インターミッション
この場合、僕は化物のカテゴリーに属しているのだろうか。
人間が基本的に持ち得ない複数の能力を手の内に収めた僕は、小さい国なら身一つで潰せる程の力を持っていた。
動植物だけじゃなく食欲に任せて人間をも喰らう様は、化物のそれに近かった。
一見して僕は人間だろう。
全身に毛を纏うでも無く、頭部に見慣れた黒い髪を生やしていた。他と変わらず体内に問い入れたくない物質を髪の毛を通して外に流す役割りを持つ。
二見して僕は人間だろう。
目に鼻に口、あるべき場所にあるべき物が付いているのだから。
三見して僕は人間だろう。
爬虫類や魚類の様な鱗は無く、それぞれ色は違えど肌を全身に被っている。人間と言って遜色は無いだろう。
四見して僕は鳥と一瞬間違えられる。
人間には無い大きな翼を背中に生やしている。それでも他の場所が人間ならば、それだけで人間と呼べるのではないか。
五見して僕は人間と総括される。
一箇所を除き、形は人間なのだ。産まれては死んでいく人間の内、一人が少しばかり翼を生やしても、それは翼の生えた人間として判断できる。
僕は人間だろうか。
二足歩行で歩き、火を扱える。人間の言葉や感情を理解し、意思の疎通ができれば僕は人間なのだろうか。目には見えない内側の力が人間とは違うなら、元が人間だろうと関係ない。
僕は化物だろうか。
一部の人間は僕を蚊と呼ぶ。間違いは無かった。僕は吸生蚊。自分でも分かっている。しかし、吸生蚊では無いと思う自分もいる。元々が吸生蚊でも人間として長く生きれば人間じゃないだろうか。僕は吸生蚊でもあるだけの人間なのだ。
誰に認められなくてもいい。ただ自分を貫く為に僕は生き残るだけだ。