173. ラグの上での内緒話は、お茶会よりも盛り上がる!王女殿下と変態悪女でキャッキャウフフなお時間です!?
中盤よりシド目線です。
さて、かくして7月は15日の昼下がり。
「はっあぁぁぁぁ♡ 癒されるぅ♡」
フカフカのラグ (色は視覚を刺激する赤) から蠱惑的な眼差しで見上げて、「リジーちゃんもどうぞ?」 とおっしゃるのは、われらが王女殿下ことリーゼロッテ様。
現在、クローディス家の別荘を公式訪問くださっている途中です。
客室にご案内した途端に、 「きゃっあぁ♡ アナスタシア様・初夜の間ねっ♡」 と、はしゃぎだされたのも。
素敵なドレス姿でコロンとラグの上に倒れられ、コロコロ転げ回りつつ 「ここで、恥じらうアナスタシア様を公爵様が1枚ずつ脱がして……うふふふ♡」 と、ひとしきり妄想に耽られたのも。
…… 内緒になさるんでしょうね、たぶん。
「では、失礼しますわ」
王女殿下の隣にコロンと横たわる、私ことエリザベート・クローディス。
遠慮がちに、お尋ねしてみます。
「けれども、その、良かったのでしょうか?」
「へ? なにが?」
「ヘルムフリート様と、思い立ったら時・場所問わずの本番を早速、開始されなくて」
一応のスケジュール通り、新妻どうし・殿方どうしでのお茶会をする予定で、ヘルムフリート青年とシドさんには早々に別行動をお願いはしたのですが……
やはり、気になるのはこれ。
「甘々新婚生活が遠ざかっていく気配がいたしますの」
「いいのよ! 究極、イチャイチャの方は、侍従や使用人の目の前でもできるし」
「まさか……」
ごくり、と唾を呑むリジーちゃんです。
「目の前でも構わず本番を……?」
「したことは無いけど…… そうなったら、彼らが遠慮して出て行くんじゃないかしら?」
「確かに」
王女殿下は、ラグの上でふぅぅぅ、と手足を伸ばし、ニッコリされます。
「ともかく、リジーちゃんともゆっくりお話したいのは本当に本当なのよ?」
「はぁん…… お姉さまったら……!」
感激しちゃいますねぇ、もうっ!
改めて至近距離から拝見すれば、そのお肌はツルッと滑らか。
もちろん、ストロベリーブロンドの高貴なお髪はツヤツヤ、そして、湖の色の瞳がキラキラと輝いて…… はぁぅぅぅぅう。
ついつい、見惚れてしまうのです……っ。
「で、早速だけど」
「何でございましょう?」
「どの体位が一番良かったー?」
リーゼロッテ様のお顔、期待感に溢れてます、ねぇ……っ!
♡◆♡◆♡
「それは…… 個人差があるのではないでしょうか」
爽やかな風が吹き抜ける。
妻たちの一存で、体よく追い払われたバルコニーにて、シドは 『高貴』 を絵に描いたような美青年に向かって、首をかしげていた。
ふたりの間には、ワイングラスとチーズ、ナッツが並んでいる。
――― 夫どうしの飲み会、それが新婚夫婦であれば、出てくる悩みは、相手が異国の王子であろうと自国の侯爵家令息であろうと、同じようなものなのかもしれない。
「個人差がどうこうでなく、『これが鉄板』 というのが1つくらい、ないものでしょうか」
「体位などは、1つずつ試しては、おふたりにピッタリのスタイルを探していかれるのがベストでしょう」
食い下がるヘルムフリートに、シドは辛抱強く説く。
そもそも、美少年ハーレム時代から経験済みだろうに何を今さら、と思わないでもないのだが…… 現実には、目の前の青年は 「どうも自信が持てなくて」 と、うなだれている。
「失礼ですが、奥様とのそういうお付き合いは、ご結婚前からでは……」
「いいえ? その頃にはギリギリまでしか、していませんよ」
「……それは失礼しました」
どうやら妻の予測は外れていたようだ、と密かに思う、シドである。
「まぁ、でも、これまで不満が出なかったのですから、今さら自信が無いもないでしょう」
「…… 小さいんです」
「…………」
突如なされた告白を、シドは、素知らぬ顔でワインと共に飲み下した。
「それはテクニックでカバーしてください。テクニックについては、アリメンティス公爵家令息にでもお尋ねすれば良いでしょう」
「彼のことは嫌いですし…… 元・婚約者に向かってテクニックを聞くなど、できませんよ」
「嫌いなら、そこは気を遣わずにグッサリやってしまっても良いのでは」
「そのような……」
ヘルムフリートは困り果てた顔をして、ワイングラスに口をつけた。
嫌いな人間を精神的に叩くことなど、むしろ当然なのに何を困っているのか…… と疑問に思うシドであるが、おそらくヘルムフリートは生来優しい性格なのだろう。
「では、"ネーニア・リィラティヌス" で学習なされば」
"ネーニア・リィラティヌス" はルーナ王国屈指の大衆向け 『穴棒アーン』 小説、作者ユーベルの実体験に基づくウッフンアッハンが毎話欠かさず登場する、色んな意味でスゴい代物である。
もはやルーナ王国成人男子の聖典と呼んでも過言ないそれを、シドもしばしば、多少アレンジを加えつつ実戦で役立てているのだ…… 妻にバレるので、あからさまな流用はしないが。
しかし、 "ネーニア・リィラティヌス" の名を耳にしたヘルムフリートの顔は、サッと曇った。
「…… だから、小さいんですよ」
「だから、短小はこの際、問題ではないと申し上げているでしょう」
「いえ、そうでなくてですね」
思い詰めた表情でワインをひとくち飲み、溜め息を吐くと、ヘルムフリートは意を決したように、言った。
「"ネーニア・リィラティヌス" の通りに頑張っているのですが…… どうしても、彼女の声がそんなに上がらなくて…… 何が悪いのか、サッパリなんですが」
「………… あれを、そのまま信じておられるんですか」
呆れてツッコミを入れるシドに、真剣な表情で 「違うんですか」 と尋ねる、ヘルムフリート。
――― 元・美少年ハーレム構成員は、結婚してもなお、純情なのであった。
読んで下さり、ありがとうございます!
来週の更新ですが、もしかしたらお休みするかもしれません m(_ _)m
実は9月頭より体調不良気味で…… 特に症状があるわけじゃないんですが。
常にダルい・疲れがとれない・寝起きから疲れている ⇒ 早すぎる更年期か!? ⇒ ポーションで誤魔化す ⇒ 使用限界(腹痛) ⇒ コーヒーで誤魔化す ⇒ 使用限界再び(腹痛) ⇒ 取りあえず寝て誤魔化す ⇒ どんどん減るHP上限 ⇒ 無理にでも動いてHP上限回復中← 今ココ
で、気づけばここ10日くらい、ほぼ何っっも読み書きできてません!(爆)
頭がぼーっとしちゃってですね。早く回復せねば。
というわけで、ここんとこ気になってるのが、『薬用養○酒』 とか 『に○にく卵黄』 とかそういうアイテムなんですけど…… 効くんですかね? 使ったことある方おられたら、教えてくださいー!
ではでは。
そんなわけで、季節の変わり目、お身体お大切にーーー!
感想・ブクマ・応援☆めちゃくちゃ感謝しております。




