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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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118/201

118. ついに来ました結婚式当日! お支度中も、変態悪女の心は波瀾含み!? なのです!

 皆様、ごきげんよう。

 本日をもちまして私ことエリザベート、苦労血吸(クローディス)家のお嬢から若奥へと相成りますので、よろしくお見知りおきなすって!

 と、前世は日本のヤー様っぽいご挨拶をしたいほど、浮かれ気味のリジーちゃん。


 なんとなんと、本日は。

 5月(マイユス)は11日、リジーちゃんの誕生日!

 ……よりも大事な。


 シドさんとの結婚式の日なのです!


 ふぉぉぉぉ……っ!

 ついに! ついに!

 やってきました、ねぇぇぇっ!


 我が家代々のヴィンテージ・ウェディングドレスを着せてもらいつつも感動が止まりませんっ……!


「お似合いですわ、リジー様」

 ナターシャもニコニコしながら、目頭をそっと押さえています。


 思えば、ナターシャには、生まれた時から成長を見守ってもらって……赤ちゃんの時はパイをチュッチュと(むさぼ)らせてもらったりして……


 ど、ど、どうしよう!


 リジーちゃんの脳内にも、ナターシャと過ごした日々がっ……走馬灯のように……っ!


 うぅぅっ……!


「まぁリジー様。泣くとお化粧がとれてしまいますわ」 ナターシャが笑います。

「それに、おめでたい日に泣くなんて」


「あら。でもきっと、お父様とか号泣してらっしゃるわよ」


「今日だけで、ハンカチ何枚使われるでしょうかね」


「……3枚?」


「いえー? 5枚はイクと思いますわ」


 咲いたばかりの白バラを髪にあしらってもらいます。


「ヴェールは神殿についてから被ります。お花は途中、しおれる前に替えましょうね。お色直しでリラも用意しますよ」


「嬉しい!」 そうそう。家の前のリラの並木も、よく考えたら、ずっとリジーちゃんの成長を見守ってくれていたようなもの。

 なんか、感慨深いですねぇ!


 いろんなものに見守られて、リジーちゃんはここまで立派に大きくなりました!


「ナターシャ、ありがとう」


 万感の思いを込めて口にすると、ぽつっと頭頂部付近に何かがあたりました。


「すみません、リジーさま!」 ナターシャが鼻をすすって、慌てて謝ります。

 見れば、お目めがウルウルのキラキラ。


「すぐにお拭きしますね」


「いいわ。このままで。ナターシャの涙、そんな名の宝石がありそう」


 そうですよね!

 目に見えるものだけが身を美しく飾るわけではないですよね。

 父の号泣も母の微笑みもナターシャの涙も。

 シドさんとのキスも。


 うーん。やっぱ人間、勝負は脱いだ後ですね! 間違いありませんっ。


「さ、できましたわ」 ナターシャがまだ涙の残るお目めでニッコリしました。

「今日は産毛もちゃんと剃りましたし、今まででいちばん、おきれいですよ」


「産毛は、残しておいても良かったんだけど……っ」


「なにおっしゃってるんですか」 クスクス笑うナターシャ。

「大丈夫ですよ、シドさんも、今のリジー様を見て 『産毛なんか剃っちゃってバカですか』 とは言いませんよ」


 さすがナターシャ、よく分かっていますね!


「ささ、お父様が居間でお待ちですよ。お嬢様がおきれいで、涙も止まるくらい、びっくりされるでしょうよ」


 少し歩きづらい裾の長いドレス。

 ナターシャに手をひかれて、ゆっくり歩きます。


 母とシドは先に "結婚と貞操の女神(ユーノー)" の神殿で待っているはず。


 ちなみに、殿方が先に行くのは、彼らの罪が重いため。

 花嫁が着く前に洗いざらい懺悔して浄める、という主旨なのです。

 ……我が家だと、リジーちゃんが先に行った方が良さそうですけどね!


「えへへへ」 思わず声に出してのデレ笑い。


「どうされたんですか」


「んー。シドさんって、イイだんな様だなぁ、って思って」


「本当に、ねぇ」 ナターシャもニコニコです。

「何しろ家に来られた時からずっと、リジー様ひとすじですものね!」


 え。


 ……………………ええ!?


 ナターシャったら、今ナニびっくりすること言ったのでしょうかっ!?


「どうされたんですか、リジー様?」


「んんんん! なんでもないの!」


 うん、これなんか、聞き返せないパターン。

 聞き返したら、びっくりされて、逆に聞き返されるパターン。


『知らなかったんですか!?』 とか言って。


 知りませんでしたけどね!

 そんな……家に来た時から、だなんて…… ええと。今日でリジーちゃん、17歳だから。


 1 2 年 超 し …… !?


 で、リジーちゃんがちゃんと自覚したのが。


 3 ヵ 月 前 …… !


 のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!


 シ ド さ ん 悲 惨 !


「ナターシャ」 決意を込めて呼び掛けます。

「わたくしも、早めに神殿に行って懺悔するわ」


「リジー様が?」


「ええ。シドさんだけじゃなくて、わたくしもした方が良いと思うの。結婚するのだし」


 うん、なんかこの、『結婚するから何だって一緒』 という何の根拠もないのに説得力ある感じ!

 ちょうどイイですよねぇ!


 ナターシャも感動してくれたようです。


「では、お父様に少し急いでいただくようにリジー様からお願いなさっては?」


「お父様? ゲルハルトさんは?」


 ゲルハルトさんはウチの馬丁さんですね!


「奥様とシドさんを乗せて行かれましたから、リジー様の御者は今日はお父様ですよ」


 おおう。

 それは……急いでもらうより、慎重に行ってもらった方が良いパターン。

 馬車を御するのが趣味とはいってもやはり、素人ですからね!


「……やっぱり、普通でイイわ」


「そうなされませ! リジー様には懺悔することなんて、ございませんでしょう?」


 そうとも限りませんけどね?


 胸の中でつぶやきつつ、居間に入ります。


 と、今まさに3枚目のハンカチ使用中の父が振り返り、ベタベタになった泣き顔のまま、最高の笑顔を見せてくれたのでした。


「リジー、おめでとう! お父様が真っ先に、言ったよ! おめでとう!」

読んでいただきありがとうございます(^_^)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ご結婚おめでとうございます! ☆彡★彡☆彡 [一言] >殿方が先に行くのは、彼らの罪が重いため。 うははwww お父さん大好きです!! 超いい人 (`・ω・´)b ☆彡
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