夏が向日葵のため
夏が好きだ。何故か。
それは全てを懐かしいと思ってしまうからだ
何が懐かしいって、
アスファルトから悶々と出る熱気もそう。
顔の頬のラインをつたって流れ落ちていく汗もそう。
それを指先で拭い湿る皮膚。
それでも照続ける容赦のない熱の塊。
天気予報、今日は何度だ暑いだのって
昨日と何ら大差はないだろう。
明日もきっと暑いのだと、分かっていても
天気予報を見ている。
あぁ、本当に夏が来たのだと。
夏になると、匂いが変わってしまう。
少し泣きそうになるのに酷く嬉しく興奮する
隠す気も静かにする気も無く行き急いで迫ってくる思い。
夏の匂いは多くの事を連想させる。
自転車をこいでこいで風を浴びても
匂いは変わらず、少しあなたの匂いも
混じっていて、今年もあなたが私と
いるというなんとも言えない思いを
あなたの背中に頭を預ける事で隠す事にしたでもあなたは弾んだ声で私に問うた、
「どうしたの。」と
なんだ、どうして嬉しそうなんだと、
私は少し仏頂面で頭をまた下げながら問うた
そうするとあなたは楽しそうな声色で、
「あなたは素直なようで素直じゃない。」
と笑って言うのです。
何だか居た堪れなくなり、
少し染まった頬を風で冷やすために
頭をあげる。
何色に染まったかなんて、
そんな野暮なことは聞かないで。
あなたから伝って私に落ちた汗、
それに気付いて視線をあなたに
向けた時に見えた表情に私は酷く興奮したの汗の理由が愛おしかった。
あなたから伝って私に落ちた汗が
その行為の羞恥を煽ったの。
たまらなかった。
じとりとした部屋、
湿り気を帯びたあなたと私の体、
額の汗でへばりついたあなたの黒い髪。
それを私は手を伸ばして綺麗にのけるの。
髪があなたの視線を妨げば私が見えないじゃない。
今この瞬間の私をあなたはきっと見たくて
たまらないはずだから。
たまらないものだらけのたまらない行為。
確かに愛していたの、その瞬間確かに。
あなたはいない初めての夏がもうそこまで
迫ってきてるの。あなたもどこかで夏を
感じているのかしら、と
寂しさをひた隠しにして。
今年もまた暑いのかしら、
そんな呟きに答えてくれるあなたは
何処を探しても居ないらしいわ。
おかしな話。もう触れられないなんて。
あなたに会いたいと
私は言う事を聞いてくれないの。
あなたの事を考えると
自分を傷付ける衝動が収まらないの。
涙が止まってくれないのよ。
どうしたらいいのか私は分からないの。
どこへ行っても、あなたがいるの。
思い出のもう幻のあなた。
だから私は必死に逃げた。
でもそれでもあなたは居たわ。
私達はお互いどれだけの日々を
共に過ごしてたのかしら、
痛いほど悲しいほど思い知らされたから、
私は諦めたの。
だって私は結局最後まであなたを愛してたなんて、自分でも笑っちゃうわ。
気付かなかったの、大事にされすぎて。
あなたの隣にいすぎて。
わからなくなってたの。
言い訳ばっかり沢山、
ねぇ、全部聞いてくれる?
私の醜態をみてくれる?
それでもあなたはきっと私を大事だと
言うのでしょうね。
本当にあなたはどうしようもないほど優しい人だったから。
あなたの命日には、向日葵を。
生前、あなたは向日葵みたいね、
と私が言ったことを覚えているかしら?
向日葵を見るたびあなたの笑顔、
思い浮かび、少し切なくなるの。
もし、ね、
私がまた誰かと恋でもしてしまった時は
きっとあなたを越えるほどの人なのよ。
それくらいの覚悟で私はあなたを愛しているわ。
あなたを越えるほどの人なんて、居ないのだから。昔も今もこれからも




