192. 入れ替わりネタで盛り上がる、編集長と変態悪女!腐ではなくて発酵臭とおっしゃい、なのです!?
タイトルからお察しの通り、前半、腐の香り漂う会話が繰り広げられます。
苦手な方はスルーしてください。
"美しき鉱物学者と社長兄弟" ――― それは、知性溢れる美貌の鉱物学者・ヴォルフ (顔はシドさん似) と、彼に恋する社長兄弟のジレジレキュンキュンな三角関係を描いた物語……
「はぁ…… もう、なんと形容すれば良いのか…… 素晴らしいですよ!」
つい先日発行した "月刊ムーサ" の販売も一段落ついた8月は18日。
秋に向けて蕾をつけ始めた薔薇のアーチをそよそよと吹き抜ける風の中、感涙するのは我らが編集長こと、ジグムントさん。
本日はクローディス家の離れに、リクエストされていた 『鉱物学者と社長兄弟の入れ替わり』 原稿を取りに来ていただいているのです。
「まず、冒頭部の休日お料理シーンからいいですね。
端的に3人のもともとの性格と関係性を伝えているだでなく、かつ、その後に怪しいチョコレートをウッカリと口にするまでの流れを自然に演出できています。
そしてそれから、この、攻めの一手な鉱物学者が、色気に溢れてて神ですよ……! いえ、中身が兄社長なら間違いなく、こういう振る舞いに出るのは分かりますがね…… いや、こうも面白く表現できるとはおさすがですよ、シー先生!
一方で普段は自信満々な筈の兄社長の中身が鉱物学者になったお陰で、完璧に受けに回ってるのも美味しいです!」
――― おおう。語ってくださいますねぇ、ジグムントさん。
そんなに喜んでいただけたなら、不肖、私ことリジーちゃんこと、お色気作家ルーナ・シー。
高笑いのひとつも、出ようというものっ……!
「ほーっほっほっほっほ! 本来のスペックを最大限に活かして麗しく輝く、兄社長入り鉱物学者…… 最高でしょう?」
「自画自賛…… いえむしろ、自画大絶賛ですね」
すかさずツッコミを入れて下さるのは、もちろん、愛しの旦那さまことシドさんです。
けど、 『自画大絶賛』 も当然、なのですよ……!
なにしろ。
――― 本編では兄社長に振り回されっぱなしの美人さんが、こちらの読み切り短編では、自信満々に妖艶な魅力を振り撒いているのですからっ!
「もうっ…… シドさん、じゃなくて社長入り鉱物学者の、この嗜虐的な眼差し! そして、台詞!
『ふふっ…… こんなことされたら、断れないだろう?』 だなんてぇ……っ 『覚えておいてくれたまえ。私のカラダは、ここが一番イイんだ』 だなんてぇ……っ! 『キミの一番イイ場所は…… ああ教えてくれなくていい。後でじっくり、聞いてみることにするよ…… この身体にね』 だなんてぇ……っ!
…… はぁぁぁぁぁんっ……!」
思い出しても、はぁはぁしちゃいそうですねっ!
「…… けど、シー先生は弟社長×鉱物学者推し、だったのでは……?」
「宗旨替えいたしました」
不思議そうなジグムントさんに向かって、きっぱり言い切ります…… というのも。
――― 鉱物学者の身体に入った途端、兄社長がノリノリになってしまいまして。
シーさんは、彼の溢れんばかりのヨロコビに支配され、悶えながら書きまくり書きながら悶えまくったので、ございます……!
「兄社長をこれまで、見誤っていましたわ。クール、傲慢、自信家…… 絵に描いたような 『俺様』 な性格の裏側で、こんなにも愛が溢れていたなんて……っ」
こうなってしまえば、もはや、今後の展開予定を変えぬわけには行きますまい……。
「今後、ジグム…… いえ、弟社長との絡みが 『良き理解者・応援役』 的なところで落ち着いてしまいそうなのですけれども…… いけませんかしら?」
「いえ! いいと思います。読者的にも、兄社長×鉱物学者推しが多いですし」
「あら…… 弟社長の良さ、随分と字数割いてお伝えしたつもりでしたのに」
「その結果、読者様からは 『弟社長には清いままでいてほしい』 という要望が続々と来ておりまして」
「え…… あら。どうして、そうなるのかしら」
「良い人過ぎたんじゃないでしょうか? ……ともかくも、シー先生にどう言おうかと思ってたんですが、いやぁ、助かりました!」
晴れ晴れとしたお顔をなさるジグムントさん…… これまで、そんな要望が来てるだなんて、おくびにも出さずに黙っていてくださったのですねぇ。
なんだか感動してしまいますっ!
「ありがとうございます。こちらの意思を尊重してくださって……!」
「それはもう、できるだけ好きに書いていただいて、それが読者ウケするのが一番ですからね。
それにシー先生は、時代を作り出す人ですし」
「まぁ、ジグムントさんたら、相変わらず誉め上手ですこと。おーっほっほっほっほっほ……」
再び高笑いをかますリジーちゃんの横で、シドが 「概ねほぼ、作らなくても良い方向ですが」 と要らないツッコミ入れてくださってますが…… ふっ。
ここは、悪女らしく言い切って差し上げましょうっ!
「できてしまったものは、必然になるのよ!」
「お見事です! と、そんなシー先生を見込んでお願いがあるのですが…… あの……」
「ああ、キエリーラ先生ね」
口ごもるジグムントさんにサラリと返してさしあげます…… と。
ジグムントさんが困ってリジーちゃんに相談、といえば、まぁ十中八九は、キエルちゃんことキエリーラ先生のことに違いありませんからね。
「さすがのご慧眼ですっ!」
「ふっ…… 大したことではありませんわ。
キエルちゃんなら大方、 『ひぇぇぇ…… 入れ替わりだなんて、ハードルが高すぎますぅぅぅ』 とでも、おっしゃってるのでしょう?」
「おお…… よくお分かりで」
ふふっ。
何しろ、キエルちゃんは仲良しさんですからね!
分からないわけがありません。
「わかりましたわ。わたくしが話してみます」
「シー先生! 助かります!」
思わず、といった感じでがっしとリジーちゃんの手を取り、押し戴くジグムントさん…… に、シドのブリザードな視線がガシガシと突き刺さっていますが。
ジグムントさん、全く気づかずにこちらをヨイショしてくださいます。
(さすが、稀代のホメリストさんなのです!)
「 "別冊ムーサ & セレナ・入れ替わり特集" 、シー先生、ユーベル先生にキエリーラ先生まで加われば、もう無敵ですから」
「ふふふ。そうね。キエルちゃんの発想や妄想、なかなか面白いですものね」
ただ問題は、キエルちゃんが物凄く遠慮深いところ…… なのですよね。なんとかなるといいのですが。
「フォルトゥナ祭商戦もありますから……」
ジグムントさんが、似合わない眼鏡をクイクイ押しながら、やや事務的な口調になりました。
「できれば12月頭で "別冊" とシー先生の短編集を出したいのですよね」
「お任せくださいな! その頃には、きっとこの子も生まれてますけど…… 出産日以外はいつでも動きますわ」
お腹をナデナデしつつ、ニッコリしてみせます。
――― 実力を付ければイイ所までイキそうなのに、自信がなくて頑張れない…… そんな子を、上手く乗せてその気にさせるだなんて。
まさに、悪女の腕の見せ所、なのです!
「産休の意味」
――― 例によって、シドさんがボヤいておられますが……
リジーちゃん、知ぃらない、っと!
読んでくださり、どうも有難うございます!
苦手な方は苦手な香り漂う回でしたが、ここまで読んでくださった方は大丈夫と信じて……!
若干、作者の趣味をお話するならば、好物はBLコメディーです! 主に漫画で。
『戦う!セバスチャン』(池田乾) とか、もっと古い所では 『イブの息子たち』 (青池保子) とか……。
『戦う!セバスチャン』 は、お察しの通り執事ものです! 主人公は(一応)ヘテロっぽいのですよ。しかし、周囲は変態だらけーー!楽しいです!
『イブの息子たち』 は、三人組のヒーロー(2人ガチ、1人覚醒しかけ) が異世界転移を繰り返すドタバタコメディー。
古いせいで良く分からないネタもずいぶんありましたが、とにかく、そこに繰り広げられてるカオスがめっちゃ魅力的ーー!
作者にカオスの良さを教えたのはこの漫画なのです。
最近のでは、腐女子の妄想がめちゃくちゃ楽しい 『池袋+BLood』 (奥田薫)。これはGANMA!という漫画アプリのオリジナルです(完結したので要課金……じゃなかった!←2021/2/12現在、CM鑑賞で読めるようになってます。訂正しました。すみません)。
ガチBLは性癖外ですが…… ですが…… ムーンでお知り合いの作家さんの作品とか読んでると、割かし面白いんですよ! BL作家は話作りが上手い気がしますが、どうでしょうね?
ではーー!
感想・ブクマ・応援☆いつもありがとうございます!
お風邪などにお気をつけて、ご自愛くださいねー!




