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自分探しの旅  作者: KURO
12/15

首輪

誤字訂正しました。

女将さんとロイズがロビンを医者に連れて行ったのを見て、俺とくぅは、街をゆっくり観光することにした。



とは言っても、未だに一文無しなので、本当に見て回るだけだが…



八百屋、魚屋、肉屋、日用品などもおいている雑貨屋などなど…



そんな中、骨董品が置いてある店があった。お店自体も、アンティークっぽく、とても趣のある店だった。




中に入り、色々見ていた。古本やベッドまで、本当に様々だった。



そんな中、一つの首輪が目に入った。


何の変哲もないピンクの首輪。真ん中に金色の鈴が付いている。



くぅに付けたら似合いそうだなぁ〜っと、手にとって見ていた。




「おやおや、それが気になるのかい?」



店の奥から、ご老人がゆっくりと出て来た。


お店だけじゃなく、店主もアンティークだ。



「えぇ、こいつに付けたら似合いそうだなって思いまして…」



そう言いながら、首輪を置き、くぅを抱き上げた。



「これはまた可愛い娘さんだのう。」



「にゃ〜っ!」



褒められて、くぅはご機嫌だ。



「ほっほっほっほっ。この娘さんは言葉が分かるのかのう。」



「俺もくぅの言いたいことは、何故か理解出来ちゃいますよ。」



「それはすごいのう。」



「ところで、これはいくらなんですか?」



「そいつは売り物じゃないのじゃよ。もし、ワシの出す課題に応えることが出来れば、ただで譲るが、課題に応えられなければ、いくら金貨を積もうと、譲らないと決めておるのじゃ。」



これは丁度良い。こちとら一文無しだ。



「どうしてですか?」



「これはの、大切な思いが詰まったものなのじゃよ。前の持ち主だった者の願いでな。」



肝心な部分は隠しているのが分かる。しかし悪意はないようだ。


ただ、本当に大切なのだ。



「その課題とはなんですか?」



「ほっほっほっほっ。わしからお前さん達に出す課題はないよ。」


やる気満々だったのに、拍子抜けだ。



「それって、課題を受ける資格がないということですか?」



「いやいや、もう課題をクリアしているのじゃよ。前の持ち主の願いは、“飼い主とペットという壁を越え、お互いがお互いを信じ合い、意志疎通が出来る者に渡して欲しい。”というものだったのじゃよ。お前さん達は、課題を課すまでもなく、自然体でそれを証明してみせた。だから、良ければこれはお前さん達にもらってもらいたいのだがのう。」



お爺さんは穏やかな微笑みを浮かべながら言う。



「くぅにぴったりだと思うし、是非下さい。」



お爺さんに申し出た。


「あぁ、良いとも。ただ、2つだけ願いを聞いてはくれないじゃろうか?」



「出来ることならなんでもっ!」



ただで貰うのだし、お爺さんの願いは、出来るだけ叶えたい。



「そぅかそぅか。ありがとう。1つ目は、最初に首輪をはめる時は、誰もいない所で行なっておくれ。2つ目は、またここに遊びに来ておくれ。」




「えっ?そんなことで良いんですか?」



「あぁ、それで良いのじゃよ。」



「何か起こるんですか?」



少し不安になり、聞いてみた。


“タダより高いものはない”って言うし…




「ほっほっほっほっ。心配せんでええ。悪いことは起きないじゃろうて。」



やはりお爺さんから悪意は感じられない。どちらかと言えば、“希望”?が感じられる。



「やっぱり、何か起こる可能性があるんですね?」



「そぅかもしれぬし、そぅではないかもしれぬ。」



「分かりました。必ず約束は守ります。」



「そぅかそぅか。その娘さんが大切なら、1つ目は必ず守るんじょよ。」



お爺さんは、悪戯好きな少年の様な瞳で片目を閉じた。






少々不安は残るが、人の良さそうなお爺さんと別れて、またしばらくくぅと散歩を楽しんだ。



辺りが夕暮れに包まれる中、Work Agencyに戻ってきた。



するとリーンが丁度いたので、話し掛けようとすると、リーンもこちらに気付き、先に話し掛けられた。



「健、お疲れ様。これは報酬よ。」



「え?何の?」



一体何のことか分からず、聞き返してしまった。



「事情はマージさんから聞いたわ。報酬からロビンちゃんの治療で掛かった分は引いてあるけど、これはあなたの成功報酬よ。」



「あの女将さんって、マージさんって言うんだ…って、そんなの良いのに…。」



「ちゃんと受け取りなさい。これはビジネスよ。成功したんだから、成功報酬はきちんと受け取るものよ。」



「じゃ、じゃー遠慮なく。」



袋には、銀貨2枚が入っていた。



「あの、それでロビン君は助かったのですか?」


「えぇ、薬をちゃんと与えて、しばらく安静にさえすれば、また元気になるんですって。」



「良かったぁ。」


「にゃ~。」



どうやらくぅも気にしていたようだ。




「健も大概お人よしね。でもすごいじゃない。こんな短時間でロビンちゃんを見付け出し、さらに病気であることを見抜き、治療を勧めるなんて。もう少し遅ければ、手遅れになる所だったのよ。」



「そうなんですか?!間に合って良かった。」



「報酬はどうする?銀行に預ける?」



「それじゃー、銀貨1枚を銀行に預けて、残りの銀貨1枚は持っておくよ。」



「じゃー銀貨1枚とカードをここに出して。」


銀貨1枚とカードを机の上のトレーに置く。



リーンはそれらを裏側に持って行った。



しばらくして、カードを持って戻ってきた。


「手続きは完了よ。」


カードを受け取り、



「ここに泊まるには、どうすれば良いんですか?いくらぐらいするの?」




「ここで手続きは出来るけど、ガルムさんがしていったわ。ここの宿泊施設はメンバーであれば、無料よ。」



「なるほど…じゃー一度部屋に行くよ。あと、時間って分かりますか?」



「今は6時よ。カードに時計の機能もついているわよ?」



よく観ると、カードの右上に時計が着いていた。



「じゃーまた今夜に。」



部屋の鍵をもらい、7時まで部屋で過ごすことにした。





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