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「さて。……シュウ、痴話喧嘩は終わったかしら? こんな寒空の下で馬鹿話にずっと付き合わされていたから、さすがに寒くて凍えそうになってるんだけど。……風邪ひいちゃうわ」

 俺たちの会話をしばらく聞いていた王女は、どうやら、めんどくさくなったようだ。話に割り込んできた。


「にいさん、この可愛い女の子は誰? ……うわー可愛い子! あ、ティアラもつけてるんだ。お人形さんみたいに可愛いね……。でもどうしたの、こんな夜中にこんな場所で? 迷子にでもなったの? 」

 亜須葉は、しゃがみ込むと王女と同じ目線にし、話しかける。

 無邪気そうに王女の頭をなでなでしている。

 そういや亜須葉は子供好きだったな。


 突然、王女は亜須葉の手をピシャリと叩いた。


「ふう。お前がシュウの妹か? 一応はお前にも自己紹介をしておかないといけないようね。。

 ……わたしはシュウの主となった者だ。お前もわたしの事は姫と呼ぶことを許可してやろう。 さて、……兄妹の話が盛り上がるのは結構なんだけど、そろそろここから移動したいの。わかる? 

 わたしたちにはやらなければならないことがあるんだから。こんなところでモタモタしてられないの。……わかってくれるわね? 」

 諭すように話す王女。


 一瞬言葉を無くし、俺の顔を見る亜須葉。


 俺は肩をすくめて見せた。


「にいさん。……この子は誰なんです? 一体どうしたっていうんですか? にいさんの言ってる事故みたいなものにこの子は関係があるんですか? 」

 少しムッとした表情をしている。目にはどこか怒りに似た色合いが出てたりする。


「まあ確かに事故に関係があるといえばあるし、ないといえばないし。うん」

 とかいって適当な事を喋る。


 困ったなあ。


 王女は俺と妹との会話を退屈そうに聞いている。

 どういうわけか、時折、何か不審そうな顔をしているのに気付いた。

 さて、何を考えているのやら。でもあんまりほったらかしにしておくと、怒り出すかもしれないなあ。めんどくさいから移動しようかな。


「まあとりあえず、こんなところでずっといたらパトロールに見つかるかもしれないから。さあさあ、みんな車に乗って乗って。姫もさあさあ」

 と、俺は王女の肩に手を回す。


「なあ、シュウよ」

 と、俺を見上げる。


「うん? 」


「お前、やはり鬼畜だな」

 汚い物でも見るような視線。


「は? 」

 唐突に、エロゲとかでしか聞かない【鬼畜】という言葉が、異世界の王女から出たので俺は驚いて言葉に詰まった。

 何言ってるんだ、この子は?


「お前、覚えていないのか? 本当か? 本気で覚えていないというのか? あんなことをしたというのに」


「いや、何を言っているのかわからないんだけど、俺なんか悪いことした」


「本気でそんなことを言っているのか? では、亜須葉、……お前はどうなの? 」


 子供に呼び捨てにされ、一瞬言葉を失ったように見えたが、すぐに好戦的な目をして亜須葉が王女を見る。

 いや、睨む、かな。

「だめよ、年上の人にそんな言葉遣いをしちゃ。……そうか、あなた、日本に来てそんなに時間がたってないのよね。だから、まだちゃんとした日本語が喋られないのかな? 」


「はあ、……まったく、お前も無礼ね。少なくともお前のほうがわたしより年下なんだけど……まあいいわ。

 お前も覚えていないというのか。……人としてお前達は下劣だと思うけど、どっちも忘れてしまっているっていうんなら仕方ないわね。まったくお前達の頭の中を見てみたいわ。よくも簡単に忘れられるものね」

 そして興味が無くなったかのように歩き出し、勝手に車の助手席のドアを開け乗り込んだ。


「あ、おいおい。勝手に乗っちゃ……」

 俺はきょろきょろと十さんと亜須葉を見る。

 十さんは呆れたような顔をし、亜須葉はあきらかに頭に来ているみたい。


「じゃあ、こんなところにいてもなんだから、とりあえず行こうか」

 仕方ないので俺は二人を促した。

 車内を見ると、王女は助手席でふんぞり返っていた。


「……そうですね、亜須葉様もお乗りください」

 そう言うと十さんは後部座席の扉を開け、俺たちが乗るのを促した。

 俺が反対側のドアを開けて乗り込むと、慌てて亜須葉も乗り込む。何か言いたそうな顔をしているが、特に何も言わなかった。


「では発進します。どちらまでお送りしましょうか? 」


「俺のアパートまで行って貰えますか? それとできたら途中で店によって、彼女の服を買ってもらいたいんですけど。あ、ついでに俺の学生服も」

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