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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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39/201

39.とある令嬢の結婚話にパパ暴走?!担当さんの愛に悪女も痛み入る印刷室の密議!

訪問いただき有難うございます(^^)


今回もリジーちゃんが極端な主義主張をコッソリ考えたりしております。ご意見合わない方はすみませんm(_ _)m

 さて、新連載のアイデアをいったん遠回し気味にボツにされた翌々日。


 再び、シドとバルシュミーデ兄弟社を訪問中の私ことエリザベート、またの名をお色気作家ルーナ・シー。


 今度は応接室ではなく通常通りの印刷室です、良かった。

 推定ただ1人の事務員兼庶務のサラさんのためにも、良かった。

 次回応接室の時にはあらかじめ、お茶を断ろうと思います。


「すみませんね、こんなところで」


 壁際にズラリと並ぶ金属活字がいつ見てもすごい部屋で、いったん作業の手を止めて私の話を聞いてくれるジグムントさん。

 忙しいのに有難いことですね!


「とんでもないですわ」とニコヤカにしつつも、早速コンコンと語り始めちゃいますっ

 何を、って?それはもちろん。


 新・連・載のアイデアでございます!

 リーゼロッテ様からいただいたヒントのおかげで、ばっちり練り直せたのですよ、ふっふっふっ (ほくそ笑み)


「……というわけで次はフェチをテーマにしようと思うの。いかがかしら」


『ふぇち』という略語はルーナ王国にはまだありません。というか、フェティシズム自体がそれほどメジャーな概念でもありません。


 だってさ!

 いわずもがな、っていうか、ね。


『ふぇち』なんて言ってたら廚2文章当然のルーナ王国版・恋の詩なんてどんだけそれで溢れてることか。

 髪に手に足に瞳に。

 真っ直ぐに「好きだ!」とか言わずに美しさを誉めそやす世界はフェチだらけですよ、はい。


 そんなわけで、このテーマは概念的には馴染みがないけど文化的にじゅうぶん受け容れられる余地がある、はず……と思うんですけど。


 どうでしょうかジグムントさん?


 上目遣いに反応を伺うと、うーん、と難しい顔をして考え込んでいます。


「つまり、その、フェチというのはアレですよね。タルカプス・アムフォイトマン先生のような偏愛主義ですよね」


「その通りですわ」


 タルカプス・アムフォイトマンは、私の敬愛するサルウス・プロスペル・エッケバッハ大先生と同じく約50年前に亡くなった貴族です。

 位は子爵でお堅い役人だった、かの先生。

 けれども、しかぁしっ!


 その陰で何本か書いていた小説は、半端なくディープな 『偏愛主義』 なのでございます!


 その変態ぶりには敬意を払うリジーちゃんですが、実は、アムフォイトマン先生の作品は、苦手というか性に合わないというか。


 水に浸したシルクが肌に貼り付くような文体がなんとも気持ち悪くて、何年も喰わず嫌いを決め込んでおりました、ゴメンナサイ……なのです。


 けれども、しかし。

『ふぇち』というテーマが浮上してきた以上はスルーできませんっ!

 慌てて父の蔵書をひっくり返して勉強させていただきましたとも……っ!

 頑張りましたよ、イェェイ!


 その文体にゾワゾワ、ディープな変態ぶりにゾクゾクしながら半徹夜で3冊読破。


 今や、自信を持ってニッコリできるのですっ!


「彼の変態ぶりを見習いつつ、もっと軽やかに楽しめるエロを目指すつもりです」


「大丈夫ですか?」


 気遣わしげなジグムントさん。


「今は細道かもしれませんがいずれメジャーな道にして差し上げますわ!」


 えっへん!

 胸だって、張っちゃいますよっ!


 ……ところが。

 そこで、背後からボソボソとする、シドの声。


「お嬢様のスペック的に大丈夫かと聞かれているんですよ」


「大っぴらにイヤらしいのは無理かもですが、隠れイヤらしいのはお任せ下さいな」


「いえ、ですがしかし……」


 ジグムントさん、まだ心配そうな顔をしていますね。


 どうしたというんでしょう?


「視姦と違ってフェティシズムとなると、スリスリしたりナデナデしたりナメナメしたりも当然入ると思うんですけど、その辺は」


「その程度乗り越えてみせますわ!」


 何しろ悪女ですからね!

 前世の電車内チカンその他の恐怖など、ネタにした後換金し更にはチョコレートにしてじっくり味わい呑み下して差し上げましょう!

 ザマヲミナサイマセ!


「まぁ……それでは試しに書いてみましょうか。

 無理しなくても、ポリー嬢でそのまま続けても良いですからね。

 クレームなんて一部のことですし」


 ジグムントさん、顔面にデカデカと 「ホンマ大丈夫やろな?」 と描きつつもOKしてくれました。


「ありがとうございます……っ!」 感動しちゃいますねぇっ。


 こんなに心配して、こんな風に言ってくれるなんて、本当に、なんと有難いことでしょうか……っ!


 こんな方が担当だから、安心して新しい世界に冒険(新連載を開始)できるのですよ。


「ではなるべく早めに構想を仕上げてきますね!」


 ワクワクしつつ、お約束ですっ!


 ……と。

 えへん、と咳払いをするジグムントさん。


「ポリー嬢最終話も忘れないで下さいね」


「もちろんですわ」 またしても、えっへん、と胸を張っちゃいますよ!


「もう、プロットはできていますの」


「ほう、それは頼もしいですね! どんなのでしょう?」


 ジグムントさん、一気にニコニコです。

 何と言っても、ポリー嬢の誕生から見守って下さっている方、ですからね!


 では。

 ポリー嬢の〆に相応しい感動のあらすじ、有難く拝聴して下さいませね!?


「読者サービスで甘々かつ盛りだくさんに!」 一気にまくしたてて差し上げましょうっ!


「雪灯祭でエデルフリート青年からのプロポーズを羞じらいつつ受ける様をガン見され、その後婚約式での美しい装いを目一杯視姦され、続く結婚式のためのドレス採寸でまたしても従者に覗き見られ、その後結婚式での清楚なドレス姿に賞賛と欲望半々の眼差しをヌメヌメと向けられるのですわ!」


 特に結婚式のためのドレス採寸で再び覗き見する従者が、リジーちゃん的にはツボなのですっ


『手を伸ばせば触れられる位置に居るのに実際に触れることは、これまでもこれからも、一生無いまま。

 最後のなまめか下着姿をせめてもの思い出に……』 みたいな。


 うぅ、切ないですよねぇ!?


 言いながら萌え萌えしていると、不意に異様な物音が響き渡りました。

 慌てて妄想から戻るリジーちゃん。

 見れば、なんとそこには。


「んのぉぉぉぉぉぉっ!」 物凄い形相で頭をかきむしるジグムントさんが……っ!


 ……え?


「絶対ダメですっ!

 ポリーちゃんは絶対に、何があっても、嫁にはやりませんっ!

 婚約式、いや、プロポーズされたところで終わって下さいっ返事はいいから!」


「ええええっ?!」


 愕然としすぎてアゴ外れるかと思いましたよ今。


 そんなに大幅に削ったら、全然、盛り上がりませんよね……っ!?


 しかしジグムントさんは無情にもこう宣言したのでした。


「私もこういうことを申し上げるのは辛いんですが、もし結婚式や婚約式やプロポーズOKの返事がチラッとでも、出ようものなら!」


「……ものなら?」


「ポリー嬢は終了ではなく、無期延期中とさせていただきますよ!?

 いずれは旦那との仲を裂き、離婚に追い込みますからね!?」


「……ひえぇぇぇ……」 普段は口に出さない台詞を呟きつつ、後ずさるリジーちゃん。


 ジグムントさんたら。

 目がイッてますよ?

 こわいですよっ!?


 単に、娘を嫁にやりたくないパパの気持ちってことで、理解は、しますけど。


 でもパパなら、もう結婚してしまったら後は平和な家庭生活を祈ってくれませんかね?


 離婚させるって何?


 涙目になっていいですか。

 というよりもう、泣いちゃってもいいでしょうかね……っ!?


 本気の恐怖でお目めがウルウルしてきちゃちいます。

 ……悪女なのに、情けないっ!


「……では」 シドが口を開きました。

 ジグムントさんとの話の時にはツッコミは入れても提案とかはしない子なのに、珍しいこともあるものです。


「夢オチでいかがですか」


「シドさん……!」 なんとナイスアイデア!

 感謝の気持ちで、シドの手を握りしめて振り回します。

(迷惑そうな顔ですね! ふん、だ)


 ええ、もちろん、全力で乗っからせていただきますとも!


「プロポーズから結婚式までを夢の中の出来事にしましょう!

『目が覚めたら今日は彼とのデート♡もしかして何かが起こる予感。ドキドキ♡』 という感じで〆としますわ」


 いかがかしら、とジグムントさんの方をチラリとうかがえば、お顔が元に戻っておられます。

 ふぅぅぅ。良かった。


「ではポリー嬢最終話はそれで行きましょう!」


 ああ良かった。ポリーちゃんには夢の中とはいえ結婚式まで体験させてあげられそうですね!


 何しろ結婚式&披露宴といえば女子の憧れ上位に(多分)ランクインの行事ですからね。

 私には分からないけど。


 半数程度の人に 『ク○リア充自慢め』 『ああご祝儀代……』 とか思われつつ晒し者にされるのにニコニコしなきゃいけないってどんな気分なのかしら。


 愛があれば乗り切れる、というやつ?

 うーん生ものへの愛……ちょっと、わかりませんねぇ……


 とつい、つらつら考えちゃう私の前で、ジグムントさんはほんの少し涙目です。


「ポリーちゃんももうすぐ最終ですか……寂しいですねぇ」


 しみじみとした口調です。

 よし、ここは。

 チャンスですね!


 すなわち。

 洗 脳 し ど き 。

 と、みましたよ……っ!?


「大丈夫ですわ。

 単行本にする時に、新たに書き下ろしエピソードが追加できますもの。

 その時には、ジグムントさんのリクエストのストーリーでも、結構でしてよ?」


 編集長の無意識下にインプットできるよう、笑顔で優しく囁いてみるリジーちゃん、悪女歴16年、なのでした。

読んでいただきありがとうございます(^^)

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