134.リラの花香る未明に突如始まるタイトルマッチ!変態悪女の技も炸裂、しちゃうのです!?
さてかくして時は5月は20日の未明。
「ぁぁぁ……ううう……」
魔法の灯でかなり明るくなったベッドの上で、恥ずかしいかっこうをしつつ身悶えする、私ことエリザベート・クローディス。
「なかなかイイですよ」
クスッと笑みつつ、そんなリジーちゃんを背後からじっと見つめる旦那さまのシドさん。
冷静そのものの口調と、ぬめぬめとしかし冷徹に注がれる眼差しが、より……より……リジーちゃんの羞恥と萌えを引き立てているのです。
はぁぁぁん、とイケナイため息も、漏れそうになっちゃいますねぇっ!
思えば、ここに至るまでは長い道のりでしたが……やっぱり。
視 姦 こ そ 至 高 の エ ロ ス 。
間違いありませんね!
ちなみに今のリジーちゃんは、あちこち透けてるネグリジェを着用し、 "威嚇する猫" のポーズをとっています。
旦那さまのリクエストです。
きっと自らの獣性に恥じ入り悶えるが良い、という意味合いを込めたのでしょう……!
なんて意地悪くて……思惑通り、悶えちゃいます、ねぇ……っ……!
と、それはさておき、さて。
―――なぜに、こういう流れになったかといいますれば、それは。
夜中にせっせと女性側の攻めを学習した後、旦那さまの匂いを堪能しつつお休み……のつもりが、当の旦那さまが目覚めてしまったから、なのですね。
そこで、ざっと今後の計画を説明し、「明日……ではなくて、今晩はご覚悟くださいませね?」 と宣言するリジーちゃんに、旦那さまはこうおっしゃったのです。
「まだ夜ですよ」
で、かくして。
予想外の、いきなりなタイトルマッチ開催となってしまった、というわけなのです。―――
それにしても。
「……んんんんっ……」
ただ眺められているだけで勝手に萌えてしまうカラダがより恥ずかしくて、ますますクネクネしてしまうリジーちゃん。
昔は 『シドになんて見られ慣れるから、悶えるとか無理』 などと思っていたはずなのに。
なんなのかしら、この落差。
もしや……これぞ!
結婚の効果、というものなのでしょうか……っ!?
そして。
「では、そろそろ」 と、どうやら次に移るつもりらしいシドに、 「ええっ、もう?」 と唇を尖らせてみせれば。
「いえ、眺めるだけも飽きましたので」
「あんっ!」
変なスイッチが入って冷たい言葉もキモチイイ気がしてきちゃうのです……っ!
そんな56%ほど変態が混じった抗議をものともせず、 "威嚇する猫" の姿勢のままのリジーちゃんのネグリジェの裾を、ぴろり、とめくって指をさしこみ、中身を確認するシド。
「をを」 嬉しそうな呟きが、漏れていますね!
「やはり、原点回帰は大切ですね」
そのまま顔をつっこんで、腰の下のほくろを、チュッチュッ、と唇で吸われます。
「やぁぁぁん……っ!」
キタっ! 気絶までのカウントダウン!
しかぁし!
今日のリジーちゃんは、ひと味もふた味も違うのです!
一方的にノックアウトされることなどあり得ません……っ!
ヤ ら れ た ら 、 ヤ り 返 す 。
この心意気ですからね!
……さて、こうして。
シドさんの唇と舌が、背中のくぼみに到達したところで。
「あ……もう……む……り……っ」
限界近く、なってきましたね。
そうです!
反撃に転じるタイミングは、ここをおいてはありません……っ! (たぶん)
えいやっとカラダをひねり、シドがよろめいたところをすかさず、体位を逆転させ、押さえ込みます。
ふっ……ヤる気さえ出れば、こんなものでしてよ……!
ニンマリと会心の笑みを浮かべつつ、舌先で唇の端など舐めてみせる、リジーちゃん。
「シドさん?」
呼ぶ声も悪女っぽさを心掛けちゃいますよ!
「はい、アルデローサ様」
観念したのか、存外、穏やかな表情の旦那さまの、漆黒のお目めをじっと見つめます。
さぁ、殺し文句、スタンバイOK!
息を整えつつ、秒読み開始5秒前。
4。3、2、1……
「愛してるわ」
黒いサラサラの髪の毛をかきあげて、額にキスをします。
それから、両方のまぶた、頬、鼻の先。
唇は、まずは軽く。
それから、歯磨き方式ですね……っ!
ウラもオモテも舌苔までをも、キレイに舐めとって差し上げる勢いで……!
確か以前にしたときには、顔を真っ赤にして嫌がられたと思うのですが、それを怖がってはいられません。
なんといっても、ロティーナちゃんに倣うのならば、これは立派な 『攻め』 なのですよ!
そしてシドは、といえば。
……をを。
以前とは違い、なぜかウットリとしたお顔を、されていますよ!?
これも、結婚の効果なのかも、しれませんね!
さて、お次は……首。
キレイに筋の出た、美味しそうなところを甘噛みしてみましょうっ!
ふふふ。ここもシドさんの匂いが濃くて、気持ちよく賞味できる場所ですね。
と。
「……あ……」 低い呻き声に胸をきゅんっ、と締め付けられつつも、痛かったかしら、と口を離します。
「ごめんなさい」
「いえ……もっと、お願いします」
心なしか、お顔がちょっと赤いのですねぇ!
なんだか、嬉しくなっちゃいますね。
ここはもう、遠慮なくカプカプかじらせていただきますとも!
以前にも、首フェチ取材で似たようなことをした時はありましたが……
総合格闘技の一環だと思えば、トクトクと脈打つ胸の鼓動が、より切なく大事なものに感じられるのです。
喉仏のあたりを唇ではさみ、れろれろと舌で固い突起を弄りつつ、上目遣いでシドさんの表情を確認しつつ、シャツのボタンを外していきます。
リジーちゃんがスケスケの衣装なのに、シドさんが着込んだまま、は不公平ですからね!
さて、じゃん、とばかりに開帳しませば、そこには。
適度に鍛えた実用的な筋肉の広がりと、その上にポチッとついた、2つの押しボタン。
(ひっぱっても良さそうですねぇ……)
さぁ、これからです。
ロティーナちゃんを見習って、頑張っちゃいますよ……っ!
まずは、とくっきりとした鎖骨のくぼみに指をつっこんでくすぐってみる、リジーちゃんなのでした。
………………
………………
………………。
やがて、夜が明け、鎧戸の隙間から朝の光が差し込む頃。
ぐったりと心地よい疲労感に包まれて、ベッドに横たわる、旦那さまことシドさんと、シドの奥さんこと私ことエリザベート・クローディス。
「朝になりましたね」
「いいえ、あれは月の光よ」
「ひばりも鳴いてますね」
「いいえ、あれは夜啼き鳥よ」
「んなわけありませんて」
なんて会話をイチャイチャと腕枕付きで交わしつつも……。
「もう少し、2人きりがイイわ」
そのつもりが無くてもほんのりと赤くなる顔を旦那さまの胸で隠しつつおねだりをすれば、シドさんの手が優しく髪を撫でてくださいます。
ふぉぉぉぉ……どうしよう……もう悪女に、戻れないかもしれません……っ……
そしてシドさんの薄い唇が、懐かしいあの言葉を刻んだのでした。
「そうですね。フケますか」
2020年になりましたね!
砂臥 環さまから記念FAをいただきましたので、次回の挿し絵として載せる予定です。
砂臥 環さま、インスピレーション湧く素敵なイラスト、本当にありがとうございます!
では。
お風邪にお気をつけて、良いお正月をお過ごしくださいませー!
今年も宜しくお願い致します!




