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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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172/201

171. 別荘で避暑、は新婚夫婦のスタンダードです!?王女殿下のためには変態悪女も頑張っちゃいます!

 王女殿下とのお茶会より10日余りが過ぎた、7月は13日。


「ふぅぅぅ…… 爽やかな高原の風……」


 馬車から降りて深呼吸をする、私ことエリザベート・クローディスと。


「今年は万一のことを考えて別荘には行かない、って言ったじゃないですか」


 恨めしげな表情でグチグチとおっしゃっている、旦那さまこと、シドさん。


 ただいま、クローディス家の別荘がある高原に、約1年ぶりに到着したところで、ございます。


「大丈夫よ、馬車の揺れで赤ちゃんが下りちゃうなんて、迷信ですもの」


 おほほほほー、と笑い飛ばして差し上げる、リジーちゃん。


 なんなら、シドさんが新婚時代に馬車でしたアレコレを思い出して、ついやってしまったナニナニの方がよほど、アブない感じがするのですよ…… 感じだけで、それもやっぱり迷信なのですけどね。


「それに王女殿下ご夫妻が()()にいらっしゃるのに、おもてなししないワケには、いかないのではございませんこと?」


 そうなのです。

 『新婚旅行』 が閣僚会議で否決されたと嘆いておられた王女殿下でいらっしゃいますが、『新婚旅行』 はルーナ王国では、まだ馴染みのない言葉。


 王女殿下が行うことで、庶民にも徐々に風習を浸透させ、地方経済の活性化を図り "アナスタシア・カレィニンの美しき日々" の売れ行きを伸ばしてくださろうというお心遣いには痛み入るばかりですが……


 第一目的たる 『甘々新婚旅行で朝から晩までイチャイチャ』 を実現させようとするならば、下々のことまで構っている場合ではないのですよ……っ!


 そのためには、本来の目的など隠蔽し、 『視察』 と言い切るのがベストでしょう。


「実はラトス国より王太子夫妻がお忍びでお泊まりになり、大変満足されてお帰りになった別荘。そして、そのおもてなし。

 …… 『王女殿下ご夫妻での視察』 は、今後のルーナ王国の外交政策にも役立つに違いありませんものね?」


 実は去年の夏、海を超えたラトス国の王太子夫妻様とお付きの方々が、リジーちゃんの熱心なファンとして、お忍びで遊びに来てくださったのですよねぇ。

 「お忍びで来られる」 旨は国にも伝え、邪魔にならぬよう陰ながら国の騎士たちに護衛してもらっていたのです…… が、その後のフィードバックはまだ、だったのですよね。


 そう、この機会に、王女殿下の 『公務に見せかけて実は新婚旅行』 に用いるのには、何ともピッタリの案件! ではありませんか……っ。


 おかげで、閣僚会議も今度は無事に通過し、明後日には王女殿下とヘルムフリート青年を別荘にお迎えする運び、となったわけでございます。


「いわば、国益かつ本の売上かつ文化の活性化のために、重要なことをしているのですわ!」


 主張するリジーちゃんに、「しかし」 と不満顔を隠さない、シドさんです。


「もし、何かあったら、こんな田舎では医師も助産師も……」


「大丈夫ですわ!」


 きっぱりと言って差し上げます。

 というのも、リジーちゃんは今月で妊娠7ヵ月なのですが……

 もし何かあったら、ルーナ王国の医療技術では、医師や助産師がいても、どのみち助かりませんからね。

 何もありませんように、とお釈迦様と出産の女神(ルーキーナ)にお祈りするのが関の山、です。


「あるかわからないことに怯えて、やりたいことを諦めている時間など、死んだも同然でしてよ。わたくしは認めませんわ」


「……ですが」


 まだ、もにょもにょと反対したがるシドさん、可愛いですねぇ……っ!

 きゅっと抱きついてお胸にキスなどしてみましょうっ!


「ついでにお口も……っ」


 おねだりすれば、馬車の中で散々したくせに、とタメイキつきつつ身を屈めて長いキスをしてくださるのが、もう…… 好き。


「スキンシップで誤魔化せると思わないでください」


 言いながら、脚を掬いあげて姫抱っこ強制回収スタイルをとってくださるシドさんに、「そうですわね」 と含み笑いで応じます。


9月(バックス)からは、(少しは) 大人しくして差し上げてよ」


「……8月(アウグストゥス)は」


「そんな先のことは、わかりませんわ?」


 運ばれながら、シドさんの首に両腕を回して、頬にちゅうっといたします。……うーん、幸せですねぇっ! 


 シドさんの態度は前とそれほど変わらないのに、こちらの心持ちが変わっただけで、こんなに違うなんて……。


 ケンカしても、お互いに理解できない時があっても、それで終わりじゃないんですねぇ…… 諦めなければ。


 諦めないで、いてくれたら。


「シドさん、ありがとう♡」


「お礼とかいいから、大人しくしてくださいよ。絶対走っちゃダメですよ。あと、倉庫は立ち入り禁止。必要なものは俺がとってきますので」


「あら…… 倉庫のアレは意外とスリリングで楽しうございましたのに」


 細々と注意をしてくるのに、素知らぬ顔でガッカリしてみせると。


「……また、来年で……」


 ボソボソと、約束してくださる、シドさんなのでした。

読んでくださり、有り難うございます!


今回の 『ラトス国の王太子夫妻を去年の夏別荘に迎えた話』 詳しくは秋の桜子先生とのリレー小説 をご覧ください。


⇒ 『新妻達がリボン手に持ち迫る夜。〜令嬢たちは誠実な夫に溺愛されている。~ 』 (https://ncode.syosetu.com/n7291gj/)


ラトス国の王太子夫妻、お付きの騎士夫妻、そしてリジーちゃん・シドさん。

タイプの違う3組の新婚夫婦のいちゃラブが楽しめるのはこの小説だけ!

ですよー。宜しくお願いします♪


そろそろ季節の変わり目、体調崩されませんように、ご自愛くださいませ。


感想・ブクマ・応援☆めちゃくちゃ感謝しております!

でーーはーー!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 仲良しさんにもどりましたね♪ 印税も入ってよかったです☆彡
[一言] おお! こうしてリレー小説のお話とリンクするのですね! こういう演出好きです!w
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