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孤独で平和なニートの日々  作者: やっちゃん
1/1

ゆっくりと流れていく時間

人間の本質というものは変わらない。


闘争心の強い人間は人に言われようが、言われまいが大抵の物事は成し遂げて見せる。


また、根が真面目な人間は これもまた闘争心の強い人間よりは時間がかかるが、こつこつと着実に物事を成し遂げて行く。


しかし、闘争心もなく真面目でもない人間というものは 物事を成し遂げることに臆病になり、堕落することだけに時間をかけ、何も成し遂げることができない。 否、臆病になっている訳ではない。 ただ単に面倒くさいだけなのだ。 この堕落精神を「ニート精神」と呼ぶことにする。


今から始まる話は、ニート精神を持った 若い男の物語である。






時刻は午前10時。 カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ました“無色 聖也”は、体を起こし、眠気眼で時計を確認した。 「ちょうどいい時間だな」そう呟くと枕元に置いてあるスマートフォンに手を伸ばし、早速今はまっているゲーム『大地の騎士』のプレイを始めた。 このゲームは、防衛ゲームであり、さまざまな種類の騎士を配置して自分の王国を守っていく。 対戦相手はリアルタイムでゲームをしている全国のプレイヤーの中からランダムで選ばれ、対戦が始まる。

勝つことができれば素材が手に入り、それを使い、装備品を作ることで自分の騎士たちが強くなっていくというものだ。

プレイすればするほど、ゲームの中だけではあるが、目に見える形で姿が変わっていく騎士たちに、聖也はここ数ヶ月すっかり夢中だ。


30分ほど『大地の騎士』をプレイしたあと、空腹を感じた聖也は2階の自室から1階に降り リビングのテーブルに向かった。 テーブルの上には菓子パンが2つ置いてあり、その横に三千円と、母親の物らしき文字で「聖也、仕事に行ってきます。 ちゃんと求人サイトチェックしたり、ハローワークに行ったりするんだよ。」と書かれた紙が置いてあった。


「わかってんだよ うるせぇな」


そう叫びたい衝動を抑えて聖也は冷蔵庫から紙パックの牛乳を取りだし、朝食を取り始めた。


高校を卒業してから聖也は二年間ずっと就活をしている。 アルバイトをしていた時期もあったが、人とコミュニケーションを交わすのが煩わしい聖也にとって長く続けるのは困難であった。


かといって、コミュニケーションをあまり必要としないアルバイトを一度やってみたが、それは肉体労働だったので運動すらろくにやってこなかった聖也にとって地獄であり、5日でばっくれて そのままやめてしまった。





しかし、今年 二十歳になる聖也にとって危機感は全くなかった。 就活を急がなくてはいけないという思いはあるのだが、心の大半は“まだ二十歳” “仕事を始めたら、こき使われるだけだ” “仕事だけしか考えられない時期になる前に、映画や本などの文化作品に触れて自分を形成しなくてはいけない”などの思いが渦巻いていた。


続く

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