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自分探しの旅  作者: KURO
9/15

食堂にて

武器屋を出て、まずは昼食。ガルムさんの行きつけの食堂に…




「あらガルム坊ちゃん、いらっしゃい!久しぶりじゃないの!」



坊ちゃん?!



「おいおい…いい加減その呼び方どうにかなんねぇのかよ。女将さん。」



「何言ってるの。ガルムはいつまで経っても、私の可愛い坊ちゃんよ。」



可愛い?!



「おかしなこと言うから、連れが絶句してるじゃねーか…」



「あら、あんたが友達を連れて来るなんて、何年振りかしら。」



「友達なんかじゃねぇーよ。こいつは俺の一番弟子だ。」



俺の背中を叩きながら言う。



…痛い



……痛い



………痛い



「マジ痛いですってっ!何回背中を叩けば、気が済むんだよ。背骨が複雑骨折するわっ!」



「おぉー、すまんすまん。つい。」



「“つい”で人を下半身不随にするつもりかっ!」



「ガルム坊ちゃんは照れてるのよ。坊ちゃんがサラちゃんやリーズちゃん以外の人と一緒にいるのは、あまり見ないわよ。」




「そーなんですか?!門番の人とか、街の人達にはかなり人気がある様でしたが…」



実際、街を歩いていても、すれ違う人は皆、ガルムさんにお辞儀をしていた。



「ガルム坊ちゃんはまだ話てないの?」




「あーいやーまぁーな。その内な。」



何故だが一瞬悲しそうな寂しそうな目をした。



「まぁーガルムさんが何であれ、俺にとっては、スパルタ師匠には変わりないからな。」


ニカッと笑いながら、言ったら、


「気持ちわりぃ笑顔を見せんなっ!」



と頭をコツかれた。



「これは俺の標準スペックなんだよっ!ガルムさんだって、厳つい顔してんじゃん。」



「ほほぉー、余程厳しい特訓をして欲しい様だな。」



「ん?!すいませんでしたぁっ!!」




「お似合いの友達じゃない。厳つい坊ちゃんに優男の“僕”」



「“僕”って歳じゃないですよ。」



「そぉいや、おめぇ、歳はいくつだ?」



「俺は28才ですよ。」



そう言うと、2人とも固まってしまった…



「へ?何か変なこと言いました?」




『俺と(ガルム坊ちゃんと)同じ歳じゃん!(なの?!)』




「ガルムさんも28才なの?!」



今度は俺も固まってしまった。



「何だよ…そういうことは早く言えよ。って俺も聞かなかったけど…じゃー今から敬語禁止な。それから、師弟関係もたった今終わりだ。」



「ちょっと待って下さいっ!今やめられたら、俺、旅に出る前に死んでしまうじゃないですかっ!」



「敬語は禁止って言ったろ!あと勘違いしてる様だが、スパルタ特訓はやめないぞ。スパルタ特訓のせいで命落とすかもしれないがな。」



「えっ?だって、師弟関係やめるんじゃ?ってか、特訓で死にたくない…」



「師弟関係はやめだ。これからは…その………………………友達………………だ。」



「なんだー。良かったぁ。いきなり、放り出されるのかと思ったぁ。今頼れるのは、ガルムとサラさんしかいないし。ってか、厳つい顔して、照れんなっ!」




「これは俺の標準スペックなんだよっ!てか、サラに手出すなよ…いくら健でも殺すぞっ!」



「サラさん可愛いもんなぁー。ガルムには勿体ないよ。それにガルムには訓練と言う名の虐待で殺されるし…」


「おい…健…本気かっ!今すぐ殺してやるっ!」



「冗談に決まってるだろっ!だからその斧下ろせよ…」



「本当に冗談なんだな?」



「当たり前だろっ!そんな命知らずじゃねぇーよ。それに万が一サラさんに手出しても、サラさんの目には、ガルムしか映ってないだろうし。全くどこまでバカップルなんだよ…」



焦ったぁ〜


本気で殺す目だった…


「変な冗談はやめてくれよ。マジで健を殺そうとしちまったじゃねぇーか。」




サラさん関係で冗談言うのは絶対やめておこう…



「で?あんたたちは何を食べるの?」



「じゃー女将さんを…」



「あらやだ。いつでも食べて良いわよ!」



「健…疑って悪かったな…健の趣味も知らず…」




「すいませんっ!冗談ですっ!」



「あら、残念。気が変わったら、お・い・でっ。」




訂正…女性関係で冗談言うのは絶対にやめよう。



でもちょっと女将さんが可愛く見えたのは、絶対に秘密だ。






その後も騒ぎながら、オススメ料理を堪能した。



他のお客さんには、かなり迷惑だったかもしれないが…





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