37.秋風に読者の心も移ろうのか?!しがないお色気作家にも試練の時がやってきた!
ご訪問下さりありがとうございます。
今回はヒロイン(こんなのでもヒロインです)が極端な主義主張を吐露するシーンがあります。ご意見が合わない方ごめんなさいm(_ _)m
かくして時は朝晩に霜の降りる10月の始め。
周囲の皆様のおかげでスランプを脱出し童話も無事に脱稿し、ポリー嬢は脱がさず視姦しまくりつつ3ヶ月半が経った、私ことエリザベート・クローディスまだ16歳。
皆様のおかげで、悪女としても成長しております。
(皆様のおかげ、なんてカユいセリフも素で言えるほどランクアップです!)
今日は今日とて、シドと活版印刷所・バルシュミーデ兄弟社までお出掛け中。
出来上がった "令嬢ポリーの華麗なる遍歴" の原稿、お届けでございます!
最近は副社長兼 ″月刊ムーサ″ 編集のジグムントさんに家まで来てもらうことは滅多になくなりました。
だってよく考えたら、ポリー嬢の打ち合わせしてるの侍女に聞かれたらヤバいですものねっ
親バレ時間の問題になっちゃいます……!
そんなわけで、ここ数ヵ月の密議の場は、インクのニオイのする印刷室なのです。
が!
なぜだか今日は、ちゃんと応接室に通されている、リジーちゃんとシドさん。
お茶をいただきつつ、「お茶を淹れるのは女子社員の仕事」 だなんてことを未だ信じ込んでいた上司に内心中指おっ立てつつ無難にニコヤカにしていた前世の記憶がフラッシュバック中っ……がるるるる……(唸)
こちらの世界はバルシュミーデ兄弟社の事務兼庶務のサラさん、お仕事の邪魔して本当にスミマセン!
それはさておき。
何で今さら応接室。
(一体これから何言われるのっ!?)
戦きつつも、ジグムントさんに原稿を読んでいただきます。
拙著 ″令嬢ポリーの華麗なる遍歴" 第11回 ″ポリー嬢をさがせ!″ は仮面舞踏会のお話。
ポリーちゃんは当初予定通り農民の娘の服装でスカート跳ね上げ、ドロワーズちら見せギャロップを踏んでいるのですよ、ふふっ(変態的笑)
そしてなんと!
今回は、他のお嬢様方も視姦させていただいているのですっ!
『月と狩りの女神』の仮装など大胆ですよ?
胸の谷と背中がしっかり見える膝上丈のカシュクールドレスは、リボンで縛った腰のラインもなかなかに艶めかしいのです。
ああもう、こんなの着て上から下までさり気なく睨め回されたら……萌えますねぇ!
「今回もなかなか良いですね!」読み終わったジグムントさんのお顔もうっすら上気しています。
ウケが良い証拠ですね!
「珍しく複数の令嬢が登場しているところがそそりますねぇ!
『あのコもこのコも俺のモノ』 的な男性のコレクター意欲を、満足させると思いますよ」
ああ、ハーレム好きですね。
私にはいまいち分かりにくいコレクター意欲ですが、そこに萌えてくれる読者様もいるとしたら……作家冥利に尽きますねぇ!
書くことで趣味の違う方ともお友達になれるという。
「ちなみに私は、男装のコニアちゃんが良いと思いました!」
おぉ、ジグムントさんまさかの男装萌えですか!?
一見勇ましいコニアちゃんを攻めて攻めまくって泣かせてみたいとか?
きゃあっ!(ナターシャ的黄色い声)
ではついでにシドさんも聞いてみましょう。
「シドさんは?」
「いませんよ別に」
照れちゃって、もうっ。
それからひとしきりジグムントさんと衣装萌え談義に花咲かせます。
……なんだか、普段通りですねえ!
応接室だからって緊張する必要なかったかな。
と、思ったのは甘かったのです。
「ところでですね」
急に口調を改めるジグムントさん。
眼鏡を中指でクイッとする仕草が相変わらず似合っていません。
「最近、"ポリー嬢" に関して読者の方から……うーん」
言いにくそうですね?
基本ホメリストですからね、ジグムントさんったら。
ええい、仕方がないっ!
こういう時は先回りしてあげましょうっ!
まずは、扇半開きで歪む口許を隠します。
愚民ども、いや違う、文句言ってくれるのも大事な読者様ですよホント。
ああでもますます口許歪んじゃいますねぇ悔しいっ!
「『そろそろ飽きた』『そろそろ揉ませろ』『ついでに下着まで脱げ』ですかしら?」
「おおっよくお分かりですねぇ!」
ジグムントさん心なしかホッとしています。
そしてまた心配そうにヒソヒソと 「まさかそちらにも読者が?」
「いえおかげさまで身バレは1人、いえ2人にしか」 王女殿下とその従者的侯爵家令息です。
大体、予測はついていたのですよね。
ですから、ここはどーん、と本音をぶちまけてやりましょう!
そのために悪女に生まれたんだもんねっ!
「大体、ユーベル先生の新連載が、あまりにも具体的にはっきりし過ぎているのですわ。どうしても比べられてしまいますもの」
「ああ……あれは丸出しでイヤらしいですからねえ。読者ウケが良いはずだって入れちゃったんですよねぇ兄が」
何気に『兄』強調するジグムントさんです。
「ど・こ・が、イヤらしいんですの? そのような賞賛を、あのように直接的な表現に与えるとはいかがなものかしら」
「はぁ……しかし刺激的という意味ではありなのかな、と」
「そうかしら」
おおおっ何か荒ぶってきましたよ私!
よし、ここは悪女らしくシャウトですっ!
「毎回毎回、穴に棒つっこんで振ってアンアン言うだけの何がそんなに刺激的なのかしらね!?」
「いやだからそこがじゃないですか」
ボソッとツッコミ入れるシドさん。黙んなさい。
「いいですか!」
立ち上がり、腰に手を当ててバーン、と片足をテーブルに上げるリジーちゃん。
ちゃんとカップは脇にどけて靴も脱いでますよ!
割ったり汚したりは迷惑なだけですからね。
「変態の面白さ美しさとは、余人には何の意味も無いものに愛の神が宿ることにより、その価値が180度転換するところにあるのです!」
あらかじめ生殖のために用意されたものを使って「アッイク!アーン♡」なんて脳ミソ1ミクロンの虫ケラだってやってるわ。
もう『1+1=2』以上に当然過ぎて、何の感動もありませんよユーベル先生?
「路傍の石でさえ、愛の神が宿れば価値あるものに変化するに違いありません! そこが素晴らしいのです!」
「ていうかそれキモチワルイですよね」
ボソボソとシド。
まぁね。石ころに名前つけて
「ああっキューリーちゅわん♡この闇よりも黒い闇の色、ザラッとした手触り、たまんねぇな……固い地肌も……そそるぜ♡」
なんて頬ずりしてたら、確かに?
……いやでも、有りじゃない!?
少なくとも、穴棒アンアンより千倍そそりますよね、そのシチュ!
これぞ正しい変態、なのかも……っ!
うん、なんかインスピレーション湧いてきた。
「わかりましたわ。対処しましょう」
足をテーブルから降ろすと、お行儀よくアチラを向いていたジグムントさんの目が再びこちらに戻りす。
(久々のガーターベルトモロ見せだったのに、見てなかったようですね!)
「ではポリー嬢を、下着まで脱がせますか?」
「まさか」
靴を履いて座り直します。
「ジグムントさん、あなた耐えられて? あなたのポリーちゃんがそのような姿で衆目に曝されるのよ?」
「ああああっ」 イクない方の悲鳴を上げて頭を掻きむしるジグムントさん。
誕生時から見守っていただいたせいか、この方のポリーちゃん愛には半端ないものがあるのですよね、実は。
「ダメですっそれだけは! 絶対に!」
「揉ませるのは?」
「ううっ……オイルエステまでなら、許可します。施術は男性禁止で」
ん? ジグムントさんたら、まさか百合もいけるんですか?
ではなくて。
んーエステかぁ……確かにこっちの世界でも、侍女が何人もいる高級金持ち貴族夫人なんかはしてますが。
……ポリーちゃんはイメージじゃない、かなぁ。
なにしろ『食べてもスタイル抜群、イジらなくてもナチュラルきれい』 という前時代のアイドル的な子ですから。
「エステはボツですわ!」
するとジグムントさん、ガックリ肩を落として 「見たかったのに」 と呟きました。
ジグムントさんのポリー愛がその程度だったとは……リジーちゃんこそ、ガッカリですよ!
それはさておき。
「全面的なブラッシュアップはいかがかしら? わたくしも新連載に取り組みますわ!」
扇をパタン、と閉じつつ宣言します。
さぁ、ジグムントさん、どうします!?
ちょっとドキドキして反応を窺えば、ジグムントさんは 「おお! それで、どんなお話に?」と、くい付いてくれたのでした。
読んでいただきありがとうございます(^^)




