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伯爵令嬢に転生して極悪最凶の変態を目指しましたが、結局は普通のお色気作家になりました。  作者: 砂礫零


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108/201

108.病み上がり婚約者のお世話に悶える変態悪女!長期保存用の砂糖漬けを目指したい、のでございます!?

 かくしてシドが倒れてから一昼夜明けた4月(アプリリス)は17日。


 私ことエリザベート・クローディス、今日もせっせと看病に励んでおります。……が。


「おかゆ口移しは要りませんから」


 熱が下がった途端、ブリザードのちらつく目付きをするシドさん。

 なんだっていうんでしょうね、いきなり!

 でも負けませんっ


「あら! このマズいお粥を普通に食べられるわけないでしょう?」


 マズい、というのはですね。

 別に料理長のカールさんの腕のせいではないのです。

 単に、薄甘い味付けのミルクでグジャグジャと煮込まれたオートミールが……リジーちゃん苦手なだけ。

 いくら貴重なミックススパイスで香りを工夫して下さっていても無理、なのですよ!


「さっお覚悟を……!」


 好みに合わないお粥を口に含むのもシドさんのため!

 と、ノリノリで薄く形の良いお口に接近……したところで、ていっ、とオデコを叩かれてしまいました。


 何なさるのかしら。

 思わず呑み込んじゃったじゃないですか、キライなのにっ!


 涙目でにらんじゃいますからね、もうっ。


「ひとりで食べられますから」


「ダメよ! そんなことして、病気がひどくなったらどうするの!」


 こんな時こそ!

 手取り脚とり腰とり看病して差し上げなければっ……ですよね?


 ところが、シドさんときたら。

 漆黒の瞳により色濃くブリザードを刷くのですっ!

 一体どうして。


「誰のせいで俺が、寝不足になったと思っておられるんですか」


「……?」


 えー? 誰かのせいなの?

 コテン、と首をかしげるリジーちゃんです。


 いや、そんなこと聞かれてもわかりませんよねっ……しかし文脈的には、この流れは。


「まっ、まさか……わたくしのせいとでもおっしゃりたいのかしら?」


「まさかでなく、正真正銘あなたのせいですからアルデローサ様」


「………………?」


 わけがわかりませんねぇっ!

 シドさんを睡眠不足になんて、そんなっ……そんな嬉しいこと、した覚えありませんからね! (ぽっ)


 自分の頬に手をあてて温度など確かめつつ、とりあえずの可能性をさぐります。


「もしかして、わたくし夢遊病で毎晩シドさんを襲いに行っていたのかしら?」


「そんなだったらもっと問題になってるでしょう。バカですか」


「そうよね」 すとん、と納得するリジーちゃん。


「そんなに待ちきれないのなら、もっと早くから、夢遊病になっていてもおかしくないものね」


 ついでに手に持ったスプーンをすかさずシドさんの口に放り込みます。


 せっかく看病しているのですから!


 しかも、お熱も下がって一安心、なのですから!


『食べさせてア・ゲ・ル♡』 的なシチュエーションは外せませんよね♪


 さぁシドさん!


 前世の水族館にいた、どでかいアフリカリクガメのように、次々とエサをおねだりしてくださいませ!


 噛みつきもOKでございますわよ♡


 とワクワクとして、次をスタンバイ。

 お口の中のお粥を飲み込んだタイミングで、スプーンでツンツンと柔らかそうな唇をつついて差し上げます。


 と、なんと!

 シドさんたら、大人しく、ぱっくんとスプーンをくわえて下さるではありませんかっ!


 はぅぅぅぅぅぅっ!


 思わず片手で胸を押さえちゃいますよっ!

 なんなのかしら、この甘めチョコ痛みっ!


 こんな、こんなっ……カケラもエロくないただの看病シチュで!

 世界がキラキラと輝いてしまう、だなんて……っ!


「シドさん、もっと♡ お願い♡」


 思わずおねだりだってしちゃいますよっ!


『しゃーねーなー』 的なタメイキと共に、可愛い仏頂面でうなずくシドさん。


 よし、ご了解もいただいたところで!

 張り切って、参りましょう。


 デレデレと笑み崩れる顔面を自覚しつつも、スプーンでお粥をすくい、口許に持っていきます。


「はい♡ シドさん♡ あーん♡」


 ぱくんっ


 はぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!


 不機嫌ヅラながらも素直にお口をあけてモグモグする婚約者様!

 かわいいっ! かわいいのですっ!


「はい♡ あーん♡」


 ぱくんっ


 はぁうううぅぅぅぅぅぅぅっ!


 あああああ……胸をキュインキュインと責める甘み増し増しのチョコ痛みに、イイ感じで身悶えしちゃいますねぇっ!


「あん♡ もっとっ♡ あーん♡」


 ぱくんっ


 ううううううううぅぅっ!


 シドさんかわいい! 大好き! ブスッとした不本意なお顔ごと抱き締めたい!


 ……でも、それすると、お粥がっ……こぼれてしまうのですっ……


 ああああ……なんというニクい、ジラしプレイ……


 た ま り ま せ ん ね っ !


 シドがお粥を飲み込むのをなんとか待ち、ガタンと器を離れたテーブルに移動させるリジーちゃん。


「なにをなさるおつもりですか」


 引きまくってるお顔も、また素敵なのです!


「………………」


 黙ったまま (推定) 肉食獣の笑みを浮かべて、ぽんっ、とベッドに飛び乗ります。


 半身起こしたシドの顔のわきで、両膝をつけば……おおおお!?

 なんとなんと!


『ちょうどお胸に掻き抱ける』 位置になるではありませんか!


 これはもう、シドさん!

 逃げることなど、許しませんよっ!?


 男性といえど病み上がりのお方に負けるリジーちゃんでは、ないのです!


 いざっ!


 素早くシドの頭に両腕を回してぎゅうっと締め付けます。

 そのまま、キューティクル黒髪をわしわしわしと掴んでメチャクチャにして、しまいましょうっ。


(一応拭いてはいたけれど) 3日間洗っていないと、なんだかシドさんの匂いもいつもより濃くて、気持ち良いのです……


 ふわぁぁぁぁ……幸せ、ですねぇ♡


 きゅっと回した両腕の中、お胸の上でシドさんが微妙に暴れつつ 「また眠れなくなるからヤメテ」 みたいなことをモゴモゴとおっしゃってる気もしますが。


「大丈夫」


(推定) とっても優しい笑みを浮かべ、更にぎゅうぎゅうと締めて差し上げます。

 イイ具合にお胸にほっぺが当たっているので、息は苦しくなさそうですね!


 苦しくないはずなのに、ナニそんなに嫌がっているのかしら。

 脳裏をチラッと懸念が横切ります。


 ……でも、この際です!

 堂々と無視ししちゃいましょうっ。


 嫌がられているかも、と思うと心が冷たく小さく縮んで、何もできなくなった……そんな前世とは、ひと味もふた味も違うリジーちゃん、なのですから!


「シドさんが眠れなくなったら、いつでも眠れるようになるまで、看病して差し上げるわ」


 にっこりと、心を込めて囁いてみます。甘みの上にも甘みを目指しているのです!


 こうして、ひとしきり、ぎゅうぎゅうした後。

 脚を崩し、楽な姿勢でもう一度お胸の上にシドさんの頭を確保するリジーちゃん。


「とりあえず、今は、眠くなるまでこうしておいてあげますからね」


 髪を手で優しく()きながら話しかけると、観念したのか、こっくりとうなずき目を閉じる、シドさんなのでした。

読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] >漆黒の瞳により色濃くブリザードを刷くのですっ! Σ( ̄□ ̄|||) さらりと見たことない難しい表現がww 調べて納得しました。 昔、介護の匙入れは舌下にと習いましたが実際には全然しなか…
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