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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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149/201

149.長年の秘密がついに暴かれる!?ウッカリしまった変態悪女、なのです!?

 さて、こうして無事、産休中の代行作家ことキエルちゃん、ペンネームはキエリーラ・エル・カエーラちゃんをゲットした、私ことエリザベート・クローディス、またの名をルーナ・シー。


 本日5月(マイユス)は12日は早速、活版印刷所・バルシュミーデ兄弟社に産休中の代打原稿を持ち込みする予定なのです!


 ルーナ・シーが産休に入るのは9月(バックス)から、すなわち "月刊セレナ" の10月(ムーサリウス)号から。

 まだまだ、と油断していると案外すぐ、といったスケジュールですから、まずは早めにジグムントさん(編集長)からの承認を貰っておくのが良いでしょう。


 勝負服は、いつぞや王女殿下からいただいた、お出掛け用・コバルトブルーのシルクワンピース。

 やや膨らんできたお腹でもギリギリ着られる、妊婦に優しいデザインです。


 さぁ、お洒落も気合いもバッチリで、いざ参らん!


 と、玄関のドアを、愛しの旦那さまことシドさんに開けてもらったところで。


「リジー、ちょっと」 父に呼び止められてしまいました。


 父はいつも通り、出勤前のキリッと爽やかなイケオジさまスタイル。なのですが…… なぜか。


 珍しく、目の下にクマさんが居座っておられるのですよねぇ……


 ――― 朝食時から気になっていて、チラッとそちらを見る度、けっこうな確率で目が合い、その度に生まれた時から培ってきた天使スマイルで心をとろかす、つもりが。


 なぜか、なんともいえない感じでサッ、と目をそらされてしまう…… という、微妙なことになっていたのです。 ―――


 この感じは、つまり、すなわち。


(何か言われる前にさっさと外出してしまった方がいいパターン、ですわね!)


 ピーン、ときて、支度をなるべく急いだのに、結局つかまってしまうなんて…… リジーちゃんったら、悪女スキルが錆び付いてきてしまってるんでしょうかっ!?


 父の表情…… 心の痛みを押し隠して、なるべく穏やかさを装っている感じ、ですね……?


「話があるんだが」


 キタ、キました!

 警戒態勢を押し隠して、なるべくリラックスした表情を装うリジーちゃん。


「あら、お父様。どうされまして?」


 完璧に涼やかに返しつつ、ジリジリとドアの方へずれていきます。

 ここで、逃げ切ってしまえば、ひとまずは大丈夫!


 扉はすでに開いて……


 って。


 パタン。


 何、ソツなく素早く閉めてるんですか、シドさん?


「ここでのお話もなんですから、どこか場所を移されては」


 余計なこと言わないでください、もうっ……!

 いつの間に父に飼い慣らされたんでしょうかね!? 

 恨みがましい目で(にら)んでさしあげちゃいますよ……っ?


「シドさん……わたくしとお父様と、どっちが好きなの?」


「両方です」


「…………っ!?」 


 ち、父と同列に並べられてしまいました……っ!

 ……ま、まさかシドが、妊娠中の奥さんとデキないからって父に走るなんて……


「そ、それで」 ドキドキしちゃいますね、これは!

 まさかの 『義理の父とのあやしい関係』 ! 

 ……どうあっても、取材せねば……っ!


「お父様とはどこまで……っ!?」


「飲みながら悩み相談しあう程度ですが」


「……!?」


 いつの間に、そこまで進展したのでしょうかっ!?

 シド、おそろしい子……!


 ともかくも、心のメモにはしっかり書き込みましたわよ!


 ――― 産休明けの "美しき鉱物学者と社長兄弟" のお話は、父親世代まで巻き込んでの4つ巴、5つ巴の愛憎劇になるのです! 

 腕が鳴りますねぇ、ふっふっふっふっ ―――



 と、それはさておき、そんなわけで。


「それで、お父様。どうされまして?」


 恒例、父の書斎(お小言部屋)でシドと並んで座りつつ、にこやかに話を切り出すリジーちゃん。


 ここ最近は、残り物ケーキ配布(まつり)でのガーターベルト見せも控えてますし (なんだか旦那さま(シドさん)に見ていただく以上に萌えなくなってしまったので) 全く思い当たりが……


「大衆向け雑誌に書いてるって、いつからだい?」


 ぎょっっ……!

 キター! キてしまいました!


 父、もはや穏やか仮面も剥がれ、まことに沈鬱(ちんうつ)な表情です!

 深いタメイキが、1回、2回……

 うぅ…… 胸が痛みます、ねぇ……。


 しかぁし!

 リジーちゃんとて、ダテに悪女張ってたわけでは、ありません。


 しれっと答えて差し上げましょう。


「あら? なんのことをおっしゃってるか、わかりませんわ……?」


「昨日、たまたま聞いてしまったんだが……」 深ぁいタメイキ、3回目です!


「『実は "月刊セレナ" の "美しきナントヤラ" は、わたくしが書いているのよ』 だって?」


 ギクッ。


 ま、まさかあの時、父が休憩室の外にいたのですか?

 そして、キエルちゃんとの会話を聞いていた……?


 ええええーっ!

 そんな、大きい声で話したつもりなかったし、休憩室の扉には 『お掃除中』 のフダも掛けておきましたのに……っ!


 なんて、なんて…… ウッカリさんなんでしょうか、リジーちゃんったら……!


「シドさん……」 思わずジットリと睨んじゃいますよ、もう……っ。


「(推定) 昨日の夜、お父様に相談された時、どうしてバックレてくださらなかったのかしら?」


 そう、父がお説教くださるほど確信を持っているとするならば、それにはシドさんからの情報提供が不可欠なはず。

 そしてそれは、昨日の夜、義理の親子差し向かいで飲みながら行われたに違いありません。


 ……ふっ。名探偵リジーちゃんの推理、いかがかしら?

 妻を放っといて男同士でつるんだりなさった罰。


 存分に慌てふためくがイイのです……!


 ところが。

 旦那さま(シドさん)の表情、全く変わりません。

 愛想のない無表情。「俺が正しい」 とでも言いたげ、です。


 ……罪悪感なく、全てを父にバラしたとでも、いうのでしょうか?


 疑問の答えは、落ち着いて放たれた、次の台詞にありました。


「あまり夜更かしすると、体調が整いませんから…… もう、お嬢様は、身ひとつではないわけですし」



 ……………………

 ……………………

 ……………………。



 また、それ……っ!?


読んでくださり、ありがとうございます。

感想・ブクマ・応援まことに感謝です……!


コロナウイルスがなかなか収まりそうにありませんね。皆様無事に新年度を迎えられますように。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  楽しくて全部、読んでます(笑)  前話を読まなくても話がわかる親切な前置きが、数日かけて読む身としては、とてもありがたいです。  ここでまとめての感想になってすみませんが、婚約式をする…
[一言] >五つ巴の愛憎劇 ( ˘ω˘) 次作はそれでwww >妊娠中の奥さんとデキないからって父に走る お茶を噴きました (´;ω;`)ウッ…www
[一言] >まさかの 『義理の父とのあやしい関係』 ! ぶるうちいず先生「エクストリームヘヴンフラーーーッシュ!!!!」 >また、それ……っ!? まあ、こう言っては何ですが、シドの気持ちもわからんで…
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