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中学の卒業式に告白した人が高校で隣の席だったらイチャイチャできるのか  作者: コヨコヨ


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 運動ではなく頭脳戦なら男子女子関係ない。

 僕は負けを認め、将棋の投了のように潔く頭を下げる。味を占めたのか、香奈さんは教科書の中に問題があるたび、勝負を仕掛けてくる。彼女の学力は本物で、完膚なきまでに叩きのめされた。


 勉強を頑張らなければ、お小遣いがスッカラカンにされる……。そんな危機を感じた。簡単に負けてしまうと彼女もつまらないだろう。勉強は体が小さくとも頑張ればできる。苦手な教科も勉強を頑張ろうと思えた。

 昼休みの前の四時間目に体育があり、男子は教室、女子は新体育館の更衣室に向かう。


「なあ、なあ、小日向さん、めっちゃ可愛いよな。男受けを狙っているって感じじゃないとことか、超刺さる」

「ああ、わかる。男が好きな女子って感じなのに、ぶりっ子っぽくないとこも高評価」

「あと、めっちゃ自然なエロスがある。絶対処女じゃないね」


 女子がいなくなったのを良いことに、クラスの男子たちが集まってクラスの女子たちを評価していた。

 ものすごい上から目線な気がするけれど、おそらく女子更衣室の中でも同じような発言が飛び交っているのだろう。そこで、僕はどんな風に言われているのだろうか。

 気になってしまうところが、嫌だな。好きでもない人から好かれても仕方がないじゃないか。まあ、不特定多数の女子から好かれるような男になれなきゃ、好きな女子から好かれないってわかっているんだけど……、相手を見ずに自分だけを磨き続けることに意識を持っていかれるのは本末転倒な気がする。


「なあ、なに部に入る? 女子受けを狙うなら、やっぱりテニス部か、サッカー部、バスケ部もありだよな」

「でもよー、どれも初心者お断りって雰囲気だぜ。スポーツ推薦組ばかり目立っててもつまんねーだろ」

「バカだな、お前ら。水泳部一択だろうが。女子の水着が見放題なんて、最高だろ」


 男子たちの輪に入りたいけれど、中学がいっしょだったり部活で知り合いだったり、幼稚園や保育園で知り合いだった者とすでにグループを作っていた。


 ――僕、孤立しちゃってる。


 ただ、一つ不思議なのが、話している最中、皆、僕の方に視線が向いた。孤立している僕をあざ笑っているのだろうか。はたまた、かわいそうだと思ってくれているのか。

 カッターシャツのボタンを脱いでいき、ベルトを緩める。金具が擦れる音が鳴り、ズボンにしわができないよう、丁寧に脱ぐ。まあ、いつか、適当に脱ぎ捨てちゃうようになるんだろうけど、最初くらい丁寧に扱おう。


「神村って男だったんだな」

「ワンチャン、女子なんじゃないかって思ってた」

「ぼ、僕は男だよっ!」


 僕は柔道部の癖でシャツまで脱ごうとしてしまう。首元辺りで今は体操服に着替えるだけだからシャツは脱ぐ必要ないのだと思い出す。ただ、僕が上裸になっていると、男子全員が絶句した。

 自信のない体を見られたせいで頬が熱くなり、女子かといわれそうな速度でシャツを下ろす。

 紺色と青色に近い短パンと白い半そでの体操服を着こんだ。短パンと同じ色の長袖を持って新体育館に向かう。男子同士なのだから気にする必要ないけれど、他人より劣っていると思う部分は同姓に見られたくないと思うもんだ。劣等感というのだろうか。でも、僕のはまた違う感覚だと思う。


 新体育館に到着し、西山先生とさらに二人の体育教師が他クラスと合同になった生徒の体育の授業を受け持つ。

 二種類の記録用紙が配られた。男女別の番号順に各クラスで保健室まで移動することになる。一組から身体測定が始まり、僕も保健室で体重と身長を記録される。

 一六五センチメートル。去年より三センチメートル伸びていた。やはり、ちゃんと成長していた。まだ国の男子の平均に遠く及ばない。


 身体測定を終えた者から、新体育館に戻り、状態起こし、長座体前屈、握力、反復横跳びなどの種目をこなす。この時間で全てが終わるわけではなく、次の授業に持ち越しされる前提なので、気楽にやっている者が多い。


「おんどりゃあぁあっ!」


 癖の強い声を上げながら握力計を握りしめる香奈さん。半そでのせいか、胸の大きさがより印象的になっていた。

 僕は気にしては駄目だと頭を横に振って、全ての種目を本気で取り組む。そうしなければ、お小遣いが吹っ飛ぶし「女子に負けた神村くん」なんてあだ名がついたら生きていけない。


「いちにっさんし、ごーろくしっちはっち!」


 香奈さんが反復横跳びしているらしい。他の男子を見ればおっぱいの揺れる女子たちに鼻の下を伸ばす一方だった。

 そんな中、僕は柔道部で鍛えた柔軟を限りなく発揮し、長座体前屈で無双する。女子の体は柔らかい者が多いため、これが一番負ける可能性が高い。柔道部じゃなければ歯が立たなかっただろう。


「ぐぬぬぬぬ……」


 香奈さんは腹筋しようとしているのか、お腹に力を入れているが一向に上半身が持ち上がらない。


「あだだだだ!」


 ガチガチ過ぎて三〇センチメートルも前屈出来ていない。


「もしかして、運動音痴なのかな」


 僕は柔道部で鍛えた握力、瞬発力、柔軟どれも体力テストで発揮され、好成績。

 ハンドボール投げや五〇メートル走、持久走の類は次回に持ち越される。全力で取り組んでいるため、これで負けてしまったら仕方がないと諦めがつく。全然全力が出せていなかったし、っていうのが一番ダサい。勝負する以上、正々堂々と。なんか、武道の精神が三年間の部活で刷り込まれてしまった気がしてならない。


 四限目の体育が終わり、昼休みがやってくる。香奈さんとの勉強バトルで惨敗した僕は「買い出し」の刑が待っていた。

 勝負の結果、三種類の商品を購買で買ってこなければならなかった。「じゃあ、国語はパン、数学はお菓子、英語は飲み物ね♪」という具合に。

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