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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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65.ナンパ青年とエロ小説談義で盛り上がる変態悪女!ただし好奇心には要注意、なのです!?

 さて1月(ヤヌアリウス)はまだまだ15日。

 バルシュミーデ兄弟社のパーティーでしつこくラズール ″鬼畜スズメバチ″ 青年に絡まれている、私ことエリザベート・クローディス。

 実はしがないお色気作家ルーナ・シー、でございます。


『お行儀いい』 などという思い掛けない侮辱にスパークリングワインを噴きかけ、トリセツbyヘルムフリート青年、と 『気をつけろ』byシドさん、の袖クイが頭からぶっ飛んでいるところでございます。


「あら! シー……の作品はじゅうぶんにエロいと思いますわ!」


『先生』 か 『さん』 つけようか一瞬悩みつつも、とりあえず呼び捨て。

 自分に敬称つけるなんてできないです。

 本音を言えば、自作の擁護も恥ずかしすぎる。


 でもですね。

『早く押し倒せグズ』 より 『お行儀いい』 の方が、お色気作家としては10倍はムカつく評価なのですよ。


 この人、ポリーちゃんにちっとも萌え萌えしてないのね! って。


 それは人の感性はさまざまですから、ジグムントさんやリーゼロッテ様のようにハァハァして下さる方もおられれば、ラズール青年のような評価を下される方もおられるのは、わかっていますよ。頭では。


 でもですね。

 苦労して産んだ、最高に可愛い自分の娘が侮辱されて、黙っていられる親がどこにいるというのしょう!?


「確かに、ポリーちゃんは脱ぎませんけれど。

 その言動! ちょっとした仕草や眼差し! しなやかな手足に細い首と指! 桜貝のような爪! 艶やかな髪!

 全てに愛の神(エロース)が宿ってますのよ」


 力説すると、ラズール青年は面白そうにキレイなオッドアイをパチパチ瞬かせました。


「君はポリー嬢が余程好きなんだね。いかにも、らしいなぁ」


「好きだったらいけません?」


「いや僕はね ″ポリー嬢″ がエロくないなんて言ってないよ。

 ただ、彼女よりその作者や彼女が好きな女の子の方により興味があるんだよね」


「何が仰りたいんですの」


 イラッとしますね、もう……っ!


 対するラズール青年、余裕です。

 スパークリングワインを1口含み、何やら企んでるような形に唇を歪めて、いかにもチョイワルな感じを演出しておられます。


「エロいことに興味津々の処女って、つい、どうやって躾けてやろうかとか妄想しちゃうよね?

 そっちの方が作品のヒロインよりソソるというか」


 爽やかに言ってのけられますが、リジーちゃんは唖然。


「そっそんな!

 シーが、しょ、いえ、そうだなんて、わからないでしょう?」


「え? ″ポリー嬢″ 読めばすぐにわかるでしょ」


「ど、どうしてですの!?」


 キョドりまくりのリジーちゃんに、ラズール青年は 「うーん?」 と小首を傾げてみせました。

 王女殿下とソックリの角度、さすがはイトコ様です。


「そうだな……眺めるだけで、ニオわない感じかな。

 どんなにエロくても絶対に一線超えないだろうって確信が持てる、お行儀いいところとかも」


「…………!」


『お行儀いい』 2度目です!

 この恨みは忘れませんよ!?

 後ほどコッソリ書字魔法で、ナンパ中に裸踊りしちゃう刑に処して差し上げますからね。ふんっ(鼻息)


 そんなリジーちゃんの内心シャウトに気付かぬ様子で、ラズール青年はやはり爽やかに、こう言い放ったのでした。


「ちょうど、表向きは 『殿方なんて不潔』 だの 『精神的恋愛こそ真の愛』 だのと清いことを言いつつ安全圏に身を置いている処女が、裏でこっそりエロい銅版画見て赤面しつつ悶えてる感じ。かな?」


 完璧に解説済んだぜ、という感じで満足げにグイッと杯をあおっておられます。でもですね。


『かな』 じゃありませんよっ!

 乳臭いジャリガール相手に、なんてことをぬかすんでんすかこの人はっ。


 絶対に、この人にだけは身バレ、ダメ。


 引きつりつつも、頭のどこかで 『言えてる』 と感心しちゃってる、リジーちゃん。

 まずい。好奇心が……刺激されて、いるのです。


「では、ユーベル先生の作品はどう見られてますの?」


「ああ!」 ラズール青年の顔がぱっと明るくなりました。


「聞きたい?」


「あくまで参考程度ですわよ」


「さっきリジーが 『毎回同じ』 とか言ってたけど、それは確かにそうさ。

 なぜなら、バリエーションを持たせることよりも 『至高』 を目指すことに注力しているからね。

 コレクター趣味はないんだよ」


「まぁ」 言われてみれば、リジーちゃんと一緒ですね。

 意外なところで親近感が湧いてまいりました。


「コレクターではなく、職人なんだ。現実からいい素材だけを取り出して丁寧に貼り合わせる。

 継ぎ目が分からないように、技術を使う。

 よりいい素材が見つかれば、それと差し替える。そうして少しずつ 『至高』 に近付いていくんだ」


 滔々と語るオッドアイが、熱を帯びてキラキラ輝いています。


「そうやって伺うと、ちょうどフォルネ・ライシュフェルト先生のお話の人形師のようですわね」


 フォルネ・ライシュフェルト先生は ″月刊ムーサ″ に時々、短編を書いておられるお方。


 先月の ″人形師の旅″ は、死体からパーツを集めて美しい人形に仕立て上げる人形師が、自身の死の間際に仕事を捨てて旅に出る、というお話でした。


 仕事を捨ててやっと得られた自由と明るい景色、なのに美しい死体を見るとつい疼く人形師の性……独特の世界観が闇の中で妖しくきらめく沼のようで、すっかり心捉えられて3度読みいたしましたとも。

 気になる方はぜひ ″月刊ムーサ″ 第12号をお買い求め下さいませね?


 それはさておき。

『人形師』 を例に出すと、ラズール青年は我が意を得たり、とばかりにコクコクと頷きました。


「そうそう! そのイメージ! 分かってるね!」


 なんだか熱心すぎて、鬼畜スズメバチ様なのに可愛らしく見えてしまいます。

 別に萌えたりしませんけどね!


「ラズール様はよほど、ユーベル先生の作品がお好きなのですね」


 思わずくすっと笑えば、日焼けしたお顔がテレっと崩れます。


「いや、好きというか、書いてるの僕だから」


「まぁ!」


 びっくりですね!


 ……けれど。

 衝撃の告白かというと。

 そうでも、ないような。


「いかにもな感じですわね」


「あまり驚かないんだね」


 少々、不満げなラズール青年。

 何サプライズ狙ってたんでしょうね?


「いえもう、お似合いすぎてらして」


 半開きの扇を口に当てて、笑いを噛み殺します。

 だって手の早いナンパ青年がエロ小説書いてるって。

 自称 『人形師』 って。

 なんかもう、いかにも、と感心するしかないでしょう、これは!


「人形のパーツに使われた方々がお気の毒」


「大丈夫。リアルはリアルで、ちゃんと1人1人愛してるから」


 王女殿下でなくても頭をハタきたくなる台詞を放つと、ラズール青年は恭しく私の手を取りました。


 しまった。話に夢中になりすぎて、油断したわ。

 さり気なく手を抜こうとしましたが、親指で柔らかく押さえられてるだけのはずなのに動きません!

(これも技術のうちなのでしょうかっ……?)


 手に近付けられた顔から、上目遣いのオッドアイがこちらを覗っています。


「ね、君も、至高の人形作りに協力してくれない? シー先生?」


 カキーン、と固まるリジーちゃん。

 だから 『先生』 ヤメテ。

 ではなくて。


 ……この人にだけは。身バレ。ダメ、絶対。

 だったはず、なのにぃぃぃぃ!

読んでいただきありがとうございます(^^)

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― 新着の感想 ―
[良い点] >ジャリガール 素晴らしい (∩´∀`)∩~♪ [気になる点] >『早く押し倒せグズ』 いいのか悪いのか教えてください (;'∀') [一言] ばれたぞ~(´;ω;`)ウゥゥ
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