テスト勉強と花火デザイン
親友との学校描画を省略しました。
現在の翔は中学二年で、季節は夏で夏休み直前だった。
だがその前には、期末テストと言う名の試練が待っている。
そんなある日の放課後。
翔の家で友人達とテスト勉強をする事になった。
「「「お邪魔します~」」」
「あら、いらっしゃい」
翔の母親の影子が翔の三人の友人を迎え入れる。
翔の家は両親と翔の三人暮らしだ。それに比べて家は大きく、5LDKの広さを誇る。また、風呂は二ヶ所、トイレも三ヶ所設置されている。
これは、その内二部屋が花火の作成や保管に使われ、それに合わせて風呂とトイレも作られたためである。
外見は洋風の二階建て、白を基調としやや大きめの庭が付いている。また、内部はフローリングと白を基調とした壁で構成されていた。
「翔っち、来たよ~」
「あれ、もう来たの?」
翔の部屋に入った三人を迎えた彼は、机に座って花火のデザインを描いていた。
部屋にはベットと机、タンスなどの家具以外に、花火の写真と花火玉が飾ってある。机の上にはノートPCや、デザイン用紙などの花火のデザインをするための道具が置かれていた。机の横にある本棚には、漫画や小説なども置いてあるが、殆どは花火の写真集や技術書などで埋め尽くされいた。
「相変わらず偏った部屋だよなぁ……」
「翔っちだもん、しょうがないよ」
「まあ、確かにな」
「何か、文句あるの?」
「いや、別に……」
真っ先に感想を言ったのは、藤堂航だ。
サッカー部のエースで、甘いマスクをした男女問わずの人気者である。
髪は短めの無造作ヘアーで、ファッション雑誌に写真を混ぜても素人とは気付かないのではないだろうか?
性格は社交的で、誰とでも仲良くなれる人物だ。また、一方で大雑把で面倒くさがり屋なため、数多くの友人と付き合う訳では無く翔達だけとつるんでいたりする。
それに応えたのが神谷燈、元々背が低い翔よりも更に小さな女の子だ。
成長期が来てないだけなのかそれとも永久に来ないのかは不明だが、身長が百三十も無くクラスのマスコットと化している人物だ。
人の名前に対しては”~っち”を付けるタイプで、天然ボケを凝り固めた様な人物でもある。
髪は明るめの黒のセミロングでツーサイドアップに纏めてある。その髪を縛るリボンは少し大きめな事も相まって、更に幼さを際立たせていた。
「それより翔君、今日はどんな花火をデザインしているの?」
「良く聞いてくれました! 今回はファンタジー系の花火をデザイン中なんだよ!」
そして、三人の言い合いに参加してなかった最後の一人が中原紗耶香だ。
身長が女子にしてはかなり高く、凛とした雰囲気を持つ人物だ。
背中まである癖のない黒髪が特徴的で、目はややつり目だが、優しさも感じられる。
性格は真面目で、テスト週刊に突入すると彼女の周りは、クラスメイトで埋め尽くされるであろう哀れな人物であった。
また彼等の中で一番の優踏生な事もあって、彼等のストッパーになる事が多い。
「翔っち、ファンタジー系って?」
「メジャー所を作りたかったから、今挑戦してるのはドラゴンだね」
「「「ドラゴン!?」」」
「そう! 西欧型のドラゴンで、空中で羽ばたいている姿にする予定なんだ!」
「でも、ドラゴンって凄い難しそうに思えるんだけど?」
「そうなんだよ!! ドラゴンって凹凸がかなり多いから、星の数がかなり必要になるんだよね。しかも、星の位置がずれたり打ち上がった時の向きで、すぐ見た目が変になっちゃうんだよ……」
「だったら、無理じゃね?」
「うん、かなり煮詰まっているんだ。代わりにデフォルメしたユニコーンや、スライムなんかは簡単だから先に作ってみたけど」
翔はテンションを、アップダウンさせながら嬉しそうに説明をした。
(ユニコーンは兎も角、スライムって桃やハートと対して変わらなくね?)
航はそう思ったが、面倒くさそうだったので返答は控えた。まあ、返答を控えた意味は無かったが。
「ねぇ、翔っち。スライムって桃やハートとの違いって何?」
(あぁあ、聞いちまったよ……)
「えっ?」
「スライムってソフトクリームの上部に楕円くっ付けたような形だよね?」
「あ、ああ……」
「それって、桃の形やハートを逆にした形と見分けがつくの?」
「…………」
「もしかして、翔君気付いてなかったの?」
「……うん」
微妙な空気が蔓延する。
「……まあ、失敗は成功の母と言うし、次を頑張れば良いと思うよ、うん」
「そ、そうよ。失敗は誰にでもあるし、次に活かしましょうよ」
「そうだよ翔っち! 子供でも気付きそうな間違いだからって、気にしなくても大丈夫だよ!!」
「ガフ……」
「燈ちゃん、止めてあげて! 翔君のライフはもうゼロよ!」
「翔、不憫だなぁ……」
そんなやり取りがあったものの、暫くしてテスト勉強を開始する一行。
だがしばらくすると、少し集中力が切れてきたらしい。
「ねぇ。皆は夏休みどうするの?」
「うーん、私はまだ特に用事はないかな」
「俺も特にねぇな」
「僕は八月の始め頃に、河川敷での花火大会で自分で花火を打ち上げる予定だよ」
「おおっ、ついにか!」
「翔君、ついに認められたんだね」
「翔っち! 大ニュースじゃん! いつ、いつ!?」
「八月十日だよ」
「よし覚えた。翔っちの花火見に行くよ」
「八月十日か、うん。私も晴れ舞台を見に行くね」
「勿論、俺も行くぞ!」
翔の重大発表により、しばらく勉強どころでなくなった。
「皆、そろそろ勉強に戻りましょう。補習になったら最悪、花火に行けなくなるわよ?」
「そりゃまずい!」
何とか方向修正をして、勉強を始める一行。
「ここはxが64で……」
「yは53か……」
何とか今日のノルマは達成したのだが、皆集中出来ているとは言えなかった。