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自分探しの旅  作者: KURO
13/15

くぅ?…くぅっ!

木の温もりが嬉しい素敵な部屋。



「素敵な部屋だな。豪華では決してないけど、かなり落ち着く。」



部屋の広さや設備自体は、ビジネスホテルと何ら変わりない。



テレビもポットも冷蔵庫もないが…



それを差し引いても、俺はこちらの方が好きだ。



ベッドに荷物を降ろして、武器選びの際に破れてしまった服を脱ぎ、替えの服を着る。



「さてと…くぅっ!覚悟は良いか?嫌なら、無理しなくて良いんだよ。」



お爺さんに貰った首輪を取り、くぅに聞いた。


くぅは大切な相棒だ。


くぅの意志を出来るだけ尊重させたい。




「にゃっにゃにゃっにゃ〜〜〜っ!」



くぅは早く首輪を付けたいそうだ。



「じゃー付けるよ。ただで貰ったものだけど、これが初めての俺からくぅへのプレゼントだ。」



そう言いながら、くぅに首輪を付ける。



「よしっ!うわぁ〜〜〜…」



くぅに首輪を付けた瞬間、強烈な光が辺り一帯を照らした。


俺は眩し過ぎて、目を閉じ、左手で目を押さえた。





「…け…ん…けん…健っ!」



誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる…



「健っ!」



ゆっくりと目を開ける。


強烈な光を見てしまったせいで、あまりはっきりと見えない。



「誰?誰かいるのか?」



「健っ!こっちだよっ!」



声のする方を見る。



「へっ?ってわぁ〜〜〜っ!」



慌てて目を閉じる。



目を閉じても脳裏に焼き付いてしまってる。


黒いネコミミとシッポを付けた、十代前半と思われる可愛い少女が素っ裸で…




「ちょ、ちょっと待てっ!君は誰?ってか服っ!服を着てくれっ!」



「あぁそっかぁ〜。ちょっと待っててね。健の服借りるね。」



そう言って、謎のネコミミ&シッポ付き美少女は、ゴソゴソと鞄をあさって…



「健っ!目開けて良いよっ!」



ゆっくり目を開けて、彼女の方を見る。



彼女は、俺の着替えの服を着ていた。



ホッとしたが、何だか少し残念…



「え〜っと…、君誰?」



「くぅだよっ!健の相棒の黒猫のくぅっ!」



「…へっ?君がくぅ?」



周りを見渡して見る。さっきまですぐ側にいたくぅがいない。


自称くぅを観察する…


黒い髪…


黒い瞳…


黒いネコミミ…


黒いシッポ…


超可愛い…


やべ…



十代前半の女の子をいやらしい目で見てしまった…


俺犯罪者じゃん…



そうやって、自称くぅを自分の煩悩に苦しみながら、観察していると…



「…あっ、ピンクの首輪…本当にくぅ?!」


くぅに先程付けた首輪が、彼女の首に付いていた。



「だから、くぅだよって、言ってるじゃんっ!」



頬っぺたを膨らませながら、プンプン怒ってる。



可愛い…



「マジでかー。その首輪って、猫を人の姿にする力があるってこと?」



「何かわかんないけど、健とちゃんとお話したいって思ったら、こうなってた。また猫にも戻れるっぽい。何度でも猫にも人間にもなれるみたい。」



「そぅなんだ…まぁ俺もくぅと話が出来るのは歓迎だし…細かいことはいっかっ!」



…可愛いし…


でも猫だよな…


猫でも可愛いものは仕方がない。と無理矢理に自分を説得。






コンコンっ…


誰かがドアをノックしている。



「誰ですか?」



「リーンよっ!いつまで待たせるつもり?入るわよっ!」




そう言って、リーンは部屋に入って来た。



「健っ!いつまで………あなた誰?」



「くぅですっ!リーン姉さんっ!」



「は、はぁ〜〜〜?!」



まぁ当然の反応だな…


俺はリーンに今まであったことを全部話した。



もちろん女将さんとのやり取りの後のことを全部だ…





「なるほどね。でもそんなアイテムや魔法なんて、噂でも聞いたことがないわ。でも目の前で見ると信じざる得ないわね。」



中々信じて貰えず、結局見てもらった方が早いということで、くぅに猫に戻って貰った。


どうやら、強烈な光を発するのは、最初の1回だけの様だ。



「じゃー今日はまず、くぅの服を買いに行きましょう。」



「こんな時間にまだやってる店あんの?」



「ないわよ。でも知り合いの店なら、頼めば何とかなるかも…早く行きましょっ!」





猫姿のくぅを連れて、リーンの知り合いの店に来た。



リーンは裏口にまわり、


「シャルっ!リーンよっ!開けてくれない?」


大声を張り上げる。



建物の中から、ゆったりとした声色で返事が返ってきた。



「は〜い。ちょっと、待っててねぇ〜。」



しばらく待っていると、トテトテトテとゆったりとした足音が聞こえ、



「リーンちゃん?どぅ〜したの〜?」



という声と同時にゆっくりと裏口のドアが開いた。




「シャルっ!悪いんだけど、ちょっとだけ、店開けてくれない?」


「あらあら、リーンちゃんどうしたの〜?とりあえず、こちらにいらっしゃいな〜。」



「ごめんね。こんな時間に…。くぅちゃんの服を買いたいのよ。」


「くぅちゃん?ですかぁ〜?」



「そうそう、この子。」



そう言って、猫姿のくぅを指差す。



「ねこちゃん?」



「ちょっと待ってね。くぅ、人の姿になってっ!」



くぅは、“にゃっ!”っと鳴くと、人の姿に変わった。


人の姿になっても、ネコミミとシッポは健在で…



しかも、今気付いたのだが、服を着たまま、猫の姿になると、普通の黒猫になるのだが、また人の姿になると、今度はちゃんと服を着ているのだ。



猫の姿になった時、服がどこかに消えてしまったので、まさかとは思ったんだが…



これはどういう仕組みなんだ?




そんな疑問をよそに、女の子3人?組はなぜだか、すぐに意気投合して、服を選んでいる。



リーンもそうだけど、シャルって子も順応性高すぎるだろっ!



「ねぇねぇ、健っ!これ似合う?」



くぅがフリフリの付いた可愛い服とスカート姿でくるりと回ってみせた。



「とても似合ってるよ。」



そう言うと、



「えへへっ…」



と顔を赤らめながら、モジモジしていた。




本当に可愛い。


胸がペッタンコなのが残念だが、そんなことはどうでも良い様に感じる。



あれ?



なんか胸がドキドキしてる…



「リーン姉さん、シャル姉さん、くぅこれにするっ!」



くぅは2人に言った。


「シャルさん、こんな時間に店を開けてくれてありがと。これは全部でいくらになります?」



シャルさんはニッコリ笑って、



「今日は特別にくぅちゃんにあげるわぁ〜。あと、この帽子も。ネコミミが見えたまんまになってるのは、何かと都合がよろしくないと思いますのでぇ〜。」



そう言って、着てる服に似合いそうな、麦藁帽子をくれた。



「何から何まで、ありがとうございます。今度はお店のやってる時間に買いに来ますね。」



俺はシャルさんの好意に甘えることにした。


「そうして下さいなぁ〜。また来てくださるのを楽しみに待ってるわぁ〜。」






くぅが一段と可愛くなった姿で、リーンと3人でご飯を食べて、Work Agencyに戻った。




シャルさんも誘ったのだが、まだお店の片付け等があるとのことで、また今度ということになった。



しかし、今日は色んなことがあったな…



マージさんの色気にあてられたり、くぅの可愛い姿にドキドキしたり…



あれ?



俺って、守備範囲広くね?!




自分がこんなに節操なしってか、女好き?だと初めて知った、三日月の夜でした。





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