食堂にて
武器屋を出て、まずは昼食。ガルムさんの行きつけの食堂に…
「あらガルム坊ちゃん、いらっしゃい!久しぶりじゃないの!」
坊ちゃん?!
「おいおい…いい加減その呼び方どうにかなんねぇのかよ。女将さん。」
「何言ってるの。ガルムはいつまで経っても、私の可愛い坊ちゃんよ。」
可愛い?!
「おかしなこと言うから、連れが絶句してるじゃねーか…」
「あら、あんたが友達を連れて来るなんて、何年振りかしら。」
「友達なんかじゃねぇーよ。こいつは俺の一番弟子だ。」
俺の背中を叩きながら言う。
…痛い
……痛い
………痛い
「マジ痛いですってっ!何回背中を叩けば、気が済むんだよ。背骨が複雑骨折するわっ!」
「おぉー、すまんすまん。つい。」
「“つい”で人を下半身不随にするつもりかっ!」
「ガルム坊ちゃんは照れてるのよ。坊ちゃんがサラちゃんやリーズちゃん以外の人と一緒にいるのは、あまり見ないわよ。」
「そーなんですか?!門番の人とか、街の人達にはかなり人気がある様でしたが…」
実際、街を歩いていても、すれ違う人は皆、ガルムさんにお辞儀をしていた。
「ガルム坊ちゃんはまだ話てないの?」
「あーいやーまぁーな。その内な。」
何故だが一瞬悲しそうな寂しそうな目をした。
「まぁーガルムさんが何であれ、俺にとっては、スパルタ師匠には変わりないからな。」
ニカッと笑いながら、言ったら、
「気持ちわりぃ笑顔を見せんなっ!」
と頭をコツかれた。
「これは俺の標準スペックなんだよっ!ガルムさんだって、厳つい顔してんじゃん。」
「ほほぉー、余程厳しい特訓をして欲しい様だな。」
「ん?!すいませんでしたぁっ!!」
「お似合いの友達じゃない。厳つい坊ちゃんに優男の“僕”」
「“僕”って歳じゃないですよ。」
「そぉいや、おめぇ、歳はいくつだ?」
「俺は28才ですよ。」
そう言うと、2人とも固まってしまった…
「へ?何か変なこと言いました?」
『俺と(ガルム坊ちゃんと)同じ歳じゃん!(なの?!)』
「ガルムさんも28才なの?!」
今度は俺も固まってしまった。
「何だよ…そういうことは早く言えよ。って俺も聞かなかったけど…じゃー今から敬語禁止な。それから、師弟関係もたった今終わりだ。」
「ちょっと待って下さいっ!今やめられたら、俺、旅に出る前に死んでしまうじゃないですかっ!」
「敬語は禁止って言ったろ!あと勘違いしてる様だが、スパルタ特訓はやめないぞ。スパルタ特訓のせいで命落とすかもしれないがな。」
「えっ?だって、師弟関係やめるんじゃ?ってか、特訓で死にたくない…」
「師弟関係はやめだ。これからは…その………………………友達………………だ。」
「なんだー。良かったぁ。いきなり、放り出されるのかと思ったぁ。今頼れるのは、ガルムとサラさんしかいないし。ってか、厳つい顔して、照れんなっ!」
「これは俺の標準スペックなんだよっ!てか、サラに手出すなよ…いくら健でも殺すぞっ!」
「サラさん可愛いもんなぁー。ガルムには勿体ないよ。それにガルムには訓練と言う名の虐待で殺されるし…」
「おい…健…本気かっ!今すぐ殺してやるっ!」
「冗談に決まってるだろっ!だからその斧下ろせよ…」
「本当に冗談なんだな?」
「当たり前だろっ!そんな命知らずじゃねぇーよ。それに万が一サラさんに手出しても、サラさんの目には、ガルムしか映ってないだろうし。全くどこまでバカップルなんだよ…」
焦ったぁ〜
本気で殺す目だった…
「変な冗談はやめてくれよ。マジで健を殺そうとしちまったじゃねぇーか。」
サラさん関係で冗談言うのは絶対やめておこう…
「で?あんたたちは何を食べるの?」
「じゃー女将さんを…」
「あらやだ。いつでも食べて良いわよ!」
「健…疑って悪かったな…健の趣味も知らず…」
「すいませんっ!冗談ですっ!」
「あら、残念。気が変わったら、お・い・でっ。」
訂正…女性関係で冗談言うのは絶対にやめよう。
でもちょっと女将さんが可愛く見えたのは、絶対に秘密だ。
その後も騒ぎながら、オススメ料理を堪能した。
他のお客さんには、かなり迷惑だったかもしれないが…