花火知識
作中に登場する花火に関する用語や情報を纏めました。
ここは作中で出てくる花火の種類や、関連用語をメモしておく場所です。
☆ 花火玉の構造
・割物
尤もポピュラーな打ち上げ花火。菊や牡丹が有名どころで、作中でカケルの心に焼き付いている冠菊もこれに当たる。
・小割物
割物を複数用意し、それを更に大きな玉殻で覆った物の事。彩色千輪菊、紅点滅千輪菊などがある。作中では、輝明が独特の使い方をして、花火の魔術師として呼ばれてる理由になった構造。
・ポカ物
小割物に良く似ているが、くす玉と同じように中のパーツを外に放出するだけの構造。内包する仕掛けによって様々な変化をするのが特徴である。この種類の中には蜂や分砲、椰子などがある。
・型物
割物の球状に開くものをわざと変化させた物を指す。例えば、土星や蝶々などが有名で、作中で言えば、カケルが作っていたユニコーンやドラゴンの花火がこれに当たる。
☆ 花火玉の形
・菊
尤もポピュラーな打ち上げ花火の一つ。
中心から外へと球状に星が飛び散り、牡丹と違い星が飛び散っていく時に尾を長く引く花火。
・牡丹
尤もポピュラーな打ち上げ花火の一つ。
中心から外へと球状に星が飛び散り、菊と違い星が飛び散っていく時に殆ど尾が引かない花火。
・冠菊
花火大会のラストに、よく使われる花火の一つ。
菊の一種だが、星が重力に負ける様に落ちていくのが特徴。
良く見る金色の物を錦冠菊と呼び、銀色の物を銀冠菊と呼ぶ。
☆ 花火球の構成
・玉殻
玉殻は玉皮とも呼ばれる、花火玉の表皮の事で、伝統的な材質は新聞紙や和紙、現在はボール紙が一般的である。
・星
星は打ち上げ際に色付きで輝く点を表現するパーツで、色を出す焔色剤、酸素を供給する酸化剤、燃焼を促進する可燃材で構成されている。
焔色剤には金属を使用しており、この金属が燃焼する際の色が打ち上げ後の色になる。
・割薬
割薬とは花火玉を空中で割り、星を外に飛ばす役割を持つ火薬の事。実際には籾殻やコルクなどに火薬を塗して乾燥させたものを使用する。
・間断紙
間断紙は星と割薬が混ざらない様にする仕切り紙の事。火薬同士が混ざると発火する可能性もあるので、安全面では最も重要なパーツでもある。
間断紙には古来より和紙が最良とされており、和紙・雁皮紙を超える紙は無いとまで言われている。
・導
導は親導とも呼び、導火線の事である。打ち上がった瞬間に着火し、一定時間燃焼後に中央の割薬に対して引火させる役割を持つ。
・上貼紙
玉貼りに使う紙の事で、花火玉に掛かる圧力を調整して、綺麗な球状に星が広がるようになる大切な物。
・竜頭
花火玉に付ける取っ手の事で、縄状の形状をしている。
打ち上げ筒に静かに入れる為に使用する。
☆ 花火玉の打ち上げ状態
・玉の座り
玉の座りとは、打ち上げからの炸裂のタイミングを示す言葉。早い段階で炸裂してしまうと上側に星が流れてしまい、遅い段階で炸裂すれば下側に星が流れてしまう。
また炸裂せずに落ちてしまった花火玉を黒玉と呼び、非常に危険である。
・盆の形
盆とは、割物の破裂した形が、本来目指していた形にどれだけ近いかを示す言葉である。
今回の場合であれば真円に近ければ盆の形が良い事となる。また、大きさも表し小さく炸裂してしまったものは盆が小さいと呼ばれる。
・肩の張り
肩の張りとは、星の飛び出し方を示す言葉。炸裂した際に一斉に星が勢い良く飛び出すが肩の張りが良い事になり、逆に勢いが無く星がフラフラすることを肩の張りが弱いと呼ぶ。
また、星に火がつかないで見た目には抜けているように見えることを抜け星と呼び、星が好き勝手な方向へ飛ぶ事を星が泳ぐと言う。
・消え口
消え口とは、星がすべて消えるまでの揃い方を示す。星同士が全て一斉に消えることを消え口が良いと言い、星同士がバラバラに消える事を消え口が揃わないと言う。
☆ 花火の焔色剤
・赤色
炭酸ストロンチウム
・緑色
硝酸バリウム
・黄色
シュウ酸ソーダ、炭酸カルシウム
・青色
花緑青、酸化銅
・銀色もしくは白色
アルミニウム
・金色もしくは錦色
チタン合金
☆ その他の用語
・黒玉
花火玉を打ち上げたのに、空中で爆発しなかった物の事。所謂不発弾の事。
落下してすぐは非常に危険な為、安易に近づいて良いものでは無い。
時間経過と共に爆発の可能性は低くなるが、火薬の塊には違いないので早急に処分すべき危険物である。
・煙火打揚従事者手帳
別名は煙火消費保安手帳。
日本での花火師の資格を示す手帳である。
この手帳を保持していると、一定以上の火薬の保持、購入、消費が可能になる。
有効期限は五年で、毎年保安講習会を受講しなければ失効する資格である。