表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1話 裸の社長令嬢

http://13612.mitemin.net/i136627/


−−君のことを誰よりも応援している

 君のことを叩こうとするファッ○な奴がいたら

 僕がそいつをぶっ潰して、助けてあげるよ


奥山優晴(ゆうせい)がスマホの目覚ましの音楽で起き上がる。

目覚ましの音楽は可愛らしい女の子の声。

優晴の部屋には一人の少女アイドルのポスターやグッズが

所狭しと置かれている。

優晴がスマホの画面を見る。

「…おはよう、美音ちゃん♡」

優晴がにやにやと笑いながら独り言を言う。


優晴が階段を降りると優晴の母親がテレビのニュースを見ながら

朝食を食べている。

「優くん、寒いからって起きるの遅くなってるよ。電車が混むから

早く朝ご飯たべなさい」

優晴の母親は元気よく、お味噌汁やご飯を食べる。

一方の優晴が座った場所にはいちごジャムトーストとホットココアがある。

それを優晴が少し眠たそうに食べ始める。

テレビのニュースでは芸能ニュースで「人気俳優Y、32歳がついに結婚!」と大きくテロップが出る。

「優くんと同じ歳!」

母親が大きな声で指差す。

「あっ、そう」

優晴が興味なさそうにテレビ画面を見つめる。


優晴が大きなビルに入り

優晴が「HIJIKATA FOOD ART 社員 奥山優晴」という社員カードを首からぶら下げ、エレベーターに乗り込む。

42階に降りると、まだ誰もいないフロアで優晴がフロアの電気をつけ、

机を綺麗に拭き始める。そうじ係の人が気づかないようなゴミ箱の汚れを拭き取っている。

「おはよう、奥山君」

優晴が振り向くと社長である土方正信が声をかける。

「社長、おはようございます」

優晴が笑顔で答える。

社長「気が利くね。ありがとう」

優晴「いえ、僕は皆の気づいて無い所をフォローするだけなので」

社長「…そうか。所で君、つかぬことを聞くが料理は得意かな?」

優晴「…ええ、まあ。作るのも食べるのも大好きです」

土方社長が意味ありげに笑う。

社長「ありがとう。もしかしたら君に頼み事をするかもしれない」

土方社長は他の社員が出社してくるのを見て優晴の側から離れる。


優晴の会社での座る場所は一般職のポジションで他の部署の清算や電話応対、また雑務などをこなす部署である。優晴は几帳面でミスが少なく他の社員からも信頼されていた。

優晴は淡々と作業をしながら

(社長が自分に頼み事ってなんだろう。料理ができるかを聞かれたのだからもしかしたらインターネット配信の「メンズプチクッキング」企画に回されるんではないか、そうしたら日曜日まで仕事をさせられ愛する美音ちゃんのイベントに行けなくなるのではないか)と心配していた。

そこに同期の原桜子が来る。

桜子「ねえ、奥山君、お昼の会議のプレゼンにこの映像足して貰えない??」

とおねだり声でしかし乱暴に優晴のデスクの上に必要書類とDVDを置く。

桜子「ちゃんと会議室で動画が再生できるようにしておいてね」

優晴「原さん…。えっとまだ僕やらないといけない作業があるんですが…」

と言い終わるうちに桜子が去る。

(くっそ、あいつココナッツくさい)とか思いつつ、優晴は桜子のDVDに手を出す。

(原桜子も一緒に入社した頃はどこのモデル出身だとチェックしてたけど、すっかり会社のCMに採用されてどうしようもない勘違い女になったもんだ)と優晴は頭の中で原桜子を罵りながら、

しかし外見ではそんなことを察せられないよう

優晴「もう、原さんったら仕方ないなあ」

と爽やかな声で桜子の残していった書類をチェックする。

優晴はDVDをパソコンで確認する。

すると桜子がHIJIKATA系列のレストランをバックに自分の写真を当てはめてCMのイメージ動画が流れる。桜子のプロモーションビデオかと見間違えてしまうほど画像処理がされている。

優晴は動画がまだ半分も再生されないうちにDVDを取り出す。


夜になり、優晴は行きつけのアイドルカフェ「ドリーム∞」に入る。

さとし「優晴、まってたお」

と笑顔で迎える中年男性井山さとしがいた。さとしは作業着を着ている。

優晴の顔が一気にゆるむ。

優晴「さとし、聞いてよ、僕もしかしたら昇進するかもしれないんだよ」

さとし「えっ」

優晴「明日詳細が分かるかもしれないんだけど、とりあえず『今度の日曜日あいてるか』って。どうしよう美音ちゃんの握手会には参加できないくなっちゃった」

さとし「やばいじゃん、それ」

優晴「そうなんだよ〜、どうしよう他の部署いかされたら…。うち飲食だし営業とか企画になったら課題も山積みになるし土日無くなるだよ〜!」

さとし「絶対絶命じゃん!」

優晴「ぜったい他の部署にならないように、一般職のエキスパートになって誰よりも早く仕事終わらせて、土日は出勤しないようにしてたのに。裏目に出た」

優晴が泣きそうな顔でさとしの手を取る。

カフェのウエイトレスが来る。

女「ご注文はいかがなさいますか?」

優晴「ホットココアで」

さとしが優晴を抱きしめる。

優晴「…今度の日曜は、俺の分まで美音の応援を頼むよ」

優晴は震える手で『美音・握手券』をさとしに渡す。


次の日、優晴は仕事をしていると課長から「土方社長がお前をお呼びだ」

と引っ張られる。

優晴は緊張しながら社長室に入る。

社長「待っていたよ、まあ座りたまえ」

優晴がおどおどと座ると社長が白い封筒を取り出す。

社長は封筒の中から写真を取り出し、優晴に見せる。

社長「うちの娘だ。君さえ良ければ見合いをしてみないか?」

優晴が驚く。

優晴が写真を持ち、じっと見る。

優晴「社長の娘さん…、現在おいくつなんですか?」

社長「25歳になったばかりだ」

優晴が持つ写真には5歳くらいの可愛らしい園児が映っている。

(だったら現在、25歳の写真持ってこいよ)

と喉まででかかるが優晴は必死に冷静な表情をする。

社長「あまり外にでないからこれしか写真がなくてな。でも外見はその頃と変わらず非常に可愛らしい。だが引っ込み思案な性格なので学校で虐められて以来、家でずっと絵を描いててな。家内も私も心配してるんだよ。娘の将来が」

優晴「そうなんですか…」

(今すぐ逃げ出したい。面倒なことに巻き込まれたくない…)

社長「君は優しいし、器用な男性だ、ぜひ娘に似合うと思うんだ。一度会ってみてみないか?」

優晴「はあ・・・」

社長「君が困ったときには私が助ける。今回は私を助けると思って、よろしく頼むよ」

社長が優晴の手を取る。

優晴「…わかりました。お会いするだけかもしれませんが、僕でよろしければ」

(その娘会うだけならなんとか。今変に断ってクビにされるよりはマシか。クビだと追っかけする金なくなるもんな。部署がかわるよりマシか…)

社長「…君は純粋なとっても若い娘がすきなんだろ?」

優晴が顔をあげる。

(なぜそれを知ってるんだ、社長が。平社員である僕のどうでもいい情報を)

社長「きっと君と娘はお似合いだと思うよ」

社長は微笑む。

(絶対、探られてる…。逃げ出したい)

優晴の足は震えている。


日曜日になり優晴は土方社長に伝えられた住所をスマホの地図検索で探しながら来る。豪邸が優晴の目の前に建つ。

優晴は緊張しながら家のチャイムを鳴らす。

家政婦が出てきて優晴を土方邸へ案内する。

優晴はリビングに案内され、

土方社長がリラックスした格好で奥さんとリビングに来る。

社長「睦月、来なさい」

家政婦が呼びにあがるも出てこない。

土方邸に沈黙が流れる。

優晴は沈黙に耐えれなくなり立ち上がる。

優晴「僕ちょっとお庭を散歩してて良いですか?」

社長「…ああ」


優晴はショボショボと庭を歩く。

庭はとても整理されていて花がきれいに咲いている。

優晴「きれいな花だな。なんて花だろう…」

優晴が花に手を触れようとすると花が植えられている先に人の視線が優晴に向けられていることに気づく。

声「なんか女々しくて気持ち悪いな、お前」

優晴が震えあがる。

がさがさと花の植木から人影が出てくる。

裸の土方睦月が堂々と現れる。

優晴は腰を抜かすと目の前にあったかいモノが触れる。

睦月「ナポレオンJr.!見つけた!」

ニャーという鳴き声。

優晴はあったかい物体が猫だと分かる。

睦月はいきおいよくナポレオンと呼ばれる猫のもとに駆け寄る。

優晴に今度は駆け寄って来た裸体の睦月に抱きつかれ、気を失う。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ