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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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110/201

110.海のごとく深く広いあしフェチの世界!どこから開発するか悩む、変態悪女でございます!?

「あし、ならそもそも」エレガントに組んだ手の上に顎を載せ、わざわざ上目遣いでこちらを見詰めるオッド・アイ。

「アムフォイトマン先生の著書にこれでもか、というほど出てるだろう?」


「それはそうなんですけれど……」


 所構わず色気を振り撒く公爵家のお坊っちゃま、ラズール青年の言葉にしょんぼりとうなだれる私ことエリザベート・クローディス。


 4月(アプリリス)は19日、客間から自室に移動して、お茶をしつつの『あしフェチ』講義を受講中、でございます。


 オレンジピール入りの紅茶の香りと、それに混じる爽やかなラベンダーとミントが基調のルームフレグランスをやや深めに呼吸しつつ、『あしフェチ』執筆にあたっての困りポイント第1を説明。


「範囲が広すぎて、どう処理したら良いものか……」


 そう!我らがフェチの巨匠、タルカプス・アムフォイトマン先生は特に『あし』にこだわりが強いお方なのです。

 その作品を読めば、出るわ出るわ……


 おしりの付け根から、足の指先まで、ねぶるように視姦し実際にベロベロと舐め回し、最後には踏みつけられて昇天する(あるいは昇天を切望する)描写の数々っ!


 もともと苦手な文体の上に、加速に加速を重ねる変態描写でゾワゾワしまくり、読んでいるリジーちゃんの方が昇天しかけでしたとも、ええ。


 なんだか、アナスタシア様書き始めてから毎回言っている気がしますが。


「とても書ける気がしな」


「大丈夫ですよお嬢様」吐きかけた弱音に、被せるように隣に座ったシドが慰めてくれます。

「俺も手伝いますし」


「ええ……そうね……」

 そこがまた問題、だなんてとても言えませんっ!


 あし、やばい。


 シドさんと『あし』でタルカプス・アムフォイトマン劇場なんて繰り広げたら…………んむふうぅぅぅっ!


 想像するだけで即死寸前、なリジーちゃんです。


「そんなこと言ってたら、どの部位もけっこう広範囲だろう?」

 半身を起こしたラズール青年が、長い脚をこれ見よがしな優雅さで組み換えつつ首をかしげます。


「いえ!」それは違いますよラズール様!

 頭をぶんぶんと激しく横に振って、全否定して差し上げますとも!

「ほかの部位も確かにそれぞれに美しく奥深いですけれど、『あし』の広大領域に比べればっ……」


「まぁ、わかるけどね」ノーブルスマイルで共感して下さるラズール青年。

 一見爽やかですが、リジーちゃんにはわかるのです!

 その裏に隠されている、嬉しそうな舌なめずりが……

「で?どこを中心にしたいんだい?言ってごらん?」


「まだ検討中ですの」嘘ですけどね。


 リジーちゃんだって、ちゃんと学習するのですよ!


 やすやすとこのお方に一番の萌えポイントを明かしたりしませんとも!


「それで、どの部位がどう萌えるかを教えていただきたくて」


「ふーん」不安を誘うタイガーアイとラピスラズリの瞳が、再びこちらを捉えます。

「事情は分かったけれど、それは教えられないな」


「……どうしてですの?」


「あまり僕の色に染まってしまったら、カレィニン夫人読む楽しみがなくなるからね」


 なにその言い方。

 ちょっとムッとしちゃいますね、もうっ!


「別に、全て真似るわけではございませんのよ。あくまで参考程度ですわ」


「だーめ」

 ついっと指を伸ばし、いかにも親しげにちょいっと頬などつついて下さっていますが。


 つまりは、断るんですね。

 ふんだ。


 でも、負けませんっ!

 軍服の第二ボタンあたりをじっとりと睨みつつ暗ぁい表情など作ってみましょうっ。


 硬い蕾を付け始めたリラの並木から差すこもれびがちらちらと苔色のカーペットを彩る明るいお部屋。

 その一角を、どんよりと淀んだ空気で染め上げて差し上げるのですよっ…………


 ……………………。

 ……………………。

 ……


「そうだね」ラズール青年が口を開きました。


 落ちるの、早っ。


「君のことだから、余すことなく全部を描きたい、ってところだろう」


「まぁ、よくご存じで」「コホッコホッ……失礼、咳が」

 感心しかけるのを遮り、なんとなくわざとらしい咳をして謝るシドさんに「かまわないよ」と言いつつ、またエレガントに脚を組み替えるラズール青年。


「では、1つヒントだ」


「お願いします」


「『あし』用のアクセサリーは、主に2つ」


「2つ?」ん?なんだったっけ?

「1つはアンクレットでしょう?」


 そう、次のアナスタシア様ではアンクレット擬人化青年を出す予定。

 なんと!拙作、"若き未亡人アナスタシアの優雅なるお遊戯"で初の!

 青年!

 若干M気が入って、大好きなご主人の足をペロペロ舐めちゃったりするようなお方が出演予定なのです。

 ぁぁぁぅう……ぞわぞわ。


 やっぱり、あし、やばい。


 想像するだけで足先から背中へと這い上がってくる何かに身悶えしそうになるのに、密かに耐えるリジーちゃん。


「そう」ラズール青年が、テーブルに頬杖をつき、見透かすような眼差しをしつつうなずきます。

「あと、もう1つは……?」


「……?なにかありました?」


 コテン、と首をかしげて考えます……思いつき、ませんねぇ?


 そんなリジーちゃんを見て、フッと笑うラズール青年。


「じゃあまずは、アンクレットで『足』だけ頑張ろうか?後は、また次までの宿題だね」


「それでは結婚式過ぎてしまいますわ」


「……?なにか問題が?」

 不思議そうな顔に、ぐっ、とつまるリジーちゃん。


 ええ、ありますよ!

 問題、ありありですよ!


 だって、だってっ……!

 結婚式の後は、『あし』どころじゃないんだもの!

 人生初の大仕事が!未知の領域への取材が!

 待ち受けて、いるのですから……っ


 …………でも、申し上げられませんね、そんなこと。

 悪女だったらサラッと「あらー結婚後しばらくは、総合格闘技の取材が忙しうございますの!」などと言いたいものですが。


 なんかそれ、恥ずかしすぎる。

 言わなきゃ悪女じゃないなら、もう普通の人で、良い。

(善女だけは、イヤですけどね!)


 で、結局は。

「いえー全くもって余裕ですわ、おほほほほー!」


 笑って誤魔化すリジーちゃん、なのでした。

読んでいただきありがとうございます。


ブクマ・評価下さっている方のおかげで、個人的に大変嬉しい状況になっていますが……もう少し様子見てから発表しようと思います。フェチ回入ると大体、減るから(笑)


でもともかくも、これまで応援してくださっている皆様に大変感謝です!( ノ_ _)ノペコペコ


では、季節の変わり目(もう10月なのに変わり目感が抜けませんね)ご自愛くださいませー

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― 新着の感想 ―
[一言] >アンクレット 知りませんでした (;'∀') 確かにこれ擬人化だとおもしろそうですね! ☆彡 >総合格闘技 言葉が滅茶痛そう (´;ω;`)ウッ…ww
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