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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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49.お友達の不思議な行動をも凌駕する、甘みハンパないお茶会!身も心も蕩かし存分に味わいましょう!?

ご訪問くださりありがとうございます!

今回はひたすらオヤツ中……閑話的にお楽しみくださいませm(_ _)m

 こうして、年の瀬も迫った12月(フォルトゥヌス)は15日の昼下がり。

 ひと仕事もふた仕事も終えた、嘘、コスプレ祭りで楽しく盛り上がった (ほぼ真実) 私ことエリザベート・クローディス、大人の階段を登りつつある16歳。


 ただいま、五感のもたらす官能の歓びに耽溺中でございます。


 すなわち。

 鼻腔をくすぐる華やかな芳しい香。

 てりっとした何とも言えない色艶。

 職人のプライドを垣間見るようにさまざまに工夫された形。

 触れば次第にじっとりと汗ばみ、口に含めばトロリと蕩けるであろうその滑らかなお肌。


 耳を澄ませば、ホラ。

「あたしをた・べ・て……?」 「いいえ、あたくしを♡」 「なにを申す、わ・ら・わ・じゃ☆」


 蠱惑的な姿を惜しげもなく晒し列をなしておられる彼女らの囁きまでもがっ……!


 そう! すなわち!

 チョコレート、なのです!

 ″ヴェルベナエ・ドゥルシス″ のチョコレートボンボン様たち、なのでございますっ!


 しかも全種類が1人あたり1コずつ、という豪快さ!


「ふぉぉぉぉうっ!」

 ついついアニメ的感動の声も上がってしまうというものですよね♡


「余ったらおっしゃって? 包ませるわ」


 ニコヤカな王女殿下の横では、ダーナちゃんが早速パクついてます。

 が、チョコレートではありません。

 ケーキだなんて、ふっ。お子様ね?


「さすが王宮のパティシエですわ!

 甘さ控えめで大人な味わいで、いくらでも食べられそう!」


 いやダーナちゃん1切れにしとこうよ。

 せっかく仲良くなったのに若くして糖尿病で亡くなられたくないから。


 と言いつつも 『大人な味わい』 ……気になりますね!


 チョコレート様たちを裏切るわけではありません。ほんの1口、ですよ? うん。

 と、ベリーで飾られた可愛らしいケーキを1口し、言葉を失うリジーちゃん。


「はぅぅっ……!」


 確かにダーナちゃん評どおりの味わいですね!


 果てしなく滑らかなクリームが口の中でスルッとほどけたと思えば、中のスポンジはさらにふわりと柔らかく抵抗なく喉の奥へ。

 ああ待って! と引き止めようとした時すでにその姿は無く、後に残るのはしっとりとほのかなブランデーの香だけ……うーん芸術。


 言い換えるならばこんな感じですね。

『 美しさとあどけなさが同居する、その女の純白なる絹のガウンは触れなば落ちん花びらの如くにスルスルと脱げた。

 現れたのは可憐な顔立ちにそぐわぬ豊満な裸体。


  白磁のような滑らかな肌は一見作り物めいているが、その下には熱き血潮と魂を感じる。

 もっとよく確かめんと手を伸ばせば、あわあわとどこまでも優しく柔らかく指を包み込む感触に、天上に遊ぶもかくや、という心地。


  もう耐えられぬ、とかき抱くが、当然あるべき重みはそこには無かった。女はふっと謎めいた微笑みを浮かべ、彼の(かいな)からすっとその姿を消してしまったのだ。

 ……後には茫然とたたずむ、彼1人だけ。


  もしや白昼夢、幻の類であったか。

 しかしそこにはまだ、誘うような女の残り香がほんのりと漂っている……』


 ふうー(満足)

 魔性のケーキならば、いくらでも食べてしまいそうになるはずですね!

 なるほど納得、なのです!


 でもですね。ここでほだされるわけには参りませんっ!

 リジーちゃんには、チョコレートボンボン様という、すでに約束したお相手がいらっしゃるのです……

 ここで裏切ってしまっては、申し訳が立たぬというものっ


 ホラ、前世は日本の吉原でも相敵(あいかた)を変えるのは御法度だったというではありませんか!


 ちなみにここルーナ王国の娼館でも、あまりに頻繁にお相手を変える客は追い出されるのだとか。

 ユーベル先生の連載の中でも遊びまくった主人公が最終的に出入り禁止になっておりました。

 ―――穴棒アーンに気をとられて気付かなかったけれど、けっこう作風暗いですねユーベル先生?―――


 と、それはさておき、そんなわけで。

 お待たせしました、チョコレート様方!

 まずは冬の新作フレーバーちゃんたちからですよっ……たっぷり視姦させていただきますとも!


 新作フレーバー2種は、ともに目にも眩いホワイトチョコ。

 均整のとれた六角形の方がフォルトゥナ祭、可愛らしい雪だるまの形は雪灯祭のイメージと思われます。


 六角形の表面には金銀で繊細な雪の結晶が箔押しされ、雪だるまの方はチュルっと施されたダークチョコのマフラーがオシャレです。

 雪だるま君の目鼻とボタンは、色付きのトッピングシュガー。


 こんな子を美味しくいただいてしまうなんて……ハンパない背徳感がイイ感じですねぇ! (身悶え)


「チョコレートも美味しい!」


 あらダーナちゃんたらパクッと1口でいってしまったようです。

 健全ですね!


(えぇぇぇぇ! もっと、後ろ暗くネチネチと味わおうよダーナちゃん!) とは、思っても言いませんとも。

 悪女の価値観が善女などに理解できるとは考えておりませんからね、ふっ(微笑)


 さぁ、リジーちゃんも、まずは雪の結晶からかじってみましょう!


 …………ぉお!?

 まろやかなホワイトチョコの中身は大胆にも、蜂蜜でキャラメリゼされたリンゴと糖度低めのパリッとしたダークチョコレートの2層。

 こんな組合せありか!?

 でも不思議と合っている!


 クニクニと柔らかなリンゴの黄金の甘みを、苦めダークチョコの固い食感が 「それだけでは終わらせないぜ」 とばかりに引き締め、そんなヤンチャな主張をしているガナッシュをふんわり包み込んでまとめるホワイトチョコ様。


 メガ優しい甘みの中にもほんのちょびっと、本当にほのかにラム酒が香るところがなかなかイケてますっ!


 何ですか 『生徒会長だけど実は裏番張ってます』 的な感じでしょうかっ……その包容力には全不良共がメロメロ、みたいな。

 つまりはどんな人もウットリしちゃいそうなほど、キッラキラな幸せの味なのです!


「シドこれ美味しい!」


 雪の結晶の断片を、通常のごとくシドにもあーんしておいて雪だるま君に取り掛かります。


 こちらは……うーん、またしても意外っ!

 なんでこんなの思い付くのでしょうか!?

 ホワイトチョココーティングの中にダメ押しのようなミルクチョコ。

 そして、その更に奥にショウガのワインコンポートがどっしり構えておられるという奇跡……!


 2種類のチョコが奏でる甘々ハーモニーにコンポートのスターアニスとクローヴがその香で参戦。

 そこに華やかなワインが流れるような旋律を添え、しかし背後はショウガがパーカッションでピリッと締めているのです!


 ええ、またしても神様降臨しちゃいましたね!

 いや、少し間違えば崩れてしまいそうな、この絶妙なバランスを成立させた職人が、もう神ですね!


「これもすごく美味しい!」


 無惨にも腹から下しか無くなった雪だるま君をシドの口にあーん、と放り込むリジーちゃんです。


 ……が。

 なんか、目線、感じるような?


 ん? と振り返ると、ダーナちゃんが慌てて目をそらせました。

 そらせそこなったルーク君の目は、なんだか宙をウロウロ泳いでおりますよ?

 ……2人とも、何だかお顔が赤いですねえ?


 部屋が暖まりすぎ、でしょうか。


「ダーナちゃんどうしたの? 暑い?」


「い、い、いや、そんなっ! あ、で、でもっやっぱりそうかも!」


 扇で胸元に風を送るダーナちゃん。

 ルーク君にも風が行くよう気を遣ってあおいであげているようです。

 優しい子なんですね!


「冷たいお水どうぞ?」

 ニコヤカに完璧気遣いさんを発揮されるリーゼロッテ様。


「あ、かたじけのうございます!」


 ダーナちゃん、早速ゴクゴク。

 もしかしたら食べ過ぎたのかもしれませんね!


「無理しなくても良いと思うわよ?持ち帰りもできるのだし」


 小声でこっそり言うと、頷きと共に何か問いたげな目線が帰ってきました。何なのかな。


 結局その後もダーナちゃんは、チョコレートとケーキをパクパクとよく食べつつ、時々こちらを見遣ってすぐに目を逸らす、という不思議な行動を繰り返したのでした。


 何だろう。何か失敗したかな?


 もしこれが前世ならめちゃくちゃ気になるところ。

 で・も・で・す・ね!

 今世の私はもちろん、気にしませんともっ!

 悪女ですからね!

 気にしてられないくらいチョコレートボンボン様たちも美味しいしね!


 社交や人間観察よりも食欲!

 それはもう、基本ですよねっ!


「シド、これも食べて!」

 ついつい、かじってはあーん、を繰り返してしまう、リジーちゃんなのでした。

読んでいただきありがとうございます(^^)

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