたら殺しても良いですか」


 放たれた語気の激しさに、思わずシドの袖をきゅっと掴む、リジーちゃん。


 シドは一瞬目を伏せて、深呼吸しました。


「失礼、冗談ですよ」


「だろうな」 グァン様がリジーちゃんの方を向きました。


「すまないね、キツいところのある子で」


「存じておりますわ」


 その上に病的で変態な困り顔フェチですよね!


「そうか。上手く手懐けているようだったが、まさかここまで一緒に帰ってくれるとは思わなかったよ」


 グァン様のいかついお顔が柔和に微笑みます。


「あのツバメの話でいえば、ヒロインはツバメを閉じ込めるのでもただ待つのでもなく、新しい答えを見つけた、というわけだね」


「はひ!?」


 ……いきなり、びっくりですよ!

 びっくりしすぎて、ヘンな声上げちゃいましたよ、もうっ!


 どうして、ここで唐突に、リジー作  ″迷子のツバメのお話″ がっ!?


「あの本は、少数だが帝国にも入っていてね」


 やりますね、バルシュミーデ兄弟社!


「まぁこっちは、独自ルートで入手したのだが」


 つまりは 『スパイ経由』 ですか!?


 ……これ確実に、リジーちゃんが変態悪女のお色気作家ってことまでバレてる気がします。ガクブル。


 すわ処刑場行き? それとも毒殺?


 しかし、ゾクゾクする私に向けられるグァン様の目はあくまで優しく、口許は悲しげに少し歪んでおります。


「もう1つ、教えてくれないだろうか」


「わたくしごときが、宰相様に教えて差し上げることなど」


「そうかもしれないが……もし今でなくても、分かったら、教えてほしい」


 涙をこらえている微笑み方で、グァン様は言いました。


「凍えて死んでしまわないよう、自由に望み通りにしたのに、それでも失ってしまった時はどうすれば良いんだろうね?

 ……どうすれば、失わずに済んだのだろう?」



 ※※※※※



「あんな戯れ言、気にする必要ありませんから」


 案内された部屋で2人になると、シドは超絶不機嫌顔でそう言いました。


「だって……!」


 ボトボトに泣いているリジーちゃんの脳内では、少ない資料(ピース)から組み立てた、妄想ラブロマンスが進行中です。

 どこをとっても悲恋! でございます。


「グァン様もメイユ様も……! なんて、お気の毒なの!」


「妄想で泣かないで下さい」


「だってだって……!」


 本当を言うと1番気の毒なのは妄想の中のシドなのですが、それは内緒です。


 ……うううっ! なんて不憫なシド少年っ!


 ふぇーん、と再び泣く私の脚が、急に宙に浮きました。

 ……なぜに、ここで。

 姫抱っこ強制回収スタイルなんでしょうか、シドさん!?


 そのまま長椅子に座ったシドが、私の頰に唇を寄せてきます。

 こっこれは、もしやっ。


 ピキーン、と背筋が凍るリジーちゃん。

 で、で出たぁっ必殺・涙ススリ!


 しかも以前よりバージョンupです!

 (すす)るというより舐め取っておられます!


 んのぉぉぉぉぉぉっ!


 目蓋に軽くキスした唇が、ごく自然に鼻の先 (鼻汁吸われそう!) へ、それから唇へと降りてきました。


 喉の渇きを癒すかのように、一心に貪られるリジーちゃんのお口。


 なんか、唾液吸い取られてますね。


 正真正銘の変態ですね、シドさん。



 口づけたまま、乗馬服のタイが外され、大きな手が胸元に差し込まれます。……え? お胸?


 それはちょっと。

 いくらなんでも、やりすぎでは?


 でも、なんだか目に見えない何かから必死に逃れようとしているかのようなこの人を、突き放したりはできない、ような。


 どうしようコレ?


 戸惑う間にもシドの手が、お胸を揉みほぐしてきます……が!


 なんということでしょうかっ!


 こ、これは……っ!

 ロティーナちゃん降臨とは別系統の快感ですよ!?


 近いとすれば、というか、もう正真正銘の。


 コリほぐしマッサージ♡


 前世含め、今の今まで意識したこと無かったのですが……

 やばいですよ、これっ♡

 血流が良くなり、軽やかに!

(パイってこんなに重かったのか!)

 ついでに、肩コリまでがとれていくような感覚がっ♡


 どうしよう! クセになりそうっ!



 と、不意にシドの手が止まりました。


「もう終わり?」


「ちょっ……せっかく必死で止めてるのに、(あお)らないで下さい」


 恨めしげな顔で、胸から抜いた手をワキワキさせるシドさん。


「すみません、いつも通りストップかかるものと思っていて、つい」


「あら別に構わなかったのよ?」


 というか……うーんさすがに 「もっと揉んで♡」 とか言えませんね。

 なぜだか、口に出すと、恥ずかしいのです。

 ……実態はタダのコリ取りマッサージなのに、ねぇ?


「いえダメです」


「そうなの?」


 はい、と頷くシド。イイ笑顔です。

 よかった。ちょっと元気が出たのかも、しれませんね!


「アルデローサ様の初めてをいただく時は、きちんと計画(プラン)を練っていますので!

 しかも選べるように複数!」


 流されてついウッカリ、とか無いよう頑張ってますから、安心して下さいね!


『誉めて誉めて』 的なオーラ全開でキッパリと言い切る、シドさんなのでした。

読んでいただきありがとうございます(^^)


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― 新着の感想 ―
[一言] >お胸を揉みほぐしてきます 普通に肩と首の凝りが酷いと、大胸筋の上部を揉む場合があります。肩と首ばかり揉むと、揉み返しになりますので (;'∀')
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