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53/201

53.実はまだまだ続くコスプレ祭り?!意外なカウントダウンパーティーに変態悪女もびっくりです!

 かくして無事にカフェ特製・レーズンとリンゴとくるみの特大パウンドケーキをお土産にして、両親も使用人も込みで和気あいあいとかなり遅めの午後のお茶に興じた私ことエリザベート。


 翌日からは年末年始に向けて親戚への挨拶やら家族パーティーの準備やらで雪ニモ負ケス忙しく過ごしているうち、いよいよやってきましたよ!


 12月(フォルトゥヌス)は末日。

 そう、カウントダウン・パーティーでございます!


 わがクローディス伯爵家も、その準備で大忙し。

 そんな中。


「リジーちゃん?」 母が天使様の笑顔かつ完璧な角度で小首を傾げつつ尋ねてきます。

「そのドレスでは少し寒いでしょう?」


「だってせっかく作っていただいたんだもの! 1度きりではもったいないわ」


 午後のお茶の後、私が1人でさっさかさー、と着てしまったのは、ワインレッドの背中ガラ空きシフォンドレス。


 夏の晩餐会以来ですね!

 着替えにナターシャの手を借りなかったのは、モチロンこういうツッコミを想定したからなのです。

 くすっ (ほくそ笑み)


「いえね、冬はイブニングドレスでなくても良いのよ?」


 知ってますよお母様。

 ルーナ王国では社交シーズンは夏ですものね!

 王宮のカウントダウンパーティーは異例なのです。

 わざわざ招待状にも 『カジュアルで温かな服装でお超し下さい』 と注意書きがある程ですから!


 さて、そんな親切な注意書きを無視して、正式なイブニングドレス (ルーナ王国では胸と背中ある程度見せ必須です) なんて着たら……


「まぁ何か勘違いして張り切ってる子がいるわよ?」 などと冷~やや冷ため温度の視線を送られること間違いなしっ!

 しかしそこを敢えて着る、のです♪


 社交界に普段参加していない身、冷ややか視線もなんのそのっ!

 悪目立ちばっちこいっ!


 なんたってこれは、久々の視姦されるチャンスなのですからねっ♡

 最近は、する方の愉しさも覚えて更にはフェティシズムにまで手を出しているとはいえ、初心は忘れませんとも。

 ふふっ(含み笑)


「リジーちゃん……そんなにドレスが好きなら、もっとおねだりしても良いのよ?」


 母、なんだか別方向でショック受けたもよう。

 娘が 「ウチは貧乏」 と勘違いしてドレス1着作るのも遠慮しまくっているストーリーが脳裏をよぎっているのでしょうか……


 いえね、お母様。リジーちゃんはウチが適度な金持ちなのは知っていますが、前世は枯れ庶民だったのでね。


「だってこのドレスが1番嬉しかったからこれが良いのよ! お母様やナターシャと一緒に決めて、お父様とダンスしたドレスですもの」


 もっともらしい理由を述べて誤魔化していると、背後から 「うっ」 という呻き声が聞こえてきました。


「リジーときたら、なんて可愛いことを言い出すんだ!」


 父が感極まってハンカチで涙を押さえています。

 最近涙もろいのです。トシかな。


「お父様とダンスなんていつでもどこでもできるじゃないか! なんならその度にドレスをあつらえても」


 娘可愛さのあまりにハルモニア広場に首を並べる勢いの発言です。

 ダメ絶対。首切られるのは悪女だけ、なのですよ。


「ダメですわ、お父様。だって何十着のドレスよりも、想い出が残るこちらの方が100倍は価値がありますもの」


 ドケチ精神と気付かれないよう、それらしい理屈を可愛らしくコネておきます。

 ハンカチを握りしめ天井を仰ぐ父。


「くぅーっやっぱりリジーは世界一かわいいなぁ! そう思うだろう、シド」


「はい、さようでございますね。旦那様」


 いきなり振られてもイイ笑顔でしれっと答えるシドさん。

 きっと父が何言ったかなんて聞いてないんでしょうね!

 ちゃんと聞いてたら 「世界一? オマエの娘は変態悪女だけどな? この親バカ」 的な薄ら笑いが口許に浮かぶ筈ですからね。


「ですけど、やはり場に合わない服装は困りますわ」


 母が珍しく少しばかり眉根を寄せて考え、ややあって 「そうだわ」 とぱっと顔を明るくさせました。

「少し待っていてね」 と言い置いて、ファルカと共に衣装部屋へ。


 どうしたんでしょうねぇ!?

 ドキワク。


 しばらくして母が持ってきたのは象牙色のストールとロンググローブ。

 ストールは柔らかな光沢とドレープが美しいシルクサテン。

 確かに、羽織るだけでも夏っぽさが無くなっちゃいますね!

 ロンググローブもまた然り、なのです。


 でも、これ……見えませんよね? 背中。


 魅惑の二の腕もロンググローブで半分隠れちゃうしっ!

 あ、でもこれはでかえってエロいかも!?

 ガーターベルトと一緒ですよね!

 ストールの間からチラチラ見える二の腕強調ライン……うんイケる! たぶん。



 そんなわけで天使様のしぶしぶOKも得たリジーちゃん。

 王宮のパーティー会場にシドと共に乗り込んじゃいますよっ!


 シドも本日は、父から最新のテールコートと白タイ、金のタイピンを借りています。

 というのも、王女殿下の慈善活動に協力した人は身分関係なくカウントダウンパーティーの招待客だから、なんですね!


 とはいっても王族がメインのパーティーです。

 どれだけお上品なのか……ドキドキドキ……あれ?


 今通り過ぎた方、メルクリウスのコスプレに仮面つけてた。

 え?仮面?

 そんなこと招待状に書いてましたっけ?


 わたわたとホールを見回すリジーちゃん。

 ……ん?……んんん?

 どうしてこんなことにっ……!


 見渡す限り、いらっしゃるのはコスプレ仮面、もとい仮装舞踏会状態の皆様。

 フォルトゥナの使者や幸運の女神(フォルトゥナ)様、黄金の竪琴を抱え月桂樹の冠を被った太陽神(アポロ)様などが、ゆったり談笑中でございます。


 ぜったい招待状にはなかった、うん。


 そんな皆様の中から、一際眩いオーラを放つフォルトゥナの使者様がこちらにやってこられました。

 この輝かしいメガパイはもしや。


「リーゼロッテ様!」


「リジーちゃん、シドさんいらっしゃい! 来て下さって嬉しいわ」


 ニコヤカに微笑みつつぎゅうっとメガパイを押し当てて……もとい抱擁して下さるのは、やはり我らが王女殿下です!


「素敵なドレスね。髪型もよく似合っているわ」


 緩めの編み込みをまとめたナターシャ作・ふわふわアップスタイルほめていただきました、嬉しいっ。

 けれども。


「わたくしたち、この中ですと物凄く浮きますわよね?」


 小声で確認すると 「ゴメーン言うの忘れてたっ」 という完璧気遣いさんらしからぬお返事。

 でも普段はなさらない 「てへぺろっ」 の表情が可愛らしすぎて、やっぱりギャップ萌えです!

 許して差し上げますとも。

 当然ですよ、ええ!


 そもそも変態悪女は 『浮く』 なんて気にしませんからね。


 そしてなぜ、王家のカウントダウンパーティーがコスプレ仮面祭り……もとい仮装舞踏会状態なのかというと。


「今日は年1回の、本気の無礼講だから!」


 王女殿下の解説によると……

 フォルトゥナ祭の慈善活動に関わった者は身分問わず全員招待しているため、が表向きの理由。

 本音は 「王族だってたまにはハメを外したいのよ!」 ということらしいです。

 たまには、ってリーゼロッテ様……と、ここツッコむのはやめておきましょう。


「ほら、今日はあちらにおられる門神(ヤヌス)様にワインぶっかけても本気でお咎めナシ、なのよ」


 コソコソと耳打ちされて目をむければ。

 頭の後ろにもう1つの顔(お面)、腰に鍵束をつけ錫杖を持った姿で、数人のメルクリウスと談笑しておられるのは……


「もしかして国王様」


「あったりー! さすがね、リジーちゃん」


 にこりとするリーゼロッテ様です。なるほどなるほど。


 ……でも、リジーちゃんとシドさん、確実に浮いちゃいそうですねぇ。

 ……いえ、気にはしませんが、でも。

 リーゼロッテ様にもお目に掛かれたし、もう帰ろうかな?


「リジーちゃんも無礼講楽しんでね!」 そんな思考を読んだかのように、サクサクと先回りする王女殿下。


「仮面は貸してあげるわ。衣装も貸してあげても良いんだけど」


 リーゼロッテ様は言葉を切って、じっとこちらを視姦……いやん、違った、ご覧になりました。


「せっかく素敵だから、このまま小物だけ変えて幸運の女神(フォルトゥナ)にしましょ?」


「シドにも衣装貸していただけます?」


「そうねぇ……」 リーゼロッテ様はじいっとシドを視姦、いやいや、ご覧になっておっしゃいました。


「では中のシャツとタイはそのまま活かして 『王子様』 にしましょうか」


「えっ」


 シドさん珍しく、カッキーンと固まってしまいましたねっ!?

 これは仕上がりが楽しみです!

 ぷぷぷぷっ(妄想笑)

読んでいただきありがとうございます(^^)

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