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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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183/201

182. 一夜明け、新鮮さ増す新婚夫婦!微笑ましく見守らずにはいられません、のです!?

中盤以降、少しだけ重めの描写あります。

苦手な方は飛ばしてください。

 かくして、また一夜が明けた7月(ユリウス)は17日。



「ねぇ、ヘルムフリート(ダイヤ)?」


「なんでしょう、ロ、ロ…… ロッテ」


「この後、ふたりで森に散歩に行かない?」


「ええ、かしこ…… いや、その、い行きましょう」



 取れたての卵で作ったフワフワのパンケーキに、ハムと新鮮な野菜のサラダ、果物、冷たい牛乳が並ぶ朝食の席にて、昨日の朝と同じような会話をなさっているのは、我らが王女殿下ことリーゼロッテ様。

 そして、鉄壁貴公子ことヘルムフリート様…… 今朝は、その鉄壁に、少々ヒビが入ったようでございます。

 昨晩、リーゼロッテ様に何か言われたのでしょうか。随分と、砕けた物言いを努力されつつ、若干照れくさそうに視線を泳がせるという態度…… 珍しい! というより、初めて拝見しましたよ。



「とれたて野菜のような新鮮さですわね」


 テーブルの下から、密かにグッドサインを送るのは、私ことエリザベート・クローディス。


「後は放っときましょうね」 と、コソコソ釘を刺してくるのは、愛しの旦那さまこと、シドさんです。


 …… え? 放置ですって?



「リーゼロッテ様、ヘルムフリート様。

 よろしければぜひ、森の奥の神聖な大樹まで足を伸ばしてくださいませね。とても大きくて、驚かれると思いますわ」


 うんっ、と元気よくうなずかれる王女殿下(リーゼロッテ様)を、ヘルムフリート青年が眩しそうに眺めておられます。ふふふ…… 実に良い兆候ですわね。


「季節柄、あの辺りには花も多いのですわ」


「楽しみだわ。そうそう、お昼にはちゃんと帰ってくるから、今度こそ皆でガーデンパーティーしましょうね」


「ゆっくりしてらしてもいいのに」


「ううん、いいの。何回も言うけど、リジーちゃんや皆さんとの時間も大切だもの」


 …… それに、ヘルムフリート(ダイヤ)とはこれからも長い付き合いだし…… と、ぱっとお顔を赤らめ小声になるリーゼロッテ様。かわいいですねぇっ……!


「では、フルーツサンドをたくさん作って、しっかりパーティーの準備をして、お待ち申し上げますわね」


「うんっ、ありがとう! 楽しみにしてるねー」


「わたくしたちも、楽しみですわ」



 朝食後は、幸せそうなおふたりをお見送りして、早速準備にとりかかります。


 1日延びてしまった分、張り切りますよ!


 まずは、氷室に赴きます。


「アイスクリームはうまく固まってる? もっと雪がいるかしら」


「お願いします、お嬢様」 「あとは、お塩も」


 大きなボウルの中をかき混ぜる手を休め、ナターシャとファルカが口々に答えてくれます。

 お料理ももちろん大切ですが、デザートもとっても大切!


 実はふたりには、王女殿下には内緒でルーナ王国民の冬の楽しみ・アイスクリームを作ってもらっているのですよね。

 氷室の中は夏でも厚着でないと寒い程の温度ですが、アイスクリームを固めるにはもちろん、氷点下にしなければなりません。

 その状態を作るには…… 雪にひたすら塩を溶かし込むのみ!

 ――― 氷水に塩を溶かすことによって氷点が下がるという、前世の知識が珍しく役に立っています。



「ナターシャ、母さん(マー)に言って塩を貰ってきて? それからシドさん、よろしく!」


 シドには久々の書字魔法の詠唱をお願いしています。


『…… 霊峰アルブムスの頂を白く染むる万年の雪よ、我が前の大いなる器に姿を現せ…… 』


 ドサドサと雪と塩を入れた大きな器に、卵黄・砂糖・牛乳・生クリーム・バニラエッセンスの金属ボウルを突っ込み、中身をかき混ぜていきます。


「固まってきましたわ」


「さすが、ファルカとナターシャね!」


「いえいえ、お嬢様こそ」


「雪と塩を混ぜて冷やすだなんて…… すごいアイデアですわ」


「…… えへっ」


 前世でそれを教えてくれたのは、兄でした。

 まだ幼かった頃の夏に、そうやって作ってくれたアイスクリームは、塩が中に混ざってしまって…… 『変な味!』 と散々に言いながら食べたのを、思い出します。



 ――― 兄との想い出はずっと、どんなものでも痛くて辛くて、蓋をして出てこないようにしていたものでした。

 もし蓋がとれたなら、『なぜあんなことをした?』 という答えの出ない問いと憎しみと怒りだけが身体を支配して動けなくなる…… そういう類いのものだったから。

 けれども、最近は家族みんながどこかで間違っただけなのだ、と思えるようになってきました。


 色々なことを思い出すと、まだかなり苦くはありますが…… たぶん、悪いことばかりではなかったのでしょう。


 …… なんだか、しみじみしちゃいますねえっ!


 転生して18年、やっと、前世は 『単なる過去』 になってきたようです。



「シドさんのお陰ね」


「ナターシャもでしょう。塩を運んでくれたんだから」


「ほんと。ナターシャもファルカも、ありがとう」


「「とんでもないですわ」」


 ナターシャとファルカが明るい笑顔を返してくれます。


「夏にアイスクリーム食べられるんですから、このくらいしますって!」


「そうね! じゃあ、手伝うわ」


「あー、それなら、キッチンの母さん(マー)の方をお願いしますね。そろそろサンドウィッチの具材揃いそうでしたから」


「はーい」




 気軽に返事してキッチンに向かったリジーちゃん (とシドさん) を、待ち受けていたのは。


「お久しぶりですぅっ、シー先生!」


 ――― ちょっとだけ、意外なお方でした。

読んでくださり、ありがとうございます!


昨日はなろうのメンテを忘れておりまして、さあ更新しようとページ開けた途端に頭かかえました(笑) ついでにぶっ壊れたスマホと風呂の修理が完了。個人的には、何かこういうことに縁のある日でしたー…… 本当にどうでもいい話ですねw


しかし! 風呂にお湯が貯められるって素晴らしい! 文明国万歳ー!!

あ、ルーナ王国も一応水道です。お湯は…… ハンスさんあたりが頑張って沸かしてくれたりとか…… (名前しか出てこないけどありがとうハンスさん、って改めて思いました)


では!

いよいよ12月! 何かとお忙しいでしょうので、どうぞご自愛くださいませー。


感想・ブクマ・応援☆いつもめちゃくちゃ感謝しております!

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― 新着の感想 ―
[一言] >転生して18年、やっと、前世は 『単なる過去』 になってきたようです。 リジーちゃん……!(ブワッ) 前世の分も幸せになってね……!(ブワワッ)
[気になる点] お風呂壊れてたんですか? (;'∀') 大丈夫ぽ? [一言] >書字魔法 存在を忘れてました (ノ∀`) すいませんw アイス作るために使うのですね? 確かに氷室のアイスとか高級品で…
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