195. 山盛りのケーキは、解放感の味!? お友達と、オシャレなカフェでのお茶会、なのです!!
さて、かくして、またしても時が経ち9月は3日、ついに出産まであと1ヵ月ほどとなりました。
この間、毎晩 「はぁうんっ! ちょっと待って……! やぁぁんっ」 「ただのマッサージで感じ過ぎです、お嬢様」 といった会話を旦那さまことシドさんと浴室に響かせつつ、こむら返りと闘っていた、私ことリジーちゃんことエリザベート・クローディス。
やっと念入りな脚のマッサージにも慣れてきた本日は、なんとなんと……!
我らが期待の新人ことキエリーラ・エル・カエーラ先生こと、キエルちゃんとデート、なのですっ (デレデレ) 。
カエーラ先生作 "魔王子アムルガルト" の入れ替わりネタが10日目にして書き上がったので、キエルちゃんのシフトがお休みの今日。
目抜き通りのカフェ "アクア・フローリス" にて、リジーちゃんがチェックして、ジグムントさんに届ける…… と、そういう予定なのです。
お友達と街角のオシャレなカフェでお茶しつつ、キャッキャウフフと…… ふぉぉぉぉ! 前世で送ってみたかった青春が、ついにっ!
しかも、なんとなんと……!珍しくも、シドさんが別行動です。工場の方で、何やら外せない用事があるのだそう。
ちょっと残念な気もしますが、それを上回る解放感があるのも事実!
亭主元気で (たまには) 留守が良い、ということですね。うふふふふ。
さて、かくしてやって参りました、カフェ "アクア・フローリス" 。
咲き始めの秋薔薇が中央の花瓶を鮮やかに彩り、窓を背にした席のテーブルの上には、豊潤な香りを放つ紅茶 (ポットサービス) と、燦然たる輝きを放つ大盛のケーキ…… 幸せすぎます、ねぇ!
最近は節制してましたゆえ、幸せ感は5倍増し!
キエルちゃんも、大きなお皿の上に載せられたシュークリーム、クリームケーキ、イチジクのタルトとベリーのタルトとアップルパイに、瞳をキラキラさせています。
「わぁぁ! 美味しそうですぅ!」
「好きなだけ召し上がってね」
「はい! ありがとうございますぅ! …… あの、食べきれない分、家にも持って帰っていいですか?」
「これくらい、すぐに無くなっちゃうんじゃないかしら。それに、お土産なら、保存が効くパウンドケーキがいいわ」
店員さんを呼んで、お土産の用意を頼むと、キエルちゃんがビックリしたような顔になりました。
「そこまでは、申し訳ないような……」
「うふふふ。いいのよ、たまには」
何しろリジーちゃんには最近、原稿料の他にも出版物報奨金が入るようになりましたからね。贅沢はできませんが、自分で稼いだお金で人に御馳走する快感……!
前世ではそんな友達がいなかったのを思い出せば、快感もまた、5倍増し。
1度味わうと止められない、魔性の楽しさ、なのですよ……!
まぁ、それはともかく、さておいて。
そんなお茶タイムと同じくらい楽しみなのは、もちろん、キエルちゃんが書いてくれた原稿なのです。
「では、拝見するからケーキ食べて待っててね?」
「恐れ入りますぅ……」
まずはざっと目を通して表記揺れや誤字脱字、読みにくい部分のチェック…… 最初の頃と比べると、間違いはかなり減ってきましたね。
ケーキ食べつつも、こちらをチラチラ窺うキエルちゃんの視線も、良いでしょう。
読者の反応が気になっている証拠ですからね! 技術的にも意識的にも、進歩したといえそう、なのです。
「すごいわ…… 上達したわね」
「えへ、そうですかぁ?」
「ええ、さすがだわ。
さて、直す部分はこことこれとこれとこれとこれ、あと、この表記揺れは意図的にしてるとしても無駄で分かりにくいんじゃないかしら。検討してみてちょうだい。
それから、ここは大事な部分だからアムルガルトの心情をもうちょい詳しく……」
「ひぇぇぇぇぇ…… あたし一体、どこが上達したんですかぁ?」
「全体的に読みやすくなってきた気がする」
「だといいんですけど…… あれ?」
「どうなさったの?」
「シドさんが、今、通っていったような」
「え?」
振り返って、窓の外を確認してみます…… が、誰の姿もありません。
「気のせいじゃない? シドさんは今日、工場のはずだし」
「でも似てましたよぅ? しかも女の子連れてました」
「じゃ、シドさんじゃないわね」
シドさんは、リジーちゃんが言うのも何ですが、工場従業員女子からはブーイングがくるほど、奥さん以外の女子には塩対応。女の子連れで街の中を歩くなんて、あるはずがないのです!
ところが。
「えぇぇ…… 絶対に、シドさんでしたよぅ?」
キエルちゃんは、何やら納得いかない様子で、カタリ、と椅子から立ち上がりました。
「ちょっとあたし、追いかけてみますから」
「あっ、ちょっと待って……!」
「リジー様、そこで、待っててくださいぃぃ」
言うなり、身軽に駆けていきます。
「先に原稿……!」
止めようとした時にはもう、カフェの扉から飛び出していってしまっていました。お腹が出てないと、ここまで素早く動けちゃうとは…… すっかり、忘れていましたよ、もうっ!
そして、15分後。
青ざめた顔をして戻って戻ってきたキエルちゃんは、リジーちゃんにこう言ったのでした。
「逃げましょうぅ、リジー様。毒殺されちゃいますよぉ!」
読んで下さり、ありがとうございます。
ちょっとお久しぶりになりましたが、お陰さまで、山籠りはどうにか終了です!
どんな作品になったかといいますと、ジャンルは女性向けローファンタジー。イケメン配置を頑張ってみました(笑)
なろうでもいずれはupしたいのですが、ちょっとテイストが合わないので、こちらでは異世界恋愛ものに練り直してみようかなー、などと思っています。まずは今の連載を完結させるのが先ですが。時間が欲すぃ……
さて、花粉の季節も本格到来!
民間療法ですが、乳酸菌が良いと聞いたのでヨーグルトとかめっちゃ食べてます!
軽くムズムズするけど薬使う程ではない…… そんな方にはオススメですよ。
でーーはーー!
感想、ブクマ、応援☆、いつもとても感謝しております!




