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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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123/201

123.披露宴でのアレコレに、驚き戸惑う変態悪女! 失敗した感も山盛り、だけれど負けません!?

 かくして時は5月(マイユス)は11日の昼下がり。


「では、我らが美しい花嫁、それに花婿にご入場いただきましょう!」


 王宮ホールに響いている、砂糖とクリームてんこ盛りのロイヤルボイスに、扉の手前で思いっきり引く私ことエリザベート・クローディス。


「どうして司会がラズール様なのかしら」


「王女殿下と相談して決められたそうですよ」 リジーちゃんのだんなさまことシドさんも、少し複雑な表情です。

「ラズール様はお1人での参加ですし、艦上で鍛えておられて声も大きいから適任ですし。お嬢様へのサプライズにもなるからと」


「王族って……どうしてこんなにぶっとんだ方々ばかりなの……っ」


 ラズール青年、言わずと知れた王族・公爵家のご令息。

 そんなお偉い方が司会だなんて……会場に集まる皆様に何か思いっきり誤解されそう!


 リジーちゃんはいいけど。

 もし 「クローディス家は王家と特に親しい」 みたいな噂が広まれば、父やシドが対応に困らないかしら……などと、珍しく心配してみたというのに。


「類友でしょう」 ケロリと言い切るシドさんです。

「それに、特に損になることもありませんからね。堂々としておられたら良いですよ」


「……そうね」

 なんか置いてきぼりにされた感が……っ!

 やっぱり 「結婚式なんて興味ないわ」 と放置していたのは……失敗、でしたね。今更ですけど。


 ホール内には相変わらず、余裕綽々の甘々ロイヤルボイスが響いております。

「……おや。お2人は恥ずかしがっておられるようだ。では皆様で呼んで……」 


 いやぁぁぁぁっ!

 コールの中での入場なんて、恥ずかしすぎるっっ!


「シド、行きましょう!」

 慌ててシドの腕をとる、リジーちゃんなのでした。



 さて、こうして足を踏み入れたホール内は。


 並ぶ白いテーブルクロスの真ん中に、緑と白を基調にした薔薇の飾り。

 時々アクセントに入れられているエニシダの黄色やローズマリーの薄い青も可愛らしいのです。


 同じ花が、バルコニーや階段の手摺を彩っています。

 爽やかでおしゃれ、さすが王女殿下(リーゼロッテ様)コーディネート!


 ……と、そちらにばかり意識を集中したくなるほど、中央の席を占めるのは、ほぼ。

 知 ら な い 人 ば か り 。

 つまり、もしかしたら工場経営の勉強で名前は覚えたかもしれないけれど。

 顔 は 見 た こ と な い 人 ば か り。


 リジーちゃんの親戚やお友達は、割かし隅の方に固められています。

(ちなみにリーゼロッテ様はじめロイヤルファミリーの方々も、自ら 『今日はただの友人ですから』 と端っこの席をとられました。)


 ……まぁ、ね。この宴での主な目的は、工場の跡取り(シドさん)のお披露目、ですからね。

 仕方がないんですけどね! ……ぐすん。


 入場して最初のお仕事は、来賓への挨拶周り。

 雪の結晶の形の砂糖菓子をたくさん入れたバスケットを持ってテーブルを回り、ひとりひとりに手渡す、ルーナ王国ならではの風習です。


 バスケットを持つのはシドさん、手渡すのがリジーちゃん。

「こちらが契約農家の……」 と、テーブルを巡る間にシドが小声で教えてくれるのが助かります。


「シドさん皆様のお顔、ご存知なの?」


「席次で覚えましたから。顔は、商売に同席したことのある方しかわかりませんよ」


 ……帰りたい。

 なんとなく、そう思いつつ、久方ぶりの笑顔仮面を顔に貼りつけます。


 そう。

 シドのためにも父のためにも、ここは頑張りどころ!

 前世で笑顔仮面をばっちり習得しといて良かった、のです!

 長い間無駄だと思ってきたけれど、それも今日この時のためだったのかもしれませんね!


 けれども、テーブルを回っていくうちに。


「おめでとう!」 「きれいな花嫁さんから幸運を分けていただけて、嬉しいですよ」

 半分以上タテマエかもしれないけれど、ほとんど顔も知らない花嫁をイイ笑顔で祝って下さる方々……


 なんだか、有難いですねぇっ!

 本当に、嬉しくなって、きちゃいますねぇっ!


「ありがとうございます!」

 いつの間にか、仮面じゃない笑顔になっちゃってます。


 そして、どうしてだか、戻せないぃぃぃっ!

 どうしよう。

 仮面笑顔には自信があるけど、地の笑顔にはそんなに自信、無いんですよねぇ……


 歯見せすぎじゃないかとか、目細めすぎじゃないかとか、色々心配。


 と、シドさんがまた、耳元に口を寄せてきました。

「今のお顔がいちばん、可愛いですよ」


「それは、見慣れているからでしょう!?」


 小声でツッコミ入れながらも何だかほっとしつつ、次はやっと、工場の従業員皆様のお席。

 ここは有志の方々ばかりなので、少し安心です。

 "休憩室deリジーちゃんCafe" 常連のキエルちゃんも来てくれていますね!


「ありがとう。幸運をどうぞ!」

 心を込めて雪の結晶のお菓子を差し出せば、キエルちゃんも嬉しそうです。

 良かった!

 前に何か隠れてコソコソやっている所に遭遇して、少し気になってたんですが……たぶん思い過ごしですね!


 こんな素直な表情を見せてくれる子が、悪いことをするだなんて、きっとそんな確率低いはず!


 そう思えることが嬉しくて、ますますニコニコしちゃうリジーちゃんに。


「私たちからも、お嬢様にプレゼントがあるんですよ!」

 キエルちゃんは両手で、艶やかなリボンをかけた箱を差し出してくれたのでした。


読んでいただきありがとうございます!

感想・ブクマ・ポイント評価誠に感謝です。


では、お風邪などにお気をつけて~m(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いつの間にCafe経営 (;'∀')ww [一言] > 知 ら な い 人 ば か り 。 これは御両家が良家であると発生しますよね (;'∀') 私の周りは輩連中しかいないんで、…
[一言] 確かに結婚式の挨拶回りは大変ですよねw 知らない人も多いですしw 花嫁は特に緊張しますしね! リジーちゃんお疲れ様ッ!
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