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ビスケット・フレンド  作者: 蛍桜
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第1話 桜と蛍

 僕は独りで雲ひとつない青空を眺めている。ほんとに何もなく、鳥も虫も飛んでいない。音が聞こえるといえば風の音と、遠くを走っている車のガソリンの音だけだ。

 |(今頃みんな授業中なんだろうな・・・)

 そう、今は3時間目の授業中。僕といえば学校を取り囲むようにある山に建っている神社の軒下で寝転がっている。こうしていると気持ち良いものだ。まるでこの広い世界に自分独りしかいないようだ。高校生にもなってこんなことを考えるのもどうかと思うが、まあ そこは大目に見てほしい。

 「あむ・・もぐもぐ。」

 僕は手作りのクッキーを一枚食べた。それから、今日の朝下駄箱の中に置いてあった、クローバーが印刷されているラップに包まれてかわいらしいピンクのリボンで口を留められたものを鞄からとりだした。

 それをがさつに開けてみると、ハート型のクッキーが入っていた。僕はそれをしばしば見つめてから口の中に放り込んだ。触感がすこし、しっとりしたクッキーで、いかにも手作りっぽっい味がする。

 「サクサク・・はあー。このクッキー、ちょっとやわらかいな。それに――」

 と言ってから僕は眠気が襲ってきたので、それに身を任せて夢の世界に入り込んだ。どれくらいが経っただろう?なにか人の気配がする。ちょうど僕を見下ろしている様なところに立っているようだ。

 |(いったい誰だろう?ああ、目をあけたいのに開かない。目蓋がおもたい。)

 僕が睡魔と闘っている間に、そいつは寝ている僕の横においてあったクッキーをかってに食べているみたいだ。あのラッピングされたものか、僕が作ったものかは目を閉じている僕には分からないが、そのクッキーが美味しいらしくどんどん食べている。

 「サクサク――もぐもぐ。ゴクン・・・うんめぇ!もぐもぐ」

 と、クッキーを食べてはつぶやいている。そして僕は睡魔との闘いに勝って、重い目蓋をゆっくり開けた。

 「ん うんん。くあー」

 まず小さくあくびを搔いてから目蓋をこすり、周りの様子を確認した。

 |(いったい誰がいるんだ?食べなかったからって勝手に食べる奴がいるか?)

 むくりと起き上がってあたりを見渡した。

 |(いた。僕が起きたことにきづいてないのかな?)

 そいつはクッキーを食べるのに夢中になっているようで、まったくこっちを向かない。僕は驚かしてやろうと思って、できるだけ大きい声で呼びかけた。

 「おい!なにしているんだ!勝手に僕のクッキーを食べるなんて・・!!・はむ」

 話しかけている途中に口に何かを入れられた。食べられるもののようだ。クッキーか?

 |(やわらかいな。あのラッピングされていた方か・・)

 突然のことでかたまってしまっていた僕に、ちょっと間してから、そいつは話しかけてきた。

 「お前これ食わずに寝るとか頭おかしいんじゃねえか?!しかもこんなとこに置いてたら、誰だって普通食っちまうに決まってるだろうが!」

 |(え・・・逆ギレ?)

 「・・・そう。」

 なんだか言い返す気がうせてしまった僕はとりあえずクッキーをほおばり続けている彼に質問することにした。正体わからないし・・・。

 「えっと、君 ・・誰?それって桜飛学園おうひがくえんの制服だよね?今授業中のはずだけど・・・何?サボりなの?しかもこんなとこまできて。」

 「サボったのはあんただろ?それに今昼休みだし。なあ、クッキーもうないのか?俺昼飯忘れてさぁこの山さ迷ってたんだよ。そしたらここにたどり着いてさ、軒下に美味そうなクッキーがあったからつい食っちまった。ははは」

 いや、笑い事じゃないだろうとも思ったが起きたばかりの僕の頭は少し錯乱状態にあるらしく、とにかく彼の素性が気になってしょうがなかった。

 「そういうことじゃなくて、名前・・・」

 「は?名前?・・・ああ名前ね!」

 彼は僕に指を指しながら大げさに反応した。

 「俺は桜木!桜木さくらぎ よう17歳 高2ー6組の音楽科だ。ちなみに運動神経抜群でちょーモテるぞ!なんたって音楽系ができて運動もできて勉強もそこそこできるからな。」

 自分自慢を始めた桜木 鷹は聴いてもいないことをペラペラと語りだした。まあ素性がわかったので僕はこのうっとうしそうな男から早く離れたくて、自分の荷物を取って神社をでることにした。

 「わかったか?だから女子たちは俺をほってはおけないんだよ。って、お前どこにいくんだよ!まだ話は終わってねえだろうが!!」

 彼がなにか吠えているが僕はそそくさと早足でその場を去って行く。

 が、

 「!!!」

 まだ頭が冴えていなかった僕は神社の階段にクボミがあることを忘れていて足をつまづいてしまったので、前のめりに扱けそうになったが・・・・ガシ!

 「ウグッ―――」

 バン!!  僕は手を地面につけて顔をぶつける前に胸に違和感を覚えた。どうやら斜め提げ鞄を引っ張られたようだった。もちろんここにいるのは僕と彼しかいないので必然的に鞄を引っ張って、扱けきる寸前で助けてくれたのは彼だった。コケて服が汚れる事はなかったが、代わりに鞄の紐が胸を締め付けて苦しい・・・|(ありがたいが、早く放してくれ。息が止まりそうだ!)と彼に言いたいが締め付けられたこの状態ではそんな長文は言えそうもないので、とりあえず一番大事なことだけ言った。

 「っと、危ねな。ちゃんと周り見て歩けよ。」 

 「放し・・苦し・・い・・・」

 ガク――――力尽きた。

 「わぁ!しっかりしろぉ~!!」

 


 

 どこだここは?気持ちい風がふいて僕の顔に自分の髪が遊んでるのが分かる。遠くからは車のエンジンの音と風の音、そして木々の葉がこすれ合う音が聞こえる。鼻先には嗅ぎなれた草や土の匂いがくすぐっている。

 |(ああ、ここはあそこの神社の境内の中か。なんで僕はここにいるんだ?確か早足でここから違う場所に行こうとして、・・・そうだ階段のクボミにつまづいて、それから――――)

 僕はうっすらと目を開けた。

 「お!気がついたか。 いきなり気い失ったからビックリしたんだぜ?!てか、あのぐらいで気を失うのもひ弱すぎるっしょ。」

 そう彼は笑いながら言った。というか笑い過ぎなくらいだ。いやいや急に胸圧迫されたら誰だって目の前が真っ白になるでしょ。

 ならないとか思った人は頑丈なんだね。別に僕は身体が弱いわけじゃないからね。もやしじゃないからね。貝割れ大根じゃないからね!    ゼェーハーハァ・・・

 「えー・・と、ありがとうございます。扱けずにはすみました。」

 「気は失ったけど。」ボソッ ――――

 「え?何か言った?お礼は聞こえたけど、その後がボソッとしか聞こえなかったんだけど。」

 僕は彼の方を向いて

 「別に・・・何も言ってないよ。」

 そっけなく言い放った。だってあまり僕にかまってほしくない・・・

 うつむいていると彼が話しかけてきた。

 「俺まだお前の名前と学年きいてねぇんだけど?」

 彼は少し眉をあげ、口角ををつりあげてニヤリと僕に笑いかけた。ドヤ顔っぽくもあり、そこには爽やかさもふくまれていた。

 「名乗るほどのことでもないし、もう会わないでしょ?えっと、桜木さん|(?)は音楽科だから僕は普通科だから遇う機会なんてないだろうし。あと学年も違うし・・・」

 「なんだよ~。助けてやったんだからそれぐらいいいだろう?」

 それには一理ある。しかたがない、どうせ一度名乗ったとこですぐに名前なんか忘れるだろう。

 「僕は蛍柳ほたるやなぎ 祐威ゆうい憶えなくていいですからね。」

――――――こうして、僕と桜木 鷹は出会った。なんとも滑稽な出会いだがそこはツっこまないでいてほしいな。なんたってこんな風な話しが今からはじまり、続くのだから。別れの日まで――――――――


 

 

 








 初めて小説を書いたので文構成や言葉、漢字が違っているところが多々あると思いますのでよかったらどんどん指摘してください。

 この小説は男子高校生二人が中心に描かれた学園友情物語です。私の性格上話しがずれることもあると思うので、気づかずに投稿してしまっていたらすいません。

 それから、この小説を読んでくださった皆さん、とても感謝してます。至らないとこもあるでしょうが、これからも読んでくださると嬉しいです。

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