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僕は食べて強くなる。  作者: 箸野不仕付
第一幕 孵化する蟲達
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プロローグ

この場合、僕は人間のカテゴリーに属しているのだろうか。


様々な能力を手の内に収めた僕は、地球を支配し、収まらない食欲に任せて有りとあらゆる命を食べた。

たんぱく質や炭水化物、エネルギーの吸収だけでなく、有機物の優れた能力を吸収できる僕の身体は、およそ人間とはかけ離れていた。

僕は植物だろうか。

頭部を覆うのは、髪の毛ではなく芝生。光合成で、仮に食べなくても太陽の光と二酸化炭素があればエネルギーを作れる。


僕は昆虫だろうか。

ハエやトンボのような複眼が、白と黒の人間が持つ普通の眼が付いている所にあるのだから。


僕は魚だろうか。

両耳の下に大きな裂けがあり、水中でも息ができるのだから、そう呼ばれても仕方ない事だろう。


僕は鳥だろうか。

背中に大きな翼を生やして、空を自由に飛ぶことができるのだ。それだけで鳥と呼べるのではないか。


僕は動物だろうか。

人間とは比べられない握力と脚力に、骨も砕く頑丈な顎と歯を持ち、衣服を着用しなくても身体を覆う剛毛が寒さから身を守ってくれる。遠目から見た姿は動物にしか見えないはずだ。


僕は人間がいい。

二足歩行で、火を扱える。人間の言葉や感情を理解し、意思の疎通もできる僕は人間だろう。当然だ。僕は元々普通の人間だったんだから。


僕は化物なのか。

いつの時代も人々は僕を化物キメラと呼んだ。それは違う。僕は誰かに合成された訳じゃない。化物に関しては、食欲に任せて人間も食べてしまうから、比喩表現として理解できる。しかし、本質的には化物でもキメラでもない。僕は植物であって昆虫であって魚であって鳥であって動物でもあるだけの人間なのだ。はずだ。


なのに、世界は僕一人に宣戦布告をした。


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