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英知結晶  作者: 昊
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アストラクリスタル

 人生ってなんでこんなに生きてるだけで大変なんだろうと思う。もっと簡単に生きれる方法があったらいいのに、誰もが簡単に理解できるルールがあれば良いのに。そうすればもっと楽に生きていけるのに。楽に生きていけるのに。

 そう思わざるを得ないほど僕は混乱していた。何もかもが規定容量に達していない。全てが不足している。お金、愛、女、健康、幸せ、運、食べ物。何もかもがない。そういったまるで生きるためには必ずしも必要はないのに、生きる目的となっているようなもの全てが今の僕には足りていないと感じた。

 人が生きるためには何が必要だろうか。こんなことまともな人は考えもしないだろう。

 まず女か男かで違ってくる。女だった場合には男が、男だった場合には女が必要だ。人は生まれた時点で既に欠けている。次に愛。誰しもが人生で必要なものは愛だと、生きる意味は愛だと、したり顔で言っている。だからそれを信じて自分なりの愛を見つけようとして、愛って何なんだろうって気づく。定義が人によって違いすぎていて何が愛なのか分からないということになる。次に健康。若い頃はまだ気づかない。風邪なんか引いても薬を飲めば直ると思っている。でも20歳をこえたころからやがて思うようになる。もし親も死んでしまって一人だけしかいない孤独な部屋で風邪を引いてしまったら? 仕事は休まなくちゃいけない。医者には熱がひどくていけそうにない。頼れる人は誰もいない。そしたら僕はどうすればいいのだろう。待っているのは死だけだ。幸せ。僕の親は人は幸せになるために生まれてきたのだと言っていた。僕は今でもそれが正解なのかはわからない。今でも答えを探してる。小さい頃、僕は幸せというものを知らなかった。なぜなら自分自身が既に幸せを持っていたからだ。だからそれが僕から離れて行ってしまったとき、何が幸せなのか、何が幸せだったのかを知った気がした。それを追い求めて、今でも微かにその残り香を思い出す。

 幸せというのも非常に定義が難しいものだ。まるで僕なんかには一生かかっても見つけられそうにないけど。でも、今でも探しているのかも知れない。幸せを持っていたころは、僕は何も持っていなかった。でもやがていろんなもの、例えば自由や、恋や、強さを得ていくうちに、代償として僕は幸せを失った。まるで逆なのだ。幸せとは持っていることではなく持っていないこと。幸せとは持っていることであり、持っていないことなのだ。その矛盾を解決していたのが愛である。もはや論理性の欠片も無いことにその愛とやらがそれを解決していた。

 楽になる方法を探している。こんな腐った世界に居るくらいなら全部すっ飛ばしてしまえば良い。


 愛してるよ。

 なんて、言われたことないから。

 何て返したら良いのか、

 僕には分からなかった。

 書きたいことなんて何も無い。ただ何となく、書いてみたいと思っただけだ。僕にも何か出来ることがあるんじゃないかって、ずっと探し続けてた。いろんなことを今までやってきた。でも全ては失敗に終わった。例えば、音楽。自分で言うのも何だけど本当に自虐でも何でも無くて僕には才能は無いんだと痛感した。例えば、本。物語を紡ぐ力なんて僕には無い。ただつまらない愚痴を延々と垂れ流すだけでそこには小学生でも書けるような文法しか使っていない文章しか無かった。例えば、写真。他の人は一体全体何を見ているのだろう、と変なことを思うぐらいには僕は写真という物には無関心だった。そのせいもあってか今でも絵とか写真を見ても何も思えない。良い写真だと言われるものを見ても、正直ただの景色にしか見えない。

 僕には本当に何も無い。

 

 誰も興味がないとは思うのだけれど、少しだけ自己紹介してもいいだろうか。

 僕は高校一年になったばかりの15歳の男。彼女はいたことない。以上。

 全然どこにでもいる普通の高校生だと思う。

 今日は雪が降っていた。

 気にする人もいるし、気にしない人もいたと思う。

 僕は前者だった。でも、いつから僕は雪でわくわくしなくなったのかなと思う。

 昨日からずっとニュースではそのことで持ちきりだった。

 明日は雪。首都圏にお住まいの方は気をつけて。電車など交通機関の乱れ。寒波が来ている。

 朝起きたときに思った。今日ぐらいはカーテンを開けてみようかな、なんて。

 子どもの頃は雪が降ってたらすぐに跳ね起きたものだ。いつもならいやいや起きるのに、僕の両親は僕が雪が大好きだということを知っていて、雪が降った日には耳元で「見て。雪が積もってるよ」と言うだけで僕は跳ね起きてそのまますぐに窓へ向かって、白銀の反射光を網膜に写した。さらには「なんで雪が積もってるのにもっと早く起こしてくれないの」なんてダメだしまでして、急いで着替えて外へ飛び出していく。

 そんな話はもう過去の話だ。今では起きてもカーテンを開けさえせずに暗闇の中で着替えて、ご飯も食べずに家を出ることの方が多かった。ドアを開けたときにうつむいている顔に当たる雪の空気で初めて雪が降っているんだって分かる。

 誰かにバカにされていないか、なんて。誰も見てもいないのに気にして、極力感情を殺して生きていた。雪が降って嬉しくて、どうしようもないのに、僕は冷めた目でそれを見て、何となく興味が無いようなフリしてごまかして。

 それが今の僕なんだと、分かった。

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