武器選び
ガルムさんは厄介事って言ってたけど、なんだろう?ガルムさんの性格からして、浮気なんてこと有り得ないし…
まぁ俺は武器選びに専念しますか。
リーズさんの武器屋には、様々な武器が置いてあった。
まずは…ガルムさんが使ってる斧を見てみるか。
斧は両手用から片手用まで、色々置いていた。
両手用は、重そうだから、まずは片手用…
近くにあった、片手用の斧を手にとって…手にとって…手に…
両手でとって…
くぅを下ろし、両手でやっと持ち上がる…。
俺が筋力なさ過ぎるのか、斧を使う人達が筋力あり過ぎるのか…
どちみち、斧の選択肢は消えた。
やっぱり、ここは王道に剣にするかな。
剣が並んでいる場所に行くと、やっぱり色々な剣が置いてある。
両手剣、片手剣、刀、サーベルなどなど…
両手剣はやはり重過ぎて断念。
片手剣も片手で振り回すのは厳しい。
刀は扱いや手入れが難しいと聞いているから、除外。
サーベルは練習すれば、扱えるかもしれないから、候補の1つにしよう。
他にも色々あるから、見て回ろう。
鎌は、死神みたいな巨大な鎌や、鎖鎌、草を刈る用?の鎌と色々ある。
薙刀、槍、ハンマー、ランス、弓、ボーガン、トンファー、ヌンチャク、吹き矢、パチンコ…
パチンコ?!
これは面白いかも。
値段も安そうだし、遠距離用にサブで持っとくのも良いかも。
というのは、方便で、ただ単に欲しいと思ってしまっただけだ。
パチンコはガルムさんにお願いしてみよう。
色々な武器を見ていたが、店の隅に一振りのムチが置いてあるのが目似付いた。
柄は60cm程あり、かなり丈夫そうだし、2mはありそうなムチの部分もかなり丈夫そうだ。先端から柄にかけて、何かを嵌め込むような穴が20個等間隔にあり、穴の周りは、何かの金属で出来ている。
手に取って持って見ると、意外に軽く、俺の今の筋力でも、十分振り回せる。
良く見ると柄の先端部分に赤いボタン付いている。
試しにそのボタンを押してみると…
シュッ!!!
いきなり柄から30cm程の刃が出てきて、ガルムさんから借りている服が切れてしまった。
「あ…危ねぇ〜…もうちょい近付けてたら、ここで人生終えてた…」
てか、くぅ下ろしといて良かった…
もう一度赤いボタンを押すと、刃は柄の中に収まった。
なんか変わった武器だけど、ちょっと面白そうだ。
一通り武器を見終わると、ちょうどガルムさんとリーズさんが出て来た。
「何か気に入ったのはあったか?」
「あそこにあるムチがかなり気になるですけど…」
「あのムチねぇ〜。やっぱりあなたは面白いわ。」
「よりによって、あのムチかよ…。お前は見る目があるのかないのか…」
「どういうことですか?」
「あのムチはね、私が作ったのよ。ムチを武器に選ぶ人なんて、今までいなかったから、売れ残っているけど、私の中では最高傑作だと自負しているわ。」
「じゃー俺、見る目あるじゃん。」
「リーズの作った武器を見付けたのは、見る目があるが、ムチを選択したのは、理由によっては、ただの馬鹿だぞ。」
「まぁガルムの言う通りね。ムチは扱いが難しいし、そもそもあのムチは普通のムチとは違うから、教えられる人はまずいないわね。自分でオリジナルの使い方を見付けないと、宝の持ち腐れよ。理由を聞いても良いかしら。」
「なるほど。理由ですか。俺は武器の扱いは初心者で、筋力もあんまりありません。でもあのムチなら、中距離から攻撃出来るし、重さも気になりません。あと近距離でも隠し刃で対応可能だし…まぁどちみちかなり練習が必要ですけど。ってのは建前で、単に気に入ったからです。」
「ハッハッハッハッ!」
「ウフフフフフ」
おもっきり、2人に爆笑された。
リーズさんの笑い方は妖艶でドキリとしてしまったが…
「やっぱり、馬鹿ですかね?」
苦笑しながら、呟いた。
「いやいや、武器には相性ってもんがある。難しく考えるよりは、直感の方が大切な時もある。健は直感で選んだんだろ?武器選びで直感を頼るのは大切なことだ。幸いムチの基本的な訓練方法は、俺が知ってるから、みっちり教えてやるよ。もちろんスパルタでな。」
何故か最後の言葉に背筋がゾクっとした。
やっぱスパルタなんだ…
「まぁそういうことよ。その様子だと、まだあなたは本来のあのムチの使い方も知らなそうね。自分で考えてみると良いわ。付属品を21個付けてあげるから。」
とウィンクして言われた。
「21個?20個じゃなくて?」
「そこまで分かっているなら、簡単に答えを見付けられるわ。フフ。」
リーズさんの妖艶な笑みは慣れそうにないや…
その後、パチンコはおまけで付けてもらい、武器屋を出た。
武器屋を出るときに、
「また会えるのを楽しみにしてるわ、健。」
とリーズさんに言われた。リーズさんに初めて名前を呼んでもらい、ちょっと嬉しかったのは秘密だ。