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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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130/201

130.とっても難しい潤滑剤の自動生成! 今夜も気絶しちゃいそうな変態悪女、でございます!

 何度も何度も、唇に軽く触れるだけの、唇。それと同時に、大きな手がウエストのくびれや背中をナデナデしてくれます。


「…………」 ああ気持ちいい。

 安らぎますねぇ。


 うっとりと半眼閉じて身を任せる私ことエリザベート・クローディス。

 飼い猫になったような気分、でございます。


 と、「…………」

 今度は髪の毛に顔を埋め、とっても優しく熱い鼻息をかけてくださる、旦那さまのシドさん。


 時はまだまだ5月(マイユス)は16日の夜、旦那さまのお膝の上で戯れ中……もとい。


 真面目な、潤滑剤自動生成の実験中でございます。


 なんと、シドさんによれば。

 潤滑剤自動生成の鍵は、お色気だというではありませんか!


「えっ……つまり、"ネーニア・(ユーベル先生の)リィラテイヌス(おはなし)" の本番前のウッフンアッハンは、読者サービスのための無駄な過程などではないということ?」


「いえ、半分はサービスしていると思いますが」 重々しく事実を教えてくださる、シドさん。


「むしろ本番へ向けての重要な過程かと」


 ええええ!?

 そこまで……っ!?


「知らなかったわ、ごめんなさい」 リジーちゃん、心を込めて謝りましたとも。


「これまで、シドさんったらよっぽど、ウッフンアッハンがお好きなんだと思っていたわ」


 毎晩よく飽きもせず、つつき回してくるなぁ、と思っていたのですが……


 あれは、潤滑剤を生成するためだったのですね!

 毎回その前に、リジーちゃん気絶しちゃいますけどね!



 と、まぁ、そんなわけで。

 現在のリジーちゃんとシドさんの課題は、こちらでございます。


 すなわち。

 いかにして、リジーちゃんが気絶する前に潤滑剤を豊富に自動生成し、本番に至れるか。


 これ、ですね!


「気絶してしまっては元も子もありませんからね」


 シドには気絶した奥さんを襲う趣味はないそうです……後で感想をきかせてくれるだけでも、"(仮題)カレィニン侯爵夫人のとろとろハネムーン" の参考になりそうなものにっ。


 けれどもまぁ、嫌なものを無理にリクエストはできませんね。

 仕方がない、のです……!


「……っ! ぁんんっ……!」


 背中をナデナデしていた指先が、背中の窪みを柔らかく撫ではじめて、ついついロティーナちゃん降臨状態スタート、になるリジーちゃん。


 ぎゅっと目を閉じてのけぞります。

 それでも、シドの指の動きに、声が甘い艶を帯びちゃうので……と、ここで。


 しきりとリジーちゃんをまさぐっていた手がピタ、と止まりました。


「背中はどうも、背骨の両脇ラインのようですね」


「……ええ、そうね」


 ふむ、とうなずき、ベッド脇に立て掛けたクリップボードに線を書き込むシド。

 覗き込めばそこには 『図解! ロティーナちゃん降臨箇所』 とでもいうべきリジーちゃんの絵姿。

 さらっと描いた割にはなかなか特徴を掴んでいて上手です。


「あら、腰の下にほくろなんてあったかしら」


 腰の下にあるほくろ、自分では気づきませんでしたねぇっ!


 そして、そのほくろの周囲には。

「ぁんっ、そこ……っ!」 といわんばかりに線がぐるん、と描きこまれています。


 ふっ、と笑うシド。

「ここの反応も、かわいいですよ」


 ここですここ、と正確にそこをツンツンツンツンしてくださいます。


「んっ……らみぇっ」 止めるとさらに嬉しそうに弱点をつつくシドさん。


「……はぁんっ……」 まぁ、シドが喜んでるんだったら……


 よ く あ り ま せ ん ね !


「まだ……っ」 ガクガクしそうになるのをガマンして、推定・腰の下のほくろのあたりをさすさすしている手を、押さえます。


 そう、まだ。

 課題は終わっていないのです!


 潤滑剤を豊潤に自動生成し、そして本番っ!


 これをしないことには、取材が、進まないのです……っ!

 そう、遊んでいる場合ではないのですよシドさん!


 真面目な探究が、まだ残っているのですから……っ!


 ところが。


「んんっ……舐めちゃ、いや……気絶……あ。しちゃうっ……」


 今度はシドさん、背中のくぼみをペロペロしちゃいだしましたよ?


 なんっか、腹立ちますねぇ!


「……や、らめ……んっ……」


 そうなのです。

 リジーちゃんいつも、あまりにロティーナちゃん降臨が続くと、めちゃくちゃイライラしてきちゃうのですよ!


 してるのは、大好きな旦那さまのシドさんなのに。


 イヤなはずが、ないのに。


「けっこう()ってますよ」 背中の窪みに埋めていた顔を上げて、冷静にシドが言います。


「もし、これで気絶しなかったら、ここから探究が進むでしょう」


 それはそうなんですけどね。


 正 直 、 も う 無 理 か も …… っ !



 とんでもなく黒い、ドロドロした何かが胸の奥に渦巻きます。


 ―――私に、さわらないで。―――


 リジーちゃんの中にいる、小さな女の子が、怒り狂って叫び出すのです。


(ちがうのよ。この人は、ちがうの。大事な人なの)


 一生懸命なだめても、なかなか聞いてくれません。


 ―――いや、いや、いや、いや!―――


 だんだん大きくなってくる、声。


 どうしてなんでしょうか。

 シドは、前世で私に触ってきたク◯兄貴とは全く違うのに。

 転生して、全く違う人生を送っているのに。

 時は、もう経っているのに。


 そんなこと、全部、分かりきっているのに。


 どうして、 "前世で小さな女の子だった時の私" が、いまもまだ、こんなにも怒っているのでしょうか?


 ―――私に触る人なんか、殺してやる!―――


「だめぇぇぇぇっ!」


 ひとこと叫んで、リジーちゃんの意識は闇に落ちたのでした。


 ……ああ、また。

 今宵も本番、ならず……っ(涙)


読んでくださいまして、ありがとうございます!


感想・ブクマ・評価等、まことに感謝です。


年末、色々とお忙しいことでしょうが、ご自愛くださいませねー!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >"(仮題)カレィニン侯爵夫人のとろとろハネムーン" こ……これは上級者すぎてついていけないかも (;'∀')ww [一言] ( ˘ω˘) 最後はとてもいい伏線だとおもいます(←突然…
[一言] おおう……。 リジーちゃんの心の闇は深いですね……。 前世のことを考慮すれば当然なのかもしれませんが……。 ここはシドが男を見せるしかない!!
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