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スキル

今回、文章は短いですが説明多めです。

しばらくの沈黙の後、ドレイルは続きを促した。

「ドラゴンのスキルというのはどういったものなんですか?」

その質問にロバートは、我に返る。

「あ、はい。えードラゴンの能力は、スキル魔法無効化、肉体強化、物質変化。わかっているのはこの三つです」

「…………?」

「ああ、そうでしたねすみません。スキル魔法無効化というのは魔法系、つまりは火、水、風、土、雷、といった属性魔法の攻撃をすべて無効化するものです」

「さっき言っていたのとは違うのですか?」

レイノールの方を向きながら訪ねる。

「わ、私のは、強化系と言われるもので何かを媒体にしてそれに纏わせたりといった形でしか発動できないんです。魔法系の方は、形をイメージするだけでそのまま発動できます」

「へえ、魔法系というのは便利なのですね」

「いえ、そうとも言えないです」

とロバートが話を引き継ぐ。

「というと?」

「魔法系は、発動と同時に精神力を消費します。精神力は人それぞれですが、ほとんどのスキル保持者は連続で数回発動すれば消耗して、発動できなくなります。精神力が高い人でも数十回が限度ですね」

「精神力?」

「ああ、えーとすみません精神力に関してはあまり私も詳しいわけではないのですが、簡単に言ってしまうとスキルを発動するために必要なエネルギーのようなものだと思います」

「エネルギー、ですか」

「魔法系のスキルはそのエネルギーの消費が強化系のものより大きいのですぐに切れてしまうんです。強化型はエネルギーの消費が少ないので多少は長く持つようですがそれでも最高で数十分が限界ですね」

「へえ―そうなんですか」

ドレイルは言われた内容を頭に入れながら彼らの説明に少し呆れていた。

(こいつら、喋りすぎじゃないか?)

ドレイルは心の中でため息をつく。

(俺は今別に敵対するつもりはないからいいものを,自分たちの手の内を全部さらすなんてお人よしすぎるだろ)

何か裏があるのではと考えるドレイルだったが三人の顔を見て違うということに気づく。

(そうか、そういうことか……)

彼らの表情は何の迷いも考えもなくただ当たり前のことを話しているそんな顔だった。

(当たり前のことだから問題なく話せる、てことか)

むしろ変に隠し立てしてドレイルのこちらの評価を下げるようなまねはしたくないというロバートの考えがあったというのもあるが。


スキルについては、だいたいの人が理解している上、スキルの詳細についても一部の人間以外はだいたい知ることができる、と言うかすべての都市では入る前に検査がありその検査で出身と名前とスキルを調べられ、情報が無い者は登録され、住民名簿のように記入されるため。住民名簿は、それなりの階級(まとめ役など)があれば閲覧できる。

そんな感じにスキルはかなりオープンなもので国同士では互いの国の騎士のスキルを互いに出し、それを抑止力にすることで平和を保っていたりする。

ロバートやレイノールのスキルもそうである。

そのため彼らのスキルはほとんどの人間が知っている。言うまでもないが抑止力として示されている彼らの能力、以ては実力はだてではない。


(まあ少しは信用してもいいようだな)

表情を笑顔にしたままそう心の中でドレイルは思った。

「それで二つ目ですが、これはそのまま肉体を強化するものですね。どの程度強化されるのかはよくわかっていないですが…」

そこで一旦話を切る。その先をなかなか話そうとしないロバートにドレイルは訝しむ。

「どうしたんですか?」

そう尋ねると彼はドレイルの方を向き困ったように告げた。

「三つ目の物質変化スキルなのですが、これはあまり我々は理解できていないのです」

「……どう言うことです?」

「我々の能力の確認にはスキル紙と呼ばれる特殊な紙に触れることでスキルを確認します。モンスターのスキルを確認するときも死体や隙を狙って体に当てることで確認します、こんな風に」

そう言い薄茶色の白紙の紙を取り出し紙を数秒握ると机に置く。

それを覗き込む。ドレイルは少し驚いた。

そこにはロバートの名前と年齢、そしてそのスキルについて書かれていた。

(文字も普通に読めたな)

そのことに安堵しつつその紙を眺める。

「ちなみに他のものが触ればこの紙はその人物の情報に変わります」

ためしにレイノールに触らせると紙の文字が変わりレイノールの情報が現れる。

(へえ、年下なんだ。意外だ。)

「あんt…んん!あなた、失礼なこと考えていませんか?」

こちらを笑顔で(目が笑っていない)見た彼女に『ソンナコトナイデスヨ(棒)』と返す。

ロバートは気づかないのか無視しているのかわからないが話を続ける。

「ドラゴンのスキルについても、かつて一人の騎士がその命と引き換えにドラゴンに貼り付け得たものです」

「そうなんですか」

「紙にあるとうり、スキルについてはスキル名と簡単な解説のみしかないですから。特に最後の能力、物質変化については、物質を変化させ作り出すとしか書かれていないのです」

「ああ、だからよくわからないんですか」

(言いたいことは理解できたな)

「ええ、実際そのスキルらしきものを発動しているところを見た人間は一人としていないんです…。ただ」

「ただ?」

「あ、いえ関係あるのかわからないですが、ドラゴンの古い伝承にこんなものがありまして…」

そう前置きして彼は語った。


昔、ドラゴンが地上に君臨していたころ。その時にも人は存在した。だが数は少なく、魔物におびえ隠れるように生きていた。あるとき一つの人間の集団がドラゴンのすみかの近くを通りかかった。そこえドラゴンが降り立ちその者達を睨みつけた。人々は恐れおののきおびえた目でドラゴンにすがった。

だが一人の少女がドラゴンの肩にあるけがを見つけた。少女はドラゴンにおびえながらもその傷をいやした。するとドラゴンは感謝しその者の願いを叶えてやると言った。その言葉に少女は安全に暮らせる場所が欲しいと願った。その願いを聞きドラゴンは山を一つ崩しそこに人々の住める硬い城壁に守られた都市を作った。そして彼らをそこに住まわせるとどこかえ飛び去った。


「…という伝説です」

「都市をですか…」

「ええ。ちなみにその都市はいまだに存在しています。実際何度かその国は戦争になりましたがその城壁は今まで一度も破られたことがないと言われているくらいです」

「そうですか」

(なんだか返事がワンパターン化してきたな)

正直それ以外に答えようがない彼は少し困ったように口元に手をやる。

(そろそろ話題を変えるか)

他の話も聞きたいドレイルは、ほかの質問をしようと身を乗り出す。

「っと」

机にぶつかりコップが倒れた。中身が机に広がる。

「わ!まずい!」

慌てて紙を濡れないように持ち上げコップを直す。

ハンナが布きんを渡すと濡れない所に紙を置き机を拭く。

(ちょっと注意力が散漫になっちまったかな)

「すみません」

「いえ、こちらは平気………!?」

机を見た瞬間彼は訝しげな顔をし、次の瞬間には驚愕の物へと変わっていた。

「どうし……な!?」

ロバートを見たレイノールも机を見て目を見開いている。

(なんだ?どうしたんだ?)

彼が困惑しているとハンナが震えながら声をかけた。

「ど、どれいるさ、さん…!こ、これ…!!」

ハンナは机の上を指さしていた。

そちらの方へ目を向けドレイル自身も固まった。

ハンナの指の先には例の紙があり、そこにはこう書かれていた。

『code nameドレイル 「:@*&%”$”|~‘./」

  年齢    24  

スキル     スキル魔法無効化

          肉体強化

          物質変化

          ?‘{+}+{*{:「:「

          ;「@;:「^:

                               』


「………なんだ、これ…?」

この場所に来て初めて驚愕に表情を崩し、そう彼はつぶやくことしかできなかった。

次の話は早めに出せたらいいなと思います。

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