振袖とお姫様
___大晦日。
「すぴぴ〜」
「......むにゃむにゃ」
カウントダウンがしたいと言う2人への
アドバイスとしてお昼寝をしとくと
夜起きていられるよと伝えると
2人は昼から遠慮なくグースカ眠りだした。
まだこちらに来たばかりの頃は
時差があったようで
深夜の警備のバイトに1度だけ
行ったことがあるが
それ以降は夜更かしなどまったくしない
お子様生活をしてきた2人。
お金が少し入り、舞台も決まり、
お正月に少し贅沢をしたいなと思っていたので
自分へのご褒美を買おうと
私はひとりお買い物へ。
そう、欲しいものがあったのよね。
舞台挨拶、卒業式とで使える振袖。
もちろんお正月にも着れるし、一石三鳥♪
成人式の時はレンタルでも結構な値がしたので
レンタルではなくしっかり購入。
一着持っておきたかったのです。
うひょー30万かぁ。さすがに高いけど
レンタルでも10万くらいしたし
今後使えると考えると欲しいね。
遠慮なく購入。
奮発しちゃった♪
そういえば自分へのご褒美なんて
初めてかもしれない。
ニコニコで帰宅。
夜にやっと起きた2人。
「アカネ様おはようございます」
「んあ〜外が暗い......むにゃむにゃ」
夜も寝てたのに昼も寝れるなんて
子供はいいわね。
寝る子は育つってね。
どこが?
なんだかイラっとしたので
2人の胸から目線を外す私。
3人ですき焼きを食べながら
紅白を観てのんびり。
うお。三千院キララ紅白出てやがる。
マルチタレントすぎだろ。
そして、めでたくカウントダウン。
「3・2・1・明けましておめでとう〜♪」
「ハッピーニューイヤー♪」
「ことよろですわ〜♪」
仲良く3人で新年を迎えれてとても嬉しい。
「警備のバイト以来、こんな時間まで起きている
なんて初めてです!」
「なんだか悪いことをしているみたいですわ」
ソワソワドキドキしている2人。
「......お前ら可愛いかよ」
「夜中起きてる悪い子ですうひょー♪」
「ふふふ。大晦日だけはいいのよ。
それより、2人とも、さぁ服を脱いでちょうだい」
「ええ〜!アカネ様!お、お戯れを!?」
「......アカネ。ついに一線を超えるのですわね」
「アカネ様の貧相な体でも我慢しますね!」
「アカネならアリーは......構いませんことよ♡」
「うるさい!出かけるから着替えるのよ!」
「な、なんですってぇぇ!!??」
「な、なんですってぇぇ!!??」
夜中に外出するのが衝撃だったらしく
2人は面白いほど驚愕の表情を見せてくれる。
「じゃ、じゃ〜ん♪」
購入した振袖を披露する私。
「おお!これが日本の正装!」
「素敵ですわ!アカネ!」
「自分へのご褒美、初めて奮発しちゃったよ♪」
舞台役者してるとね〜
着付けは覚えなくちゃいけないのよ。
よって、2人にも振袖を着付けする私。
「ええ!?わたしたちにも!?」
「わぁ♪綺麗ですわアカネ!」
もちろんさ。
振袖三人娘の出来上がり♪
「クリスマスのお詫びも兼ねて
新年のプレゼントです♪
まぁアリエルちゃんねるの稼ぎからなので
お金は2人からだけどね♪」
「ありがとうございますアカネ様♪」
「アカネ〜♪愛してるわ♡」
私のほっぺにちゅっちゅしまくってくるアリエル。
あれ以来すっかりキス魔になってしまっている。
「あはは♪もう、着付けが乱れちゃうよ〜」
初詣は新宿にある花園神社へ。
「ここは縁結びと芸能精進のご利益があるのよ〜」
「なるほどです!私たちとのご縁と
アカネ様のこれからの芸能のご縁てことですね!」
縁結びのお稲荷さんの方へ行くと
何やらハルカの様子がおかしい。
「ガルル!」
ハルカが何かに威嚇している?
「ハルカ、アリーにお任せなさい」
え?
「ち、舐めた態度とりやがって......」
「どうしたのハルカ?」
「もう大丈夫ですわ。この神社の精霊が
ハルカをお供えモノだと勘違いしたみたいでして
今アリーが抑えましたのよ」
え!え!どういうこと!?
「お稲荷さんの精霊はキツネの精霊でして
キツネはうさぎが好物なのですわ」
「なので私を供えに来たと思って私に
手を出そうとしてきたのです......」
「......え、待って?ついていけない」
「あぁ。アカネ様。日本で言う八百万の神という
概念がありますよね?全ての物には
神が宿っているという......」
「うんうん!」
「八百万の神というのは私たちの異世界で言う
精霊と同じなのです。」
「多くの精霊たちと、そのトップが女神様。
日本で言い換えると
八百万の神と天照大神ということですわ」
「お稲荷さんのキツネの神様は
2人からするとキツネの精霊様だと?」
「そうそう」
「うさぎの精霊ではなく、
うさぎの体を借りている春の精霊ですと
お伝えしたら引きましたわ」
「はあ......てことは、2人ってもしかして
日本で言うと神様の部類なんだ?」
「おーほっほっほ♪そうですわよ♪」
「アカネ様!やっと気づいたのですか!?
頭が高いです!控えおろう!」
いやまじで跪きそうになったわ......
「ああ。うさぎはキツネが天敵だもんね......
それでか......ほえー」
このお子様2人が八百万の神......?
......
うーん、忘れよう。
気にしない方がいい気がする......
そのまま芸能精進の方の神社でもお参り。
舞台の成功祈願と私の今年の飛躍を願う。
散々屋台出店で食べ歩いた私たちは
そのまま初日の出を見るために
アリエルのチカラで
東京都庁の屋上へ飛ぶ。
「初日の出を見るのも縁起がいいのよ。
でも2人が八百万の神自身だなんて聞いちゃうと
2人の存在自体が私にとっての
縁起者だったんだなと改めて思うわ」
「ふふふ。アカネ様。
縁起やご利益なんて気持ちの問題です」
「そうですわ。舞台が決まったのは間違いなく
アカネが実力で勝ち取ったものでしてよ」
「ふふ。2人ともありがとう」
3人で仲良くくっついて初日の出を待つ。
都庁の屋上に侵入しちゃったけれど
まったり初日の出が拝めそうでよかった。
そして
「きたきた!太陽見えてきた!」
......
私がそう言っても反応がない。
ん?
「すぴぴ〜」
「......むにゃむにゃ」
残念ながら
お子様2人はもう限界だったみたい。
「あらあら。......起こさなくていいか......」
私に寄りかかり
すやすや寝てしまっている
振袖美女2人。
ふふ。
まったく......
何が自分へのご褒美よ。
この2人の笑顔と振袖姿を見れたことこそが
何よりのご褒美じゃない。
初日の出を拝みながら
2人の美女の頬にこっそり口付けをした私は
私だけの特別なご利益をいただき
最高の新年をスタートさせたのでした......。
読んでいただきありがとうございます!
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