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自分探しの旅  作者: KURO
6/15

修業開始

あれから、ガルムさんとサラさんの惚気話を聞きながら、夕食をご馳走になり、死んだように寝た。



その時の惚気話で分かったのだが、ガルムさんの願いとは、妻になってくれる女性が欲しいということだった。


そんなことかと思ったが、確かにあの外見だと、普通の女性だと怖がってしまい、話にすらならないだろう。


実際そうだった様だ。

しかし旅の途中で出会ったサラさんは、ガルムさんの優しさに溢れた目が気に入った様で、なんとサラさんから、告白したようだ。



詳しいいきさつは知らないが、二人を見てると何だか、お似合いの様に思えた。




翌日、6時に起こされ、少し先にある街で、俺の服や武器を買いに行くと言われた。



武器と言われても、何だか遠い世界の気がしたが、そもそもここは、遠い異世界なんだし、ちゃんと選ぼう。




街に行くのに、「お前の格好だと目立ち過ぎるから、これを着ろ。」と言われて、麻の服を渡された。




支度も整い、出発する際に、



「ここから真っすぐ街まで向かう。大体5キロぐらいだから、走って行くぞっ!」



と言われた。



「そんなに体力がないです。」



と言ったら、



「大丈夫だ。嫌でも走らなきゃいけなくなるから。」



と満面の笑みで言われた。





走り始めて1分も経たない内に、巨獣が現れた。


初めて見たその巨獣は、熊の姿に良く似ており、全長が3m程あった。



ガルムさんが対処してくれると思ったら、ガルムさんはその脇を攻撃をかわしながら、走って行ってしまった。


遠くから「何してんだ!早く来い!」



とニヤついた顔で言われた。



生きて通れたら、一発殴ってやると思いながら、前にいる巨獣を見つめる。



気配読みによると、彼は腹を空かせており、俺を餌と認識していることが分かった。




俺は避けて通ろうと思いながら、彼のスキを伺うのだが、恐怖心でうまく観察出来ない。


そうこうしている内に、右腕を振り上げたたき付けてきた。



咄嗟に後ろに飛び、避けたが、体勢を崩してしまう。



体勢を立て直す前に、また左腕を横に振るう。



このままだと直撃すると思った時、急にくぅが俺の顔に飛び付き、体勢を崩していた俺は、後ろに倒れ込んだ。



巨獣の左腕は空振りに終わり、何とかまだ生きていた。



「くぅ、ありがとな。でもどうにかこいつから、逃げ出さないとな。」




俺は気配読みを使って、周りの位置を確かめる。



少し左側にそれれば、崖があることが分かり、近くに丈夫な木の蔦があることが分かった。



俺はすぐさま、くぅを胸元に入れ、左側に走り出し、蔦の先を掴み、崖からジャンプした。



巨獣は俺をすごい速さで追ってきたが、その速さが災いした。



俺は、崖の外へ身を投げたが、蔦が木に絡まっているので、木を中心に半円を描いて、ジャンプした崖から、ちょうど木を挟んで反対側へ着地した。



巨獣は俺に飛び付こうとしたが、半円の軌道に対応出来ず、崖の下へと落ちていった。



俺はガルムさんのいる所まで行って、文句を言おうとしたが、ガルムさんに先を越されてしまった。



「俺は“真っ直ぐ”街に向かうと言ったんだがな。何寄り道してんだ!」



「ガルムさんみたいに出来る訳ないじゃないですか!」



「それはお前がちゃんと“見て”ないからだ!ちゃんと手本も見せたろ?!」



「一回で分かれば、苦労なんてしませんよ!」




「だから、お前は“見て”ないって言ってんだ。俺の推測が正しければ、お前の気配読みを使って“見れ”ば、危険な領域、そうでない領域が分かるはずだ。本当はそんぐらい自分で気付けよ。最初から死なれたんじゃ、暇潰しにもなんねぇから、今回は教えたが、後は自分で考えな!」




そう言われると何も言い返せなかった。その通りだと思うし、自分で自分の今出来ることを把握していなかったし、甘えもあったんだと思う。




日本にいた頃と何も変わってねぇじゃん…



「何しけた顔してんだ。さっさと行くぞ!」


よし、今出来ることを精一杯しよう!



そう決意し、ガルムさんの後を追った。





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