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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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38/201

38.秋のショコラは新たな扉をバンバン開く?!王女殿下も誘惑し、別世界へいざ参りましょう!

訪問下さってありがとうございます。


すみませんが昨日に引き続き本日もヒロインが極論をシャウトしています。不快に思われたらごめんなさいm(_ _)m

「秋の新作2種!それからケースの上側端から端まで!」


 2回分の原稿料をバーン、とカウンターに置いて「あとコーヒー1つお願いします」と付け足す私ことエリザベート・クローディス16歳。


 ただいまお馴染みのショコラティエ ″ヴェルベナエ・ドゥルシス″で優雅にお買い物中、ウソ、実は青春のフラストレーション解消中、これもウソ。

 本当は新連載アイデアが「もう少し考えてみましょうか」と遠回しにボツにされた腹いせのヤケ大人買いに走っているのです!

 食べる方は半分シドにお任せ。ほんとチョコ沼にハメといて良かったですねぇ……


 店の外の立食用カウンターでシドにコーヒーを渡し、真紅の地に金でカカオの枝が描かれた箱を開けると、目に飛び込む美しい色艶と鼻腔をくすぐる蠱惑的な香。

 それぞれに趣向を凝らした形も楽しい、チョコレートボンボン様たちのご登場です。


 はあぁぁ……癒される。


「美味しそうですね」


 シドが覗き込んで口許を緩めます。

 おお、ついにチョコ沼に頭までドブンと浸ってフォンデュになる気満々なんですね!

 良いことですっ


「ふふふふ……」


 妖しく含み笑いなどしつつ、まずは、栗の形をした新作フレーバーを1口。


 ダークチョコレートのコーティングを前歯でパリッと破ると、中は……

 ををっ!


 この懐かしいホッコリした食感は!……なんと、大粒の栗っ♡

 1粒丸ごとinされております!うーん素朴なのに天才ですね!


 渋皮煮のブランデーの香とダークチョコレートの香がきゅんっと心臓を甘く締め付け、しかしそれだけでは終わらないほろ苦い後味。

 もし擬人化するなら、きっと苦み走った美貌の中年狩人に違いありません!

 狩るのは鹿でしょうかそれとも領主夫人でしょうか。くすくす。


 残りをシドの口にあーん、と入れてあげると、嬉しそうにモグモグしてます。

 シドさんも中年狩人がお気に召したもようですねぇ……はっ!?……今。

 ついつい腐った妄想が、頭の隅を………っ!?

 きゃあんっ、イヤっ♡

 ケシカラン脳ミソですね、もうっ。

 ……けどその場合、どっちが攻めなんでしょうか……


 悶々とした禁断の妄想に、脳内で新しい扉が開きかけた時。


「あらっお久しぶり!」 急に背後から、華やいだ呼び声がしました。

 澄んで良く通るけれど、柔らかみのあるメゾソプラノ。


「デート中なのね!」


 そう、我らが王女殿下(ランク上の悪女)、リーゼロッテ様です!


「きゃあっ! お姉さまっ!」 思わず、はしゃいじゃいますねぇっ。

 だって、藤棚の下でのランチ以来、実に3ヶ月半ぶりなのです。


「お久しうございます」


 ふと我に帰り淑女の礼を取ると、 「堅っ苦しいわねぇ」 という台詞がケタケタ笑いと共に返ってきました。

 相変わらず明るい方ですねぇ。


 そして、もちろん。

 お忍び用スタイルもまた、相変わらず奇抜ですっ


 まず目を惹くのは、複雑な編み込みの入った朝焼けのようなローズレッドのウィッグ。


 そしてドレープの効いたワンピースは、夜の紫から赤、橙、黄、白とグラデーションもあざやかです。

 深い襟ぐりとゆったりした幅広の袖は、いかにも。


「今日は暁の女神(アウローラ)でいらっしゃいますのね!」


「分かってくれる?!もうリジーちゃん大好き!」


 きゃあん(嬉しい悲鳴)

 今、大好きとか言われちゃいましたよ?

 脳内でまた別の扉が開きそう!

 ……いえ、いけません。


「まぁ、もったいないお言葉ですわ」 落ち着きましょう。

 何しろ、リーゼロッテ様はダイヤ青年が先約とっておられますからね!

 リジーちゃんなど、およびではないのです。


ダイヤ青年(ヘルムフリートさま)は?」 もしかして物陰から見守ってたりして、と尋ねれば、「さぁ?」 とあっさりしたお返事。

 ……ダイヤ青年、前途多難そうですね。


 そんなリジーちゃんの内心の声はもちろん届かぬまま、リーゼロッテ様はワクワクとチョコレートを視姦、もといじっと見詰めておられます。


「で?それは?新作フレーバー?美味しい?」


「もちろんですわ!」


 力一杯頷けば 「ちょっと待ってね買ってくるっ」 と、お店の中に駆け込んでいかれる王女殿下。


 しかし、程なく、しゅうんと悲しげな顔をして出てこられました。


「どうされましたの?ヘンな服装では売れないとでも断られました?」


「違うくて」


 言葉遣い変わってます。かわゆいのです。

 でも、何がそれほどにショックだったのでしょうかっ!?


「新作フレーバーのホワイトチョコのが売り切れだった」


 あー……そういえばこれ最後だったかも、と、テーブルの上の紅葉形のホワイトチョコレートを眺めます。


 こういうときには、もちろん。 


「もしよろしければ、一緒に召し上がりません?」


「いいの?」


「ええもちろんです。ほかにもたくさんありますから!」


 食べ物は分け合えば、その人数倍で美味しくなるのですよ。ルーナ王国のことわざです。

 ぱっと明るくなったリーゼロッテ様のお顔だけでも、ご褒美ですねぇっ……!


「ではお姉さまから、先にかじって下さいな」


「ええっ!そんな!それは……」


 すすめれば、さすがの王女殿下も躊躇されています。

 ここは、きっぱりと言い切ってみましょう。


「大丈夫です。無理に切ろうとして情けない姿になったチョコレートと比べれば、かみ跡なんて大したことありません!」


 そしてお茶目なウィンクで誘惑。


「ここにはわたくしとシドしかおりませんから、お気になさらずどうぞ?」


 さぁ王女様!新しい扉を開くのです!

 その先に何が待ってるのかまでは責任持ちませんけど、大したものじゃありません。たぶん。


 リーゼロッテ様はおそるおそる、といった感じで、緑と黄と赤のグラデーションも美しいボンボンをかじります。


「………!?」

 なんだか見てはイケないものを見た気になって、つい絶句するリジーちゃん。


 ……つややかなサンゴの唇から(こぼ)れる小さな白真珠の前歯に、そっとくわえられる、チョコが……っ!


 ……ああもう……っ!


 ダイヤ青年、ついてこなくて残念でしたわね……っ!


「うぅん……最高っ……はい、リジーちゃんどうぞ」


 身悶えしているリーゼロッテ様からピックを受け取り、1口かじりましたならば。


「……うぅんんっ! 確かに……!」


 もう1つの秋の新作フレーバー。

 その金箔を載せた彩り美しいホワイトチョココーティングの中身はミルクチョコのガナッシュです。

 そしてその、更なる中心部にはとろりとした洋梨のジャム。

 奥の奥まで味も香も甘々です。

 舌触りが蕩けます!


 なのに後味スッキリって。どんだけ良い女なんでしょうか……っ!

 そう、擬人化するなら彼女こそまさに恋多き女神アウローラでしょう!


「シドこれも美味しいっ」


 残りをシドにあーんします。


「甘……」


 顔をしかめてコーヒーを飲むシドさん。おバカさんですねぇっ!

 最後まで味わわなきゃ、本当の良さは分からないのですよ……っ!


 こんな感じで、リーゼロッテ様と私とシド、3人で仲良く全種類のチョコを分け分け。

 楽しいですね、美味しいですねっ。

 チョコパ最高っ



 で、そのついでに。

「新連載について聴いていただけませんこと?」

 リーゼロッテ様に悩み相談しちゃいましょう!


 何しろ、この王女殿下はポリーちゃんのファンの上に立派な変態悪女。

 相談して間違いはないのですっ!


「わたくしの案は、石ころに愛の神(エロース)を見出す鉱物学者のお話だったのですわ」


「面白そうね」

 熱心に頷いて下さる、リーゼロッテ様。


「でしょう?

 彼は気に入った石ころの1つ1つに名前をつけ、スリスリしたりナメナメしたりうっとりと視姦しまくったりするのです。

 もちろん宝玉もふんだんに登場する、キラキラなストーリーなのですわ!」


 変態でも、性格が良い超絶イケメンにしておけば女性読者ウケ間違いなしですしね!?

 ほら、王女殿下も既にハァハァしておられます。


「それ読みたいわ!

 ぜひ美少年も出してね!

 ジュエリーのことなら、アドバイスもして差し上げられてよ!」


「ありがとうございます。けど……」


 肩を落としてチョコレートの空き箱を見詰めます。


「けど?」


「 ″月刊ムーサ″ の読者層に合わないって言われてしまって」


「ああ」とすぐに頷く王女殿下。


「我が国だけではないけれど、女性の識字率は低いものね。問題だわ」


 庶民の女性の場合は、商家以外は 「ムダに字の読み書きができるなんて生意気だ」 というような風潮まであるのですよ。

 ……生意気って、何なんでしょうね。


(そう思わなくても済むように男性がレベルアップしたら良いだけでは?

 進歩もなければ芸術的でもない穴棒アーンなお話に毎回ハァハァする暇があるなら、弁論学の本でも読めば!?)


 そうは思うものの、結局は売れなければ廃刊に追い込まれ発表の場が無くなってしまうという悲しさ。

 発表の場が無ければ、世の老若男女を真の変態に目覚めさせるという私の野望も果たせませんからね。

 多少の迎合は止むなし、なのです。


「だからどうしようかと思っているんです」


「うーん」

 リーゼロッテ様も首を傾げます。


 しばらく首をひねって考えて下さった後、王女殿下はこう宣ったのでした。


「それはつまり、フェティシズムの話に落とし込めば使えるのではないかしら」

読んでいただきありがとうございます(^^)

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