表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

187/201

186. 夏のカレーは幸せの匂い!?お料理をひたすら頑張る、変態悪女でございます!

「前世では、確か昆布ダシにトマトピューレ、砂糖少々、ルゥ2種類、仕上げには 『魔法の粉』 を入れたんだけど……」


「ほぼ呪文に近いですね、お嬢様」


「否定はしないわね」



 お庭の中の小さなお家の小さなキッチンにて、大鍋を前に腕組みをする私ことエリザベート・クローディス。と、一体何が出来上がるのかと心配そうな旦那さまことシドさん。


 ただいま7月(ユリウス)は26日、こちらの世界では初めてのカレー作りに挑戦! なのですが……



「前世で覚えた材料も手順も、あまり役に立たないわ……っ」



 昆布ダシ、ありません。


 トマトは昨日、ダフネス港東口市場で新鮮なのをゲット…… ジンナ帝国から防腐魔法をたっぷり掛けて輸入されたものです。たぶん、皮を剥いて適当にカットしお鍋にドボン、でいけるはず。


 砂糖は蜂蜜で代替します。前世でもそんなの使ってたカレールゥブランドがあったから、イケるはず。

 …… あ、リンゴも入れよっと。


 そして、最後の 『魔法の粉』 。これ実はルーナ王国(この世界)にもあるのですよね…… ただし、前世のとは全く別物ですけど。

 前世の 『魔法の粉』 が 『カレー用ミックススパイス』 のようなものであるとすれば、今世のは 『魔法の力で料理がほんのちょっと美味しくなります。ただし掛けすぎ注意』 的なもの…… うーん、ある意味 『ダシ』 と言えないこともないかもしれません。


「今度は概ね分かる言葉なのに、なぜか呪文にしか聞こえませんね。一体なにを作ってるんですか」


「ふふふ……っ 内緒」


「そもそもお嬢様が料理って」


「あら、両親の結婚記念日の時も作ったでしょ? これでも前世では、けっこう上手だったのよ」


 頭の中で手順を組み立てなおし、よぉし、とうなずくリジーちゃん。


「先にシチューのルゥっぽいものを作って、味付けもたぶんシチューで大丈夫。で、野菜が煮込めたらスパイスとルゥを一緒に投入してさらに煮て、仕上げに 『魔法の粉ひとふり』。

 これで 完・璧 ね……っ」


「そのままシチューで良いのでは」


「ふっ…… ま、見ててくださいませ!」


 タマネギは半分はみじん切り。そしておねだり。


「シ・ド・さ・ん♡」


「はい」


 スッと肩を抱き寄せられ、目前に迫る形の良い唇…… って、なぜ今なんでしょうね?


「いえ、キスは今けっこうですから、タマネギを炒めてくださいませんこと?」


「…… やだ」


「もうっ…… では、キスもお願いします……っ あ、軽くでいいの。腰が抜けちゃうとダメだから…… ゃんっ」


 後でゆっくりね、と多少ジタバタしつつ魔の手を振り切って、フライパンにバターを落とし、みじん切りタマネギを入れて旦那様に炒めていただきます。


「飴色になるまでしっかりお願いしますね。ひゃんっ」


 …… なぜに、ここで耳を攻撃してくるのかしらっ、シドさんったら!


 それはともかく、この後に小麦粉とバターを追加して練り練りすると、『シチューのルゥ』 っぽいもの完成ですね!


 ふわりと広がるバターの匂い…… 幸せぇぇぇ……!


 そして、シドがルゥを作っている間に、タマネギの残りの半分を串切り、ジャガイモと人参を星形に切って、と。


「えい、えい、えいっ! もうお肉も一緒に、えいっ!」


 こちらも炒めてから投入したいところですが、場所がないので、そのままバターと一緒に沸騰したトマト入り鍋にドボンドボンと入れて、煮込んでしまいましょう。


「お嬢様、ちょっとそれは……」


「大丈夫! 料理は火が通れば美味しくなるのよ」


 前世の丁寧さはどこに行ったリジーちゃん! と自分でもツッコミ入れたくなる言動ですが……


「何ができるかわからない、ってワクワクするわね?」


「しません」


「しますって。あんっ、だめっ!」


 …… だから、ここでお耳を攻撃しないでほしいのですよっ、シドさんったら!



 それはさておき。


「さぁ、次はいよいよ……!」


 スパイスを合わせますよ……っ

 果たしてどうなるのか……

 最高に、ドキドキワクワク、しちゃいますねぇっ♡


 まずは。


「『クミン』 と 『ターメリック』 は多分、そこそこ多めで大丈夫。そして胡椒と唐辛子、これはほんの少しでOK」


 おそらくルーナ王国の皆さんカレー初心者には、あまりに辛いものは受付けないでしょうからね。


「さて、ほかのスパイスよね、問題は…… 調子に乗って10種類も買っちゃったのに、配合がサッパリだわ!」


「俺にもさっぱりですが」


「大丈夫よ。シドさんには相談してませんもの」


「そうですか」


 不機嫌そうなシドさんです。

 ふっ…… 思い知ったわね。リジーちゃんはまだまだ、ミステリアスなのですよっ!

 シドさんが知らない部分の1つや2つや4つ、あるのです……っ。


 ――― とか、言いたいところですが。


 実際に目の前にあるのは、シドさんもリジーちゃんもよく知らないスパイスあれこれ。

 辛うじてわかるのは前世でも馴染み深かった 『シナモン』 と 『ナツメグ』 ですが……


 悩みまくった結果。


「全部、同じだけ少しずつ入れちゃいましょう!」


 そうです。

 前世の市販ルゥをもう一度思い出すならば確か、そのパッケージには 『スパイス30種類配合』 などと書かれており…… その心は。


「つまり適当でも、なんとかなるはずよ。ね? シドさん?」


「だから俺は分かりませんて」


 とんでもなくカオスな料理を想像しているのでしょうか。声がほんの少し、引きつり気味ですねぇ……



 さて、スパイスを合わせ終わったところで、鍋の中も良い感じに煮えております。

 スパイスの調合などプロなら一瞬なのでしょうが、悩んだ分、時間がかかっちゃいましたね。


「ではそろそろ、そちらのルゥとスパイスを鍋に入れます。シドさん、スパイス味見しながら少しずつ」


「俺はむしろ入れたくないです……」


「むぅぅ。仕方ないわね、もうっ」


 まだまだ引き気味のシドさんに代わり、焦げ付かないように鍋をかき混ぜながら、スパイスを半分ほど入れてみます。


 おおおっ、匂いが……!

 匂いが、カレーっぽいのです!

 というか、いかにもカレーですよこれは! (大興奮)

 リジーちゃん、どうやら成功しちゃいましたねっ (少なくとも匂いだけは)



「んー前世以来の、夏の匂いぃぃ♡」


「スゴい色になってますが、なんですかソレ」


「カレー…… 暑い日に食欲が出る薬膳です」


 ほい、と、程よい頃合いで旦那さまのお口に味見用スプーンを差し込みます。


「………………。少し辛いけど、意外と美味いですね」


「でしょう? じゃあこれでOKね!」


 仕上げに 『魔法の粉』 を振って、まぜまぜ。


 さて、これにて。

 ルーナ王国版・カレーの完成、なのです!



 開け放した窓からは、明るい夏の空。

 きっと今頃、お庭で待ってくれている両親やナターシャにファルカ、エデルベンノさんたちの鼻にもこのスパイシーな香りは届いている筈。



 ――― さぁ、カレーパーティー、始めますよーーーー!

読んでくださり、ありがとうございます。


さて、なにはともあれ年内更新…… 前話で宣言なんてするんじゃなかったと、後悔してももう遅い!

でもですね、この1週間でなんと、またしてもレビューをいただきまして!

こんな嬉しい出来事があったらば、宣言してなくても更新するしかありませんよね。


レビューをくださったのはマックロウXKさま!

どうもありがとうございます!!


★マックロウXKさまのマイページはこちら。

https://mypage.syosetu.com/1097250/


~・~・~


さて。

では、今年の更新はこれで最後です。

ずっと読んでくださってる方、この物語を見つけてくださった方に感謝です。


いつも感想くださっている方、素敵なレビューに素晴らしいFA、ブクマに応援☆くださった方、本当に本当に本当にありがとうございます。


全国的に大寒波で大変な年末ですが、温かくしてお風邪など召されませんよう。

そして来年が、穏やかな一年となりますようお祈り申し上げます。


でーーーはーーー!!!!

良いお年をーーーー!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
関連作品 i483018 

楓くんはこじらせ少女に好きと言えない~夏の匂いの物語~

☆FAいただきました!☆
砂臥 環様 作品タイトルファンアート(プラチナ様のメーカー使用)
©️秋の桜子 さま



≡≡≡日常系好きにオススメ!≡≡≡ i463137 
― 新着の感想 ―
[一言] 耳でいちゃいちゃ~♪ ' ^'c彡☆))Д´) 早くカレー作るんだww ホノボノ素敵でした (*´▽`*) 今年もお世話になりました。 来年もよろしくお願いいたします(^^♪
[一言] リジーちゃんは耳が弱点、と……( ˘ω˘ )(メモメモ) そしてカレーが食べたくなっちゃいました( ˘ω˘ ) レビューおめでとうございます! 流石マックロウさん! 粋なレビューを書かれる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ