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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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28/201

28.夜会のオマケは美青年下僕の妄想レポート?!嫌がらせ炸裂に変態悪女も涙目です!

変態注意報発令です。先に謝ります。朝は爽やかに始めたい方とシドさんファンの方すみませんm(_ _)m

 乙女の夢、社交界デビューを無事に果たした私ことエリザベート16歳。

 乙女の夢ナニそれ美味しいの、だって真の目的は実は潜入取材だから! なお色気作家でございます。


 色々ありましたが取材はひとまず大成功! おかげで次々と湧き上がる妄想! イイですねえ(にやり)

 一方のシドさん、こちらはちょっと眠そう……かな? 文字通り朝から晩までお仕事な1日でしたからね。


「夜分ですがどうせまだ起きておられると思って、ご命令のレポートを」


 おおっ仕事が早い! そして良いタイミング!

 ここで視姦レポートなんて読んじゃったら、妄想が大爆発すること必至ですね!

 今夜はオール妄想の夜♡ になりそうです。


「すごい! さすがシドだわ! ありがとう!」


 ヨイショ&お礼を述べつつ、早速レポートを読み始めるリジーちゃんに、シドの目がじーっと注がれています。

 やはり反応は気になるのでしょうか。

 シドの場合、ダメ出ししようと響いていないように思えるのですがねぇ。


 それはさておき。

 レポートはこんな書き出しで始まっておりました。


『かのアメジストの双玉は、燦然たる夏の陽光の中で紅薔薇の色に輝き……』


 おおぅ、小学生文章ダメって言ったから、今回は廚2風味なんですね!

 笑ったり羞じらったりはもうしませんよ。

 なんたって廚2文章はルーナ王国知識人のスタンダード、16年もいれば慣れたもの、ですからね!


 さすがに朗読はイヤですが、目で追う程度なんでもないというもの……ところが。


 読み進めて行くに従って、次第に困惑してきちゃいましたよ……?


 だってね。

 そこにあったのは羞恥ワードのオンパレードだったんですから!

 シドのヤツぅ!

 意に添わない仕事だからって地味に嫌がらせをかましてきましたね!


 ディアナとかイリスとかエーオースとかフォルトゥナとか……何人、女神の名前使うのかしら!

 絹糸のような艶やかな髪、桜桃の唇に真珠のような歯、白磁の肌……うげぇ。

 よく使われがちなホメ言葉てんこ盛り! 引きますねえ!

 私のポリーちゃんにだってこんな技使ったことないわ。


 と内心でグサグサつっこみながら読んでるはず。なのに、ですね。

 どうしてか次第に、頬に血が上って熱くなってきました。耳も。

 どうしようもしかしたら首まで真っ赤だったりして。

 ああもう震えないでください、リジーちゃん!


「シド、これどなたのこと?」


「さぁ。誰のことだと思われます?」


 シドがしれっと聞き返してきます。

 これは絶対、内心ニヤニヤしてますね! 負けないもんね!


「わたくしのことじゃないのは確かね」


 そう、リジーちゃんは適度な美少女であり、過度な美人さんではないのです。

 悪女は己が分を知っているのですよ!


「……もしあなたのことだったら、どうします? アルデローサ様」


 はい、シドさん! 真剣な声出さない!

 居たたまれなくて仕方ないでしょうがっ!

 100年経っても快感に変化しそうにないわ。


「困るわ。変態はもっと軽やかに楽しむものよ。ホメ殺しは要らないの」


「ダメですか」


「ダメね」


 シドは深い深い溜め息を吐いて、レポートを私の手から取り上げてポケットにつっこみました。


「どこぞの高貴なご令嬢でしたよ。間違ってもあなたのことじゃありません」


「そうでしょうとも」


 よし勝った!

 万が一だけど私のことだとか言われたらどうしよう、とヒヤヒヤだったんですよ? シドのくせにもう。


 かくなる上はお仕置きなのです!

 立ち上がって腕組みなどし、ふんっ、と胸を反らしてみましょう!


「わたくしそろそろ着替えるわ」


「では失礼を」


 頭を下げるシドの後ろに素早く回り込み、ドアをバタンとしめてやります。


「手伝いなさい」


「俺がですか」


「見慣れてるから平気なんでしょう?」


「……はい」


 シドさんしぶしぶ、といった感じですね! ザマヲミナサイマセ!

 嫌がらせには嫌がらせで返されるものなんですよ。

 ふっ、侍女の真似事でもしてオネエの世界にでも目覚めるがいいのです。


「まずはメイクを落としてちょうだい。目蓋からよ」


 鏡台の前に腰掛けて目を閉じると、シドがそっとオリーブ油を染み込ませたコットンを目蓋に当てます。

 意外と器用に拭きますね。


 でもメイクを落としてもらう間も、なんでか羞恥ワードてんこもりがまだ脳裏をぐるぐる回っている気がして落ち着きません。


「あのレポートに書いてることは現実でなくて妄想(おはなし)よね?」


 確認すると、シドがくすり、と笑いました。


「そうですね、目蓋に口づけてきれいな瞳がほかの男から見えないように隠せる魔法をかけたいとか、そんなことは一切思いませんよ」


 はい、いちいち廚2レポートの復唱をしなくてよろしい!

 なんでそんなことをツルッと口に……ああそうか、今までずっと書字魔法の詠唱してもらってましたからね……なんかシマッタわ。


 新しいコットンが、今度は額と頬をくるくるとなぞります。


「柔らかな頬を両手で包んで、額と額を合わせて俺だけしか感じられないようにしたいとも思いませんし」


 再度コットンを変え今度は優しくリップを拭います。


「温かな唇に触れてみたいとか、ついでに可愛い前歯で指先を噛んでほしいとか、そんなことも全く思ってませんよ」


 いやだからもう、そこ復唱しなくてもいいですから!

 そんな気無いのは重々承知ですよ!

 どんだけ羞恥プレイする気でしょうか。


 でもこちらは悪女で変態ですからね! 絶対負けませんよ!?


 言葉責めなんて、想像しなければいいんです。

 さぁリジーちゃんの脳ミソ!

 今から完全ストップですよ!


 と、ネックレスを外したシドの指先がうなじをするっとなでました。

 ナニしてるんですかコラ。


「それに首筋に跡が残るほど口づけしたいとも思ってませんし」


 次はイヤリングです。


「小さい耳たぶを舌先で転がしてみたいなどとも思いませんね」


 ……いま。イヤリングにさっとキスしませんでしたか気のせい?

 うん気のせいですねきっと。

 アクセサリーを柔らかい布でさっと拭き、ケースに器用にしまうとシドはドレスの肩に手をかけます。


「ドレスの下の白い肌を」


「ちょっと待てストップ! もう結構よ」

 ああモウ無理、なのですっ!

 ゾワゾワしすぎで、本気の涙目、でございますよっ……


「後は自分でします。ご苦労様」


「あれもういいんですか。まだこれからなのに」


 余裕ですね、めっちゃ腹立ちますね!

 こっちはもう泣いちゃいますからね!?


「今日のシドは意地悪すぎるわ!」


 キッと睨んで文句をつければ、返ってきたのは楽しそうに、クックッ、と喉を鳴らす声。

 くそうっシドのくせに!


「レポートは書き直し。小学生文章でいいわ」


「だからそのしょうがくせいって何ですか」


「じゃあねお休みなさい!お帰り口はあちらです!」


 シドをドアの外になんとか押しやってバタンと閉めると、フウッと息を吐きます。

 全く、もうっ!

 いくら気に喰わないからって、嫌がらせが過ぎますよ……シドのくせに。

 一体なんだってあんな……いやまたゾワゾワするからやめとこ。


 多分、今日は夜会の名残で、いつもと少し違っただけ。

 きっと1晩眠れば、明日はまた普段通りのシドとリジーちゃんに戻ることでしょう。

 そうじゃなければ、困るのです。


 のろのろとドレスを脱いでハンガーに掛け、またのろのろと肌触りの良い柔らかいコットンの夜着を着て、ベッドにお行儀悪くダイビングする、リジーちゃんなのでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヤッベェ♡♡♡ 微デレというか。デレデレ?
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