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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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187. 内輪なカレーパーティーに突如現れたのは、やっぱり内輪感満載なあのお方!?ちょっぴり慌てる、変態悪女でございます!

「まぁ、このお料理はリジーちゃんが考えたの? 初めていただきましたわ」 と、微笑むのは麗しの母ことアメリア・クローディス。


「しかし美味しいね。やっぱり天才だな、リジーは」 と、デレデレ相好を崩すのは、苦味走った美中年の父ことユリアン・クローディス。


「わたくしが考えたわけではありませんのよ。たまたま、異国に古くから伝わる料理を耳にしまして、このような感じかしら…… と作ってみただけですもの」 と、はにかんでみせるのは、私ことリジーちゃんことエリザベート・クローディス。


「正直、原材料を見た時にはここまで美味くなるとは思いませんでした」 と、ボソボソ誉めてくださるのは、愛しの旦那さまことシドさん。


「こんなに豊富にスパイスを使うだなんて贅沢ですわ!」 「この平たいパンとも良く合いますわねぇ」 と、嬉しそうに食べてくれるのは、侍女のナターシャとファルカ。


 7月(ユリウス)は26日ただいま、クローディス家では、お庭でカレーパーティーの真っ最中、でございます。


 スパイスの調合や手順などは、リジーちゃん流 (つまりテキトー) ですが、香りも味もそれなりに前世日本のカレーっぽい…… すなわち、 大・成・功 ですわねっ♪


 お庭にはラベンダーやミントなど夏のハーブが咲き誇り、空は穏やかに晴れて実に気持ちの良いカレー日和なのです…… と、そこへ。


「おや、良い匂いですねぇ」


 ニコニコと姿を現したのは、実用的なマッチョに似合わない銀縁眼鏡の編集長。


「ジグムントさん! 原稿取りにこられたの?」


「いえ、先生が珍しい料理を振る舞うので話の種にどうかと、お父様に招待いただきまして…… すみません、ご家族団欒をお邪魔しまして」


「いえいえ、お忙しいのにわざわざ有難うございます。娘がいつもお世話になっております」


「いえいえいえ。こちらこそ、お嬢さんにはいつもお世話になっております。

 改めまして、バルシュミーデ兄弟社副社長の、ジグムントと申します。今後とも宜しくお願い致します」


「いえいえいえいえ。こちらこそ……」


 何度も頭を下げ合う両親とジグムントさん…… どうやら両親としては、娘の仕事関係者に一度は軽く挨拶しておきたい、という心づもりがあったようです。

 うーむ。過保護、ですねぇ…… しかしそれもまた親心、というものでしょうか。


 けど、正直申し上げて、困るのですよね! だって、偽名(ペンネーム)で、とはいえ、世間に発表しているのが、お色気とか腐ったアレコレだなんて…… 両親にバレてしまっては、危険なのです……っ


 ここはしっかり釘を刺しておかねば。


「ちょっと、ジグムントさん?」


 お上品に声を掛け、物陰に引っ張り込んで、トン、と軽く壁ドンして差し上げますとも…… リジーちゃんの背だと、ジグムントさんの胸に顔寄せちゃってるようにしか、見えませんけどね!


 そこは気合い、なのです。


 まずはジトッとお顔を見上げて、眼力で恐怖心を植え付けます。


「………… な、なんでしょうか、シー先生……」


「あら、どうぞ呼び捨てになさって? わたくしとジグムントさんの仲ですもの…… そ・れ・よ・り」


 ご立派な胸筋を、つっとシャツの上から押さえて。


「両親にわたくしの作品が "美しき鉱物学者" とか "未亡人アナスタシア" とか "ポリー嬢" ですとか…… 一言でも洩らしたら、どうなると思って?」


「ど、どうなるんですか……?」


 さぁ伏し目がちにうつむいて、ポツリと呟いて差し上げましょうっ。


「二度と…… 物語など書けなくなるかもしれませんわ…… 両親に読まれると分かって、妖しくも美しいインスピレーションなど、湧くものかしら……」


「……っ 絶対に、言いませんともっ」


「ありがとう。察していただけて、助かりますわ、ジグムントさん」


「いえ、ご心労をお掛けして、すみませんでした、シー先生」


「では、お先に失礼いたしますわね」


 ジグムントさんに優雅に一礼して踵を返せば…… ふぅっっ。これで、完璧ですね!


 お庭の中央では、まだまだカレーが良い匂いを漂わせています。


「あら。バルシュミーデ様は?」


「ほんの少々、ご用を済ませに行っておられますわ?」


「あらそう。ではこちらの…… カレー、は戻られてからね」


 おっとりと微笑む母は、相変わらずの天使様そのものです。


 ――― もし、娘がアヤしい小説とかアブないお話とか書いてると知ったら、卒倒するかもしれませんねぇ……!

 ジグムントさんには早々に釘を刺しておいて良かった、と改めて思うリジーちゃんなのでした。


 けれども、しかし。

 両親はごまかせても、ごまかせない人がここに1人。

 

「物陰で何してたんですか?」


 素早く囁いてきたのは、シドさんです。


「あら、ご存知でしょ? ちょっとした今後の方針確認でしてよ」


「正直申し上げて気分悪かったです」


「よくガマンなさったわね。偉いわ、シドさん」

 

 いっぱいに背伸びして、サラサラツヤツヤの黒髪をなでなでしてあげると…… 「詳細は後でじっくり伺いますから」 と、イライラを抑えつつも引き下がる、シドさんなのでした。


 後で伺うもなにも…… リジーちゃん、やましいことは別に、してませんからねっ。




 さてかくして、若干のイレギュラーはあったものの、初めてのカレーパーティーは大好評にて幕を閉じ。


 ジグムントさんが 「これ、今月の "月刊ムーサ" と "月刊セレナ" です。よろしければどうぞ」 と両親に手渡していた時にも…… リジーちゃんはまだ、全く気づいていなかったのでした。


 ――― 父ことユリアンさんの様子が、ほんの少々、おかしいことには。

読んで下さってありがとうございます!


とにかく慌ただしい正月がやっと過ぎ…… たところで、暴風雪警報ですと!? こちらの地元ですら珍しくひょうが降った昨日、冷え込みの激しい今日…… と、大寒波ですね。 

それでも始まる日常生活、事故やお風邪などにお気をつけくださいませ。

今年も宜しくお願いいたしますm(_ _)m


でーーーはーーー!

感想・ブクマ・応援☆ いつもめちゃくちゃ感謝です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 久々のお父様の登場!!(喜びw ……と思ったら、 Σ( ̄□ ̄|||) がびーん?な展開?? [気になる点] 雹が降りましたか? (;'∀') [一言] 意外と市販ルーなしで作るのって難し…
[一言] >「二度と…… 物語など書けなくなるかもしれませんわ…… 両親に読まれると分かって、妖しくも美しいインスピレーションなど、湧くものかしら……」 わかる( ˘ω˘ )
[一言] カレーにはスパイスが付き物、そして人生にも……(上手いこと言った風)
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