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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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44/201

44.黒い野望のためには王女殿下の権力も利用する変態悪女!それでも親切な王女殿下のおかげで飛び込み取材できそうです!

 さて、時はまだまだ11月(ディアナベル)は15日。


「ふふふっ。楽しかったわ」

 和やかにお忍び訪問を終えてご機嫌な、王女殿下ことリーゼロッテ様。


 嫋やかな両腕に、リジーちゃんと一緒に作った爽やかな香のブーケとサイン入りの ″月刊ムーサ″ 11月号をしっかりと抱えていらっしゃいます。


「私がお持ちしますよ」 と、やっぱり従者が板についている感があるヘルムフリート青年、その正体は侯爵家令息様。

 それでいいのかしら。……いいんでしょうねぇ。


「いいの! わたくしが持ちたいの」


 ああ、王女殿下ったら! またまた、そんなギャップ萌えな台詞をっ!


 屋外なので口許を多少緩める程度のヘルムフリート青年。

 さっきブーケを作る王女殿下を見守っておられた時はもっとデレていましたが、場所はわきまえるタイプなのですね。


 リーゼロッテ様とヘルムフリート青年を送りがてら、リジーちゃんとシドも、通りをブラブラ歩きます。

 冬も間近な今はどんよりと冷たく曇りがちなお天気。

 けれど街はその分、華やかに彩られています。


 家々の門や戸口はナナカマドの赤い実のついた枝やリボン、鈴や染めた繭玉などで飾り付けされています。

 住人それぞれの個性が伝わってきて、ゆっくりじっくり見ても飽きませんねぇ!


 来月のフォルトゥナ祭が待ちきれない感のある気の早い家には、『幸運の女神(フォルトゥナ)の使者』 を象ったオーナメントも。

 純白の翼と虹色の髪を持った美女のお姿があるだけで、曇天に沈みがちな建物もパッと明るく見えます。


「前回の "ポリー嬢とジュエリー" も良かったし、今回の "仮面舞踏会のポリー嬢" も楽しかったわ!」


 歩きながら拙著 ″令嬢ポリーの華麗なる遍歴″ の感想を言って下さるリーゼロッテ様。

 今回どころか、前回分もきっちり覚えておられる所が……うぅぅ、感動です!


「ジュエリーは ″ルミニスマーレ(うちの店)″ を参考にしたと前に伺ったけど、すっごく素敵に書いてくださって」


 ああ素敵に見えたんですね、良かった!


 王女殿下は言葉を切ってふふふっと可愛らしく笑います。


「美青年には美少年にない良い点があるのも分かったわ」


 おおぅ、チャンスですよヘルムフリート青年!

 この機会に場所わきまえず一気にプロポーズしちゃって下さい!

 ガンバレっ!


 ヘルムフリート青年の方へ熱烈な目線を送りつつも 「ありがとうございます」 とお礼をいえば、返ってくるのはまた、初夏の木漏れ日のような含み笑い。


「もちろん、美少年の方がイイけれどもね」


 えっ……そうなんです、……か。


 勝手に盛り上がりましたがチャンスまだだったようです。

 ごめんね、ヘルムフリート青年。

 しょぼん (落ち込み)


 ナナカマドの実を茶色い小鳥がつつくのを眺めつつリーゼロッテ様がおっしゃいます。


「けど ″令嬢ポリー″ 連載終了は寂しいわね」


「ええ」


 しとやかにお返事しつつも、どうしましょうっ!

 今、ポリーちゃん単行本化への黒い野望が、突如として胸に湧き起こっちゃいましたよ!


 そう、世の中にはちゃんと、王女殿下やジグムントさんのようにポリーちゃんを理解し愛して下さり、会えなくなるのを寂しいと思って下さる読者もきっといるのです。


『そろそろ揉ませろ』 『早く押し倒せグズ』 という読者ばかりではないのですよっ (イエ読んでくれるだけ有難いですけどモチロン)。


 とするならば、この野望はドス黒くても押し通すのがスジというもの!


 せっかく王女殿下と街歩きという滅多にない機会ですからねっ!

 ここは猛プッシュさせていただいちゃいますよ!

 王女殿下と一部読者とリジーちゃんのためにも!


「大丈夫ですわ! 最終回は盛り沢山なので楽しんで下さいね。

 もしかしたら未発表の書き下ろし追加で単行本も出るかもしれませんし」


 黒い野望に王女殿下の権力をそそげばもしかしたら悪魔(ほんたい)召喚もできるかも、というものですよね。


 目指せ、微細かつ美麗かつウッフンな銅版画挿絵の単行本でポリーちゃんメジャー化! なのです。


 ほら、王女殿下の瞳もキラキラしてきましたね!

 なかなか良い感じです。


「ではまた、バルシュミーデ兄弟社に問い合わせてみるわね!」


 その意気ですよ、王女殿下!

 ぜひ権力をムダなところでバンバン使い、ポリーちゃんに日の目を見せてあげて下さいね、ふふふ(悪女的笑)



 それはさておき。

 歩きながらの話題は、いつも以上にコロコロと転がっていくもの。


「そういえば次回の連載も決まったのでしょう? フェティシズムでいけそう?」


「はいっもうリーゼロッテ様のおかげでバッチリですわ!」


 そういえば前回お遭いした時は、パーティーの話になってこっちは話していなかったのでした。


 そこで、新連載 ″カレィニン公爵夫人の優雅なるお遊戯(仮)″ の設定を滔々と語るリジーちゃん。

 美貌の金持ち未亡人とジュエリー愛、と聞いて王女殿下すでに萌萌して下さっているもようです。


「ジュエリー!? ジュエリーが美少年に!? ああああんっ」


 その声はイキ過ぎですよ、リーゼロッテ様。

 思わずヘルムフリート青年の方を確認しつつ (相変わらず鉄壁ノーブルでした。慣れてるのかな) 説明を続けます。


「美少年だけではないですけどね。

 初回は裸体に宝石だけを身に付けた美の女神(ウェヌス)様のような公爵夫人のジュエリー愛をとくと御覧に入れますわ!」


 そう、ポリーちゃんは脱がない人だったけれど、今度こそ、目指せ読者 (スケベ男性) 離れ回避!

 ″令嬢ポリー″ 執筆により視姦する方にも目覚めかけている私に恐いモノなどありません!


 アナスタシア・カレィニン公爵夫人は高貴で清楚な美女に見えつつ、裏では脱いで触れてナメられるお人なのですよ!

 もっとも、擬人化したジュエリーたちの前でだけですけどね。

 でも鉄板のギャップ萌えでしょう? くすくす(忍び笑)


 私の憧れや主義主張だけでなく、皆で楽しく共有できる美をモットーにガンバルのです。


 来年の ″月刊ムーサ″ 1月号に記載の初回はまだジュエリーは擬人化せず、公爵夫人とジュエリーたちの絡みを存分に、そして読者サービスもばっちりに書かせていただく所存。


 夜の暗がりにほのかに揺らめく燭台の明かりの中。

 美貌の未亡人はゆっくりと清楚な白銀のイブニングドレスを脱ぎ捨て、黄金のような瞳で水晶とアメジストとピンクダイヤのアンクレットを熱烈に視姦しつつ細い足首に纏わせ、象牙のような指に輝くダイヤの指輪をハメるのですっ……

(侍女は? とか、脱ぐ必要なくね? などのツッコミはナシでお願いします!)


 そして、その桜桃のようなお口に真珠の腕輪の粒を1つずつ含んだり、大粒のルビーを長めの舌でナメナメしたり、エメラルドの首飾りに豊満な白い胸をすり寄せたりするのです!

 はぁぁう美しい……いえ美には老若男女も変態も関係ありませんからね!?


 おっと王女殿下を無視して妄想トリップしてしまうところでした、イケない。

 一体、何をおっしゃっているんでしょうか?


「イメージが湧くように、とっておきのジュエリーを見せて差し上げるわ?」


 キラキラの瞳続行のまま言って下さっているのは、どうやら取材のお誘いのようですね。

 もちろん、満面の笑みでお受けしましょう……っ!


「喜んで!」


 こうしてリジーちゃんとシドは久々に王女殿下のジュエリー店 ″ルミニスマーレ″ に寄ったのでした。


「あっお久しぶりです! ようこそいらっしゃいました!」


 満面の笑みでシドに頭を下げるのはインテリ系美青年の店員さんです。

 眼鏡が誰かさんと違ってよくお似合いですね!

 テンプルに填め込まれた宝石のツブからすると、この方はもしや……サファイア青年でしょうかっ!?

 瞳も鮮やかなサファイアの色、ですしねぇ……!


「どうぞ! 新作をぜひ御覧になってくださいね」


 シドさんはどうやら、10年分の給料を注ぎ込んだ貢ぐ君としてばっちり記憶されているもよう。

 それにしても王女殿下(オーナー)より客優先とは店員教育徹底してます。


「あ、今日はお買い物じゃなくてね」


 王女殿下が慌てて止めます。


「この方にお見せしたいものがあるだけなのよ。金庫の方に行っても?」


 もちろんです、と(推定)サファイア青年が頷き、私たちは店の奥の階段を地下へと降りて行ったのでした。

読んで下さりありがとうございます(^^)


新しくブクマいただき喜んでおります。

これまで読んでいただいた方、ブクマつけて下さった方のおかげです!まことに感謝ですm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] >美には老若男女も変態も関係ありません (∩´∀`)∩ 先生! ほ ん と う で す か ? ww
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