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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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171/201

170. さぁ、王女殿下との再会です! 舞い踊る丸出し天使の下でお茶する、変態悪女でございます!?

 高い天井に舞い踊る、イイところもイケナイところも丸出しの天使(クピードー)たち。

 壁一面を彩る、美少年たちのポートレート…… よく見れば、昔のシドさんやヘルムフリート青年もいます。



「はぁぁ…… やはり実家というのは落ち着くものね」


 目の前には、紅茶カップに唇を寄せて微笑む、ストロベリーブロンドの髪の王女殿下ことリーゼロッテ様、新婚3ヵ月。

 私ことエリザベート・クローディスと、お城の広々とした自室でプライベートなお茶会中、でございます。



 色々とゴタゴタした6月(ユーニウス)も終わり、時は早や7月(ユリウス)の1日。


 新婚さんへの遠慮もあって、王女殿下に直接お目にかかるのも久しぶり、なのです。


「リーゼロッテ様はお忙しすぎでいらっしゃいますわ。この度の件も、まさか、お手紙をご覧になってすぐに動いてくださるなんて……」


 テーブルに白磁のカップを置き、両手を膝の上で揃えて頭を下げるリジーちゃんです。


「感謝のしようもございませんわ。本当に、ありがとうございます」


「やっだぁ。相変わらず、堅苦しいわねぇ」


 発行物報奨金(インゼイ)制度は素晴らしい案なのだから当然よ、と王女殿下はケタケタと明るく笑ってくださいますが。


「いえ、おかげさまで、早速、生活費も入りましたし…… 王女殿下のお力がなくては、こうは参りませんもの」


 この度、バルシュミーデ兄弟社が賛同する形で始まった発行物報奨金(インゼイ)制度。

 なかでも売上高ではなく発行部数ベースでの支給になったことと、発行価格の1割が、基準の支給額として定められたこと…… この2つは、作家の生活を保証する上でも大きいのです。


「ふふふ。わたくしが圧をかけたのではなく、社長の英断なのよね」


 意外と太っ腹よねーあの社長、と含み笑いするリーゼロッテ様(王女殿下)


「今、出版価格の1割を作家に還元できるほどの財力と販売力がある印刷会社など我が社程度」 と、社長の口真似を披露してくださいます。


「つまりこれは他に真似のできない業態にて優れた作家をことごとく我が社に集め、未来永続的に出版界を一社独占状態にする素晴らしい法律ですよ……!

 ですって。つまりは、激ホメOKしてくださったわ?」


 ……おおう。

 なんと、お兄さん社長もジグムントさんと同じくホメリストだったのですねぇ…… やはり兄弟。


「それも王女殿下が話を通してくださったからこそですわ。わたくしだけではきっと、値切られていましたもの」


 どうぞ、と勧められて、紅茶をひとくち含みます。

 ほわぅ…… さすがは王家御用達。芳香にゆったりと身を包まれるような感覚が、たまりませんねぇ……。


「おかげさまで、やっと 『お気に召さなければ、いつでも出ていって差し上げますわ。紙とペンがあれば生きていけますもの、わたくし』 と堂々と言うことができますわ」


「あらあら」


 リーゼロッテ様がまた、含み笑いをされました。視線がさりげなく、リジーちゃんの膨らみが目立ってきたお腹に注がれています。


「仲良いんでしょう?」


「まぁ…… ようやっと、というところですかしら」


 そう。

 妊娠してから、まさか、これほどゴタゴタするとは、全く予想していませんでしたからねぇ、昔は。


「リーゼロッテ様はいかがですの? 新婚生活も落ち着かれまして?」


「それが……」


 王女殿下の新婚生活。

 ぜひ、取材したいものなのです! ……が。


 急に言葉が途切れ、湖の色のお目めをウルウルさせるリーゼロッテ様。


 ……これは……、と脳内で臨戦体制に入るリジーちゃんです。


 ヘルムフリート青年め。リジーちゃんの王女殿下に何してくれてるんでしょうね?


 しかし。表面は、あくまでさりげなさを装いつつ、尋ねてみるのです……!


「どうされまして?」


「…………」


 王女殿下の頬をつっ、とひとすじの涙が濡らしました。


「『新婚旅行』 が閣僚会議で却下されてしまいましたのよ!」



 ――― "アナスタシア・カレィニンの美しき日々" のような新婚生活(ハネムーン)を夢見ているのに、全然ダメなのよっ! あまり言い過ぎて 『くだらない問題で騒ぎ立てる馬鹿王女』 と思われちゃいけないから、ロイヤルスマイルを維持しながら諦めなきゃいけないのよぉっ……!


 サイン入り豪華版の "アナスタシア・カレィニンの美しき日々" (帯の(アオ)りは 『ルーナ・シー先生渾身の書き下ろしハネムーンを、美麗挿し絵で召し上がれ♡』 、付・シチュエーション別の準備・体位一覧) を両手に持ち、切々と訴えてくださる、リーゼロッテ様なのでした。




 …… ここは、リジーちゃんが一肌脱がねばなりますまい、でしょうかしらっ……!?






挿絵(By みてみん)

装丁:秋の桜子先生

読んでくださりありがとうございます!


慌てすぎて恒例の御挨拶を忘れてましたー (汗)

こちらの後書き御挨拶、まだ読んでくださる方が少なくて寂しかった頃に、一見さんにもせめてもの感謝を伝えようと始めたのですよ…… それを忘れるなんてっっ……orz


さて本編の方は久々のリーゼロッテ様。

結婚しても王女の地位と役割は変わらないので、「久々の実家は落ち着く」 とか言いつつ実は3日に1日は王城に行ってる人です(笑)

実家すなわち、王女殿下にとっては自室のヘンタイ部屋ってことですね! さすがに婚家先には各種美少年ポートレートを飾るのはやめているもよう。


さて、台風襲来のもようですね……

大事にならぬことを祈っておりますー!


でーーーはーーー!

感想・ブクマ・評価いつも感謝しております!



※2020/09/09 秋の桜子先生よりFAいただきました!

まさかの! "アナスタシア・カレィニンの美しき日々" でございます! 素晴らしい!!

秋の桜子先生、どうも有り難うごさいますー!

⇒ 秋の桜子先生のマイページはこちら

https://mypage.syosetu.com/1329229/

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― 新着の感想 ―
[一言] >つまりこれは他に真似のできない業態にて優れた作家をことごとく我が社に集め、未来永続的に出版界を一社独占状態にする素晴らしい法律ですよ……! でもこれは真理ですよね。 小説だけで生活が出来る…
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