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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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178. 新婚夫婦、謀略の夜はまさかまさかの不戦敗!?でも諦めない、変態悪女でこざいます!

 さて、かくして一夜が明けた7月(ユリウス)は16日。


「リジーちゃん…… ごめんね……」


 目の下にうっすらしたクマさんを居座らせつつ、謝罪してくださるのは、我らが王女殿下ことリーゼロッテ様。

 朝食前に散策に出た、夏薔薇咲き誇る小路にて、の出来事です。


「そんな……っ! 謝られることなど一切ございませんわ! むしろ、こちらの方こそ……」


 作戦ミスを痛感するのは、私ことエリザベート・クローディス。


 王女殿下(リーゼロッテ様)のご気性を勘案していなかったのが、失敗でした。


 すなわち。

 王女殿下は、眠るヘルムフリート青年の手首を黒いレースのおリボンでベッドに繋ぐまでは、したものの。


「そこから先が…… なんだかフェアじゃない気が、どうしても、してしまって!」


 目が覚めるまで、上に乗っかって攻め続ける、というのがどうしても実行できず、ほぼ一晩中、ヘルムフリート青年の頭をナデナデしたり、お髪をすいたり、三つ編みを作って遊んだりなさっていたそうで……



「その御手を、下の方に移動させられるだけで、遂行できましたのに……」


「そうなのよ。何度もそう思ったんだけど、やっぱり無理だったの……!」


「では、今晩は、睡眠薬(カノコソウ)は無し、にいたしますわ。媚薬だけで行ってみましょう?」


「うううん。いいの。もうお薬は、いらないわ」


「まさか……! 諦められる、おつもりですか……っ?」


 そんな…… ショックによろめく、リジーちゃんです。

 それは、イチャイチャが夫婦の全てだとは申しませんけれども…… でも、新婚さんで、そんな。


 ですが、リーゼロッテ様はきっぱりと、首を横に振られました。


「違うの。やっぱり、薬ではなくて、ちゃんとヘルムフリート(ダイヤ)に愛してほしいと、思って…… って、わたくしったら! なに言ってるのかしらっ」


 真っ赤になって、自分ツッコミをいれておられます。


「とととにかくっ、わたくしも、ヘルムフリート(ダイヤ)のことが、ちゃんと好きなんだ、ってわかったから……」


「はて?」


 これは、どういうことでしょうか?

 リジーちゃん、よくわかりません……っ。


「お好きだから、結婚されたんじゃ、ありませんでしたの? ご結婚前にも何度か、愛情溢れたベタベタなデートを楽しんでおられたでしょう?」


「うーん、そうね……

 もちろん嫌いではなかったし、デートも楽しかったし、折角だから好きになろうと頑張ってみたりもしたんだけど……

 わたくしには、ラズールがいたから…… ヘルムフリート(ダイヤ)も、それがわかってて遠慮してた、ってところもあると思うの」


「ええええええっ!?」


 開いた口が塞がらぬとは、このことなので、ございます……!


 大丈夫ですかリーゼロッテ様?


 ラズール青年といえば、確かに王女殿下(リーゼロッテ様)の元婚約者ですが、放蕩が過ぎてその座を降ろされた方でしょう!?

 それでもって、今はエロ小説家として名高いユーベル先生こと、スズメバチ様でしょうっ!?

(人妻と嫌がる女性には断じて手を出さないことを評価して 『鬼』 は外しました。)


「あんなタラシのロクデナシより、断然ヘルムフリート様でしょう!」


「ラズールも、昔から、あんなじゃなかったのよ。ああなったのは、わたくしとの婚約が破棄されてから、なのよねぇ……」


 遠い目をなさるリーゼロッテ様…… 何やら深い事情がありそうです。


 ここは黙ってスルーすべきですね、うん。


 それがレベル上の悪女というもの…… けど、けど。


 溢れるネタの香りが、作家の本能を刺激するぅぅぅ……っ!


「ちょっとソレもう少し詳しく、お願いできません!?」


 結局は誘惑に負けたリジーちゃんに、「いいわよ?」 と気軽にリーゼロッテ様が話してくださったところによると……。



 王女殿下とラズール青年は幼い頃より婚約されていたのだそうです。

 が、その頃は、疫病の流行や小麦の不作などが相次ぎ、国民の暴動が絶えず政情不安は今よりもずっと大きい時代でした。

 国を立て直すために、内政に注力したかった国王は、大陸ではジンナ帝国に次いで大きな軍事力を持つマキナ王国と同盟を結ぶことを決意。

 その保証として求められたのが、マキナ王国の王子との婚姻だったのです。 …… いわずもがなですが、王女殿下(リーゼロッテ様)は体の良い人質の役目だったわけですね。

 そしてリーゼロッテ様とラズール青年は、お互いの想いなど度外視でアッサリ婚約破棄となり、ヤケになったリーゼロッテ様が美少年趣味に走る一方で、ラズール青年は放蕩を繰り返す身となった…… そうなのですが。


「マキナ王国は、その後に政変が起きて、王子が愛妾ともども幽閉されたせいで、ルーナ王国との同盟も婚姻も流れちゃったのよ」


「ん? 結婚前から愛妾がいる男なんてヤダ、ってことでは、なかったのですか?」


 確か噂では、そんなことになっていたかと思うのですが。


「それは、物凄く思ってたけど……」 と、遠い目をするリーゼロッテ様。


「そんなことでは、国同士の婚姻は流れたりしないわ」


「なるほど。小国あるある、でございますわね…… けれども、そういう事情でしたら、再度ラズール様と結婚なさっても」


「わたくしはともかく、ラズールは悪評がたたって、王家の立場としては、とても婚姻を結ぶわけにはいかなかった…… って、リジーちゃんが泣かなくても」


 うううっ…… だって!

 これが泣かずに、いられましょうかっ……!


「…… っ、だって…… っ! リーゼロッテ様がぁ……っ ……」


 悲恋! 正統派悲恋ではないですか!

 王家に生まれさえしなければ…… みたいなストーリー、前世でもいくつもありましたけどっ。

 何回聞いても、泣けちゃうものは泣けちゃうんですよぉぉ……


 と、急に顔に柔らかいものがムニムニと、さわりました。

 優しい手が、背中を何度も撫でています。

 どうやらリーゼロッテ様が胸にかき抱き、宥めてくださっているもよう…… 本当に、尊いお方……。


「わたくしとラズールが、愚かだっただけよ。諦めなければ、望みはあったのに、勝手に未来はもう無いと思い込んで、自ら扉を閉ざしてしまっただけ」


 それに悪いことばかりじゃなかったわ、と、穏やかな声が続きます。


「リジーちゃんに会えたし、ラズールも今では良い友人だし、ジュエリー店の店員は優秀だし、それに、ヘルムフリート(ダイヤ)と結婚したのも……」


「そうですよ! それで?」


 リーゼロッテ様のお胸から、ぱっと顔を上げるリジーちゃん。

 泣いてばかりではいられません、のでございます。


「つまり、昨晩、ヘルムフリート様の方がラズール様よりもお好きだと自覚された、ということですよね?」


「え? ま、まぁ…… そそそ、そうなるかしら、ね?」


「それならば、なさることはただ2つ!」


 がっしりとリーゼロッテ様の両腕を捉え、こう宣言する、リジーちゃんなのでした。


「渾身の誘惑! 加えて、遠慮会釈なき愛情表現! この際、羞恥はかなぐり捨てて、全力で掛りましょうっ!」


読んでくださり、ありがとうございます!


少しお久しぶりでした。

ここのところ定着していた水曜日更新でしたが、ついに遅れてしまいました。待ってくださってた方、すみませんですm(_ _)m


決してブクマが連続で剥がれて落ち込んだせいではなく、行事が詰まってるのに、子供の歯医者と予防接種を更に突っ込んでしまったから……(反省)


来週も多忙気味ですが、週のどっかでは更新する予定ではありますので、宜しくお願いします。


朝晩、半端なく寒いですね!

温かくして、お風邪などにお気をつけてくださいませ。


ではーーー!

感想・ブクマ・応援☆いつもありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] お子さまは虫歯ですか? (。´・ω・)? [一言] >羞恥はかなぐり捨てて、全力 ですよね!!☆彡 黒いレースで紐紐で攻略ですわ (/ω\※)w
[一言] まさかリーゼロッテ様にそんな過去が……!(ブワッ) でもだからこそ、これからは幸せになってほしい……!
[一言] ラズールも幸せになれるといいね! いつか!!(他人事)
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