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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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181/201

180. 王女殿下の甘々ハネムーン大作戦はまだ始まったばかりです!?妄想にひたすら悶える、変態悪女でございます!

「きゃあっ……!」


 深い広葉樹の森に響くのは、王女殿下ことリーゼロッテ様の少々わざとらしい悲鳴。


「ふっ…… 作戦通り」


 悪女らしくほくそ笑むのは、私ことエリザベート・クローディス。


「はい、ここまで確認したら、帰りましょうね」


 そんなリジーちゃんを、サッと姫抱っこで強制回収にかかるのは、愛しの旦那様こと、シドさん。


 時は7月(ユリウス)は16日の朝食後、王女殿下の甘々ハネムーン大作戦(改)・ミッションその1 『長い散歩』 の途中、でございます。


 手順 0:下見、手順 1:お誘い、手順 2:腕をがっちりとホールドしての歩行…… を経て、ただいま、手順その 3 即ち 『散歩中にわざと川に落ちる』 を確認したところで、ございます。


 この距離からでは、お声だけしか聞こえませんでしたが、どうやら上手く落ちられたようですね!


 ――― 今は夏とはいえ、高原では水に濡れてしまえば少々、肌寒いはず。


 森の奥の神聖な大樹のウロには、ナターシャが先回りして 『いかにも焚き火しやすそうな』 焚き付けセットを置いてくれています。



「きっと 『寒いわ』 とリーゼロッテ様がガタガタなされば、ヘルムフリート様は焚き火をおこして、お洋服を交換されようとするはずよね」


「そうかもしれませんね」


「それで、ヘルムフリート様のシャツを中途半端に着崩したりされれば、全裸よりもむしろ、お色気倍…… いえ3倍増よね」


「そうですか?」


「そうよ! だって、リーゼロッテ様にはメガパイ(武器)があるのよ?

 あれをムニムニ押し付けられた挙げ句に、チラ見せさせられて、ソノ気にならない方なんて、いるわけないもの」


「俺は、なりませんけど」


「うそ、絶対なりますって!」


「なりません」


 耳元に口を押し当てて、「アルデローサ様がしてくれるなら別ですが」 とボソボソ囁いてくる、イケない旦那様…… 最近覚えた特技は 『甘える』 です。


「ま、それはともかく。そしてリーゼロッテ様、迫る!


 『寒いわ…… 抱きしめて』 『では、失礼します』


 遠慮がちにそっと抱きしめてくるヘルムフリート様をウルウル上目遣いで悩殺!


 『どうして愛してくれないの?』 『いえ、愛しております』 『そうじゃなくて、もっと……っ』


 戸惑うヘルムフリート青年にこう、にじり寄り、 『もっとカラダごと愛してほしいの』 『り、リーゼロッテ様……! 』 『ああっ、ヘルムフリート(ダイヤ)……! 』 だなんてぇ……っ♡」


 完璧なプランですねえっ♡

 妄想すると、つい身悶えしちゃいますよ、もうっ♡


「…………」


 ニマニマしつつクネクネするリジーちゃんを抱っこしたまま、不機嫌そうなお顔になるのは、シドさんです。


「………… 俺、言われたことないですが」


「必要なかったもの…… もしかして、言われたいの?」


「もちろんです。あと、その、パイ(武器)をムニムニしつつの歩行とやらも……」


 むっすり、と言明されるところによれば。


「俺、1回もしてもらってません」


「…… そうだったっけ?」


「そうですよ。なのに、どうして思い付くんですか?」


「んー? お父様におねだりする時にはしてたから。あ、あと、執事(エデルベンノ)さんにも2回くらい!」


 まだ、膨らんでない時分でしたけどね。


「…………」


 ガックリとうなだれるシドさん。

 どうせ俺は何でもホイホイ言うこと聞く下僕ですよ、とか呟いていますが。


 いつ誰がホイホイ言うこと聞いてくれたのか、さっぱり、思い出せませんねぇ?


「じゃあ、今からしましょうか?」


 頬をペタペタしながら尋ねてみれば、嬉しそうに姫だっこ解除し、そっと降ろしてくださるのでした。


「では、いざ。」


 シドさんの腕に、ぎゅうっと取りつきます。ええ、もちろん、武器もきっちりムニムニしておりますとも。


「リーゼロッテ様たちが、ちゃんと焚き火できてるか見に行きましょう!」


「それは、ダメです」


「…………」


 本当に、いつ、誰が、ホイホイ言うこと聞いてくださった、というんでしょうねえ!?




 ◆♡◆♡◆♡




「…… と、そんなこんなで、ここのところシドさんったら、変に甘えてこられるのよ」


「それ、お子様に張り合ってるんじゃないですか?」


「お子様って、お腹の赤ちゃん?」


「さようでございますわ」


 早めに別荘に戻り、お茶を飲みつつのお喋り。

 ナターシャが、くすくす笑います。


「お腹も目立つようになってきましたし、きっと、リジー様を取られる気がして、お寂しいんでしょう」


「…… 産まれるのを楽しみにしてるものとばかり」


「それとこれとは別のようですよ」


 赤子に乳をやってたら 『俺も』 っていう、ちょっと鬱陶しいタイプですわね…… と、やたらキッパリ断定する、ナターシャです。


「それって可愛いんじゃないの?」


「可愛いと思えるのは…… 赤子が産まれるまでですわ」


 ふむう。

 実感がこもってますねぇ…… ゲルハルトさんが、そういうタイプだったとは意外でしたが。

(これ以上想像すると、次に馬車を馭してもらう時に吹いちゃいそうですね!)




 さて、そうこうしているうちに。


「王女殿下とヘルムフリート様がお戻りです」


「あら。では、昼食の支度をお願いね」


「かしこまりました」


 ファルカの知らせに、エントランスへ急ぎます。 

 随分と早いお戻りですが、作戦はどうなったのでしょうか…… まさか。


「お帰りなさいませ、リーゼロッテ様、ヘルムフリート様…… ああっ……」


 そこで、リジーちゃんが見たのは、濡れそぼり、水滴をポタポタ垂らす、高貴なおふたりのお姿でした……。


読んでくださり、ありがとうございます!


リジーちゃんが見に行きたいのは、断じて出歯亀ではなく、本気で心配しているからなのですが…… シドさんが他人には良識を見せる人で良かった(笑)


先週先々週と金曜日更新だったのですが、今週は今日水曜日更新。現在は、曜日不定で週1更新というペースです。よろしくお願いしますm(_ _)m


ではー! 年末に向け、忙しくなってきそうです。お風邪などにお気をつけて、ご自愛くださいね。


感想・ブクマ・評価☆ いつもとっても感謝しております!

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― 新着の感想 ―
[一言] >パイをムニムニ 武器と振り仮名振られていたのに笑いました (*´▽`*) 濡れ濡れのお二人はいかに?w
[一言] >あれをムニムニ押し付けられた挙げ句に、チラ見せさせられて、ソノ気にならない方なんて、いるわけないもの その通り!!!(クソデカ声) >「お腹も目立つようになってきましたし、きっと、リジー…
[一言]  赤子に乳をやってたら 『俺も』 っていう、ちょっと鬱陶しいタイプですわね…… と、やたらキッパリ断定する、ナターシャです。 「それって可愛いんじゃないの?」 「可愛いと思えるのは…… 赤子…
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