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別れの時

翌日、ありさは石川県、五人は東京へと帰ることになった。

「事件起こってしまったね」

春佳はため息交じりで言った。

「うん。でも、これで良かったんじゃない? ねっ? ありさ」

「まぁね。暢一、私のこと諦めてくれたんでしょ?」

「ヤケに嬉しそうだな。オレはまだ諦めれねーから…」

「え!?」

思わず、声をあげてしまう。

「私のこと諦めるっていうのはウソだったの!?」

「いや、あの時言ったことはウソじゃねーよ。どうしても諦められねーって…」

真剣な暢一。

「次会うまでには考えておくよ」

「ホントに?」

ありさの問いかけに、本当だというふうに頷く暢一。

「付き合えばいいのに…」

「何よー?」

ありさは大声を出す。

「みんな元気に騒いでるな」

石井刑事が六人の背後から言う。

「あ! 石井刑事じゃん!」

「東京に帰るのか?」

「私だけ石川県です。東京に住んでたんだけど、半年前に引越ししたんです」

「そうだったのか…」

「ありさ、新幹線来たよ」

理恵子がありさの服の袖を引っ張る。

「あ、うん…」

バッグを持つありさは、山元刑事のことを聞きたかったが、あえて話題にはしなかった。

少ししてから新幹線がホームに入ってくる。

「私、行くね」

ありさはそう言いつつ、暢一の顔を見るがなんだか悲しそうな表情をしている。

「ミス・ありさ、元気で!」

「オゥ!!」

ありさはわざと男の子っぽく返事をした。

「ありさっ!」

暢一がありさを呼ぶ。

「また東京に来いよ!」

「…うん…」

暢一が滅多にしない真面目な表情に、胸を高鳴らせたありさ。

ピィィィィィ…。

出発の合図が鳴る。

「早く乗らなきゃ、ドアが閉まっちゃう…」

ありさは独り言のように言い、新幹線に乗る。

「じゃあね、ありさ」

「みんな、元気でね」

「ありさも…」

最後の別れを言葉を交わすありさ達。

そして、ドアが閉まり、ゆっくりと新幹線が走り出した。

こうして、ありさの旅が終わった。








ここは石川県。

旅行から帰ってきて二日が経った。

もうすぐで夏休みが終わろうとしている。

ありさは朝早くから祖父に起こされた。

「ありさ、起きろ!」

祖父はありさの身体を揺さぶる。

「何よ~? 人がせっかく寝てるのに…」

ありさは目をこすりながら眠そうな声を出す。

「事件じゃ、事件!」

「どこでよ?」

「緑川公園じゃ。ワシと行こう!」

「イヤ! 私、行きたくない。寝るわ」

寝かけようとするありさ。

「行くのじゃ」

「なんで? 一人で行けば?」

「ワシ一人で淋しいもんでな」

「ウソばーっかり! 私がいなくても大丈夫よ!」

「そんなこと言わんと…」

無理矢理の祖父はありさの腕を引っ張る。

「イヤーーーーー!!!!!」

家中にありさの声がこだました。


ーこうして、いつもの毎日が始まった。

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